経験の積み重ねは ”みらい” の自分への投資~みらいを切り拓くのは“今”の自分~
何がどんな風に発展するかは、自分を含めて誰にも分からないのです。
先日、母がとある書展で賞を受賞したので、そのお祝いを兼ねて、展覧会へ行ってきました。
「うす紅の空にくいこむ北岳の制覇はあすと小屋より仰ぐ」
これは、 母の友人の旦那さまが、数年前に謳った一句とのことです。
この一句で何かの賞を頂いたらしく、「書にして額縁に飾っておきたいので書いてほしい」と頼まれたのですが、書いているうちに母なりにインスピレーションを感じて、この作品で勝負してみようと思ったとのことでした。書道で書いてある言葉は、漢文や古文のものが多く、とても解読が困難なことがよくありますが、現代人が謳った歌を書道にすると、とてもわかりやすく素人の私でも読めるものでした。
そして、使った和紙は10年以上前に買っていつか使おうと思っていたものを引っ張り出してきたとのこと。これらの個々の行動は、今回の賞の受賞という結果に繋がるはずだと計画を立てて行なったものではないはずですが、母の今回の受賞までの流れを聞いていると、何と何が結び付いて、どのように発展していくかは誰にもわからないものなのだろうな、と改めて感じました。
みらいに向けて努力をすることはできる、行動することはできるが、なにが成果に結び付くかは、今の自分にはわからない。しかし努力と行動なくして、自らのみらいを切り開くことはできません。また過去の経験から、突然インスピレーションを感じることもありますが、こういった経験を積み重ねることはみらいの自分への投資となります。しかしどの投資が、将来の自分にとって価値があるものとなるのかは、みらいになってみないとわかりません。自分にできることは、長期的な目線を持ちながらも、目の前で出来ることに真摯に向き合うことです。
私自身は起業して10年程が経過しましたが、起業当初は独立コンサルタントとして活動して資金をつくりながら、いくつも事業を立ち上げては失敗して…を繰り返し、もがき苦しんでいました。しかし、その経験があったからこそ、独立したプロフェッショナルの方々が挑戦するための社会インフラが必要だと考えられるようになりました。あのもがき苦しむ時期は、今のビジネスを立ち上げる為の原体験として計画して行なったものではありませんし、あのとき失敗した事業のうち一つでもうまくいっていたら、今のプロフェッショナル人材サービスを立ち上げることもなかったでしょう。アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズはスタンフォード大学の卒業式での有名なスピーチで”connecting dot”という考え方を述べていましたが、それと同じような感覚なのだろうな、と思っています。
母は70歳を超えていますが、今も書を通じて自分と向き合い挑戦を続けていまして、母のこういった行動を見てまだまだ学ばせてもらうことが多いと改めて感じました。そして、自分自身も、行動を通じて誰かにメッセージを伝えていきたいと思います。