感覚に頼らない「再現性」を身につける

作成日:2025年8月29日(金)
更新日:2025年8月29日(金)

言語化する力と「守破離」との共通性

みらいワークスの行動指針“みらイズム”の一つに「主体性」があります。

(5つの行動指針:「挑戦」「主体性」「チームワーク」「変化」「持続的な関係」)

 

みらイズムは、プロフェッショナルとして成果を出し続けるための行動様式です。この中で主体性は「周りで起きることを自分事として、自ら行動して責任を果たすこと」と定義しています。

 

私は主体性には「再現性のある結果を出す」という概念が重要だと思っています。

 

成果を出し続ける人は、プロセスを振り返って分析し、何が成果につながったかを考えることができます。そして、振り返りから得た学びを次の行動に生かすことで、再現性のある結果を出せるようになります。

 

主体性をもって結果を出し、振り返り、学んで、次につなげる。この一連のサイクルがなければ、成果を出し続けることはできません。

 

 

しかし、中には、成果を出す方法が感覚的にわかっていて、成果を出し続けることができる人がいます。そういう人は振り返りをしていないので、なぜうまくいっているのかを言語化するのが苦手です。

 

こういった人がリーダーになると、部下に教えたり、指示を出したりする際に、うまく言語化できず、あいまいな表現になりがちです。その結果、部下は期待された動きができなかったり、リーダーは「なぜ部下が成果を出せないのか」が分からなかったり……。こんなことが起きてしまうんですよね。

 

 

実は、かつての私がまさにこのタイプでした。

 

独立するまで営業経験がなかったので、誰にも教わらずに、自分のやり方で成果を出してきました。なので、みらいワークスを立ち上げてから営業の最前線で戦う中で、「なぜ自分ができることを、他の人は同じようにできないんだろう」と、ずっと悩んでいました。

 

そんな時に、自分自身の行動を言語化するように意識したところ、大きな気づきがありました。「成果を出すための行動様式には、できる人とできない人がいるものと、誰でもできるものがある」と。自分の行動を言語化することで、他の人にも伝えられるようになり、このプロセスが重要だと気づかされました。

 

 

この「再現性」の考え方は、日本茶道や武道などの世界に伝わる「守破離」という考え方と共通していると思っています。

 

まずは、「守」。師匠や手本となる「型」を忠実に守る段階。

次に、「破」。型を深く理解した上で、独自の工夫を取り入れる段階。

そして、「離」。型から完全に離れて、自分の道を確立する段階。

 

この段階を踏んで道を究めていくことが重要である、という考え方です。

 

型を覚えなければ、他の人に教えることはできません。「守」の段階を経験すると、どのような型を作ればいいかを体感できます。

 

だから、「離」で確立した自分独自の道であっても、再現性を発揮できる状態になるのではないでしょうか。誰からも教わらずに感覚的に成果を出せる人は、型を覚える段階を経験していないので、他人に教えたり、その方法を再現させたりするのが難しいのだと思います。

 

 

ただ、自分自身が成果を出す方法を型化することは、他人が成果を出す方法を観察して型化することよりも、難易度が高いと思います。コンサルタントのように第三者的な立場で自分自身の成果を観察し、その方法を言語化するのはなかなか難しいことなのでしょう。

 

もし「自分で言語化するのは苦手」「客観的に見るのは難しい」と感じる人がいれば、外部人材や、社内で得意な人に協力を仰ぐのも一つの方法です。

 

 

チームや組織の中にはいろいろな人がいて、それぞれ得意なこと、苦手なことがあります。

 

「再現性のある勝ちパターン」を作るプロセスにおいても、全員が同じことをするのではなく、それぞれの得意分野を生かして役割分担をすることで、チームや組織全体の成果につながっていきます。

 

 

再現性のある結果を出すために、自分自身が成果をあげたプロセスを振り返って、うまくいった要因を振り返って言語化する。これができるようになるには、言葉にしていくことがスタートです。

 

日々の振り返りや業務報告は口頭で済ませるのではなく、記録に残しましょう。録音し、生成AIで作ったサマリーを修正して残していくという方法もあります。学んだことをストックして、後から見返せる形で残すことが重要です。

 

振り返りは、次につなげてこそ意味があります。ぜひ、自分なりのやり方で、この習慣を身につけていってください。