永遠に完成することのない、だからこそ強い私たちの最大の武器『みらペディア』
みらいワークス全員の「行動力×集合知」。それが唯一無二のマニュアルを生み、強い組織の根源になるのです。
みらいワークスには、『みらペディア』と呼ばれている業務マニュアルがあります。これは、“みらいワークス”と“Wikipedia”を掛け合わせた造語ですが、創業以来、さまざまなきっかけを経て出来上がってきたものです。
もう4年ほど前にさかのぼりますが、当時ミドルオフィスのメンバーの7割くらいは、週2日しか出勤しないパートタイムの人達で構成されていました。その為チームの業務をしっかり伝えて連携することがとても大切になってきます。例えば5日ぶりに出勤した時に、顔を合わせていない人がやっていた業務をそのまま引き継ぐなんて場面もしばしばでして、それを間違えることなく進められることが重要でした。
しかし、口頭での伝達ではなかなかこれが難しい。まだ駆け出しのベンチャー企業においてはリッチなITの仕組みを導入する予算もないので、無理やり運用で対応するしかない、そんな状況でした。
そんな時に1人のメンバーがふと書店に行った時に手に取った本が、無印良品の元会長である松井忠三さんが書かれた、『無印良品は仕組みが9割』という本でした。無印良品を運営する良品計画社さんが38億円の赤字という経営難に陥っていた際、松井さんはV字回復を成し遂げました。それを支えた施策のひとつが“MUJIGRAM”という名のマニュアル。このことが本の中で取り上げられていました。
そのストーリーを読んだメンバーは、「これだ!」と思ったようでして、その本を会社に持ってきて「このマニュアルのみらいワークス版を作りましょう」と発案してくれました。
そのメンバーが主体的に取り組み、やがてミドルオフィス向けの『みらペディア』が出来上がりました。
時は流れて、2015年。みらいワークスが本格的にIPOを目指すことになった頃です。私自身、みらいワークスの今後の成長を考えるにあたり、改めて「みらいワークスの強さとは何か?」というシンプルな問いと向き合う日々が続きました。
その過程で書き留めていたのが、「『行動力×集合知』をみらいワークスの強みとする」という一節です。
ビジネスモデルとしての強みだけでなく、“組織としての強み”が無ければこの厳しいビジネス環境を勝ち残っていくことはできない・・・。そんな思いを抱え、何からインスピレーションを受けたのかは覚えていませんが、とにかくこの『行動力×集合知』をみらいワークスの強みとしていこうと考え始めたのです。
そのような考えを基盤として、営業版のみらペディアの作成に着手しました。
営業のノウハウや、経営理念である「日本のみらいの為に挑戦する人を増やす」という考え方にそった業務フローとはどうあるべきか。そのようなことを私自身が明文化していったのです。自分自身の仕事に対する想いを棚卸するような作業でしたが、書き始めると次から次へと書くことが出てきて文章の量が膨大になり、テキストのメモ帳に書きこんだものはあまりにも読みづらいものになってしまいました。その結果、このテキスト文章の存在はメンバーに周知されたものの当時は読まれることはなく、ただフォルダに格納されているだけでした。
2016年の夏からは、BS JAPANの『人生を変えた人事の話』に毎月2~3回出演させていただくようになり、各界の著名人と対談する機会に恵まれるようになりました。そして偶然にもそこで、松井忠三さんがゲストとしていらっしゃったのです。そう、初期のみらいワークスのミドルオフィス向けルールブック『みらペディア』の概念の元となった、『無印良品は仕組みが9割』の著者である無印良品の元会長・松井忠三さんです。
その出会いがきっかけとなり、松井さんのオフィスにお伺いする機会をいただきました。その際、MUJIGRAMについてお話をお聞かせくださり、またその現物も見せていただきました。そこで感じたのは、トップであった松井さんのMUJIGURAMというマニュアルに対する徹底的な想いです。現場の業務ひとつひとつに対して、何故このような業務をするのか、という理由が事細かに書かれており、それが会社の理念に繋がっていました。
マニュアル作りはついつい後回しになったり、一度作ったら更新されずに陳腐化してしまうことも往々にしてありますが、それを会社として“仕組み化”し、執念ともいえる姿勢で「生きるマニュアル」を創り上げていたのです。
ここまでの想いを持たなければならないのかと愕然としましたが、やはり経営理念やビジョン、行動指針と一体化したマニュアルを作り上げるのは大変なことですし、またビジネス環境が日々変わる現代においては、マニュアル自体も常に更新し続けなければなりません。このことが、みらいワークスの集合知を高めていく手段のひとつとして、本気でマニュアル作りに向き合うきっかけとなりました。
そして1年ほど前から、営業マニュアルをパワーポイントのドキュメントとして作り始めました。当時中途入社した新入社員にそれを用いてトレーニングし、理解度などを実際に確かめブラッシュアップしながら、徐々にマニュアルが作られていきました。
また昨年4月には『みらペディア委員会』という組織が立ち上がり、みらペディアの更新と、みらペディアによる社内トレーニングの運営が本格的に始まりました。
このような経緯を経て、今はさまざまな業務プロセスに対し現場で培ったノウハウが集まり、それがみらペディアをさらに進化させる。そのような流れが動き始めました。
みらペディアが誕生し、会社の文化として運用され始めるようになるまで3年ほどかかっており、企業の文化を作り上げるにはこれほどの時間が掛かるものなのだな、ということを改めて学びました 。とはいえ、メンバーが持っているノウハウ量に対して集まってくる量は不十分ですし、全業務領域についてのみらペディア作成にはまだ着手出来ていません。
コンサルタントとしてさまざまな企業を見ている中で、「企業の本当の強みはなかなか表に出てこないものが多い。文化や行動指針などに隠れているものが多いな」と感じたことがあります。
ビジネスが変わり続ける限り、みらペディアは永遠に未完成な状態が続きます。そして必ずみらいワークスの強みとなっていくと信じていますので、みらいワークスにとっての“本当の強さ”を作り上げる終わりなき戦いを、これからも皆で取り組んでいきたいと思います。