質と量とスピード
自分の基本の型は何か。質を問う前にまずやるべきこと
質と量とスピード。
これらはトレードオフの関係であると言えます。つまり、質を上げようとすると量が減り、量を増やそうと思うと質が落ちる。もちろん、両方を高めなくてはいけないですし、そこにスピードという要素が入ってきます。質と量とスピードのことは以前も書きましたが、まずは大前提として
“当たり前のことを当たり前にやり続ける、やり切る”
これが非常に大切であるということは、言うまでもありません。
経営上では、例えば“新しい業界をどのように攻めるか”や、“新規事業で何をすべきか”“イノベーションをどう起こすか”など、連続的ではない成長を遂げるために何をどうすべきか、といった内容についてはよく議論がなされます。しかし、まず大切にすべきは、既存の事業において行った方が良いと思えることを、素直に愚直にやり続け、やり切ること。これが一番大切ではないかと考えています。
スポーツ全般や、剣道・柔道・合気道、そして日本舞踊や能楽などの伝統芸能においても、基本の型を大切にします。その型を繰り返し続け、徹底的にやり続ける。名人と呼ばれるような域に達しても、基本の型を重んじて行うものが多いようです。「型が大切である」ということは、さまざまな場面であるのではないかと思っています。

まずスピードからお話しすると、日々、メールや通信アプリなどでやり取りをされている方も多いと思いますが、仕事でもプライベートでも返信が早いと安心しますし、きちんと対応してくれている、という印象を持つのではないかと思います。
ですので、特にビジネスにおいては、シンプルに1分1秒でも返事が早い方が良いということになります。自分もそう感じることは、相手もそう感じていると思いませんか。どのように返信して良いのかを考えているうちに、そのまま時間が過ぎてしまうことはあり得ますが、本来はそのようなことはあってはならないのです。何を書けば良いか迷った際には、「検討の上、回答します」や「内容を確認して連絡します」など、ライトな返答であっても、まずクイックに相手に返事をすること、これは当たり前のようですが、すごく大切なことなのです。
次に、量についてわれわれみらいワークスでの事業で見ると、できるだけ多くのクライアントや登録しているプロフェッショナル人材の方々にお会いすることが望ましいです。お会いした人数だけ親しくなれますし、エンゲージメントは高まります。オンラインで会話をするよりも、当然、直接お会いする方が親近感は湧きます。直接お会いする機会を増やし、接点の頻度が増えればそれだけ関係値が深まる、これは当たり前のことではないでしょうか。
また、それ以外においても、例えば外出先で名刺交換する方が一人でも増えれば、それだけ何らかの新しい機会を得られるかもしれません。行動量に裏付けされた機会が増えることや関係値が深まること、これは当然だと思います。行動量が増えれば、それだけ早く経験値も積み上がり、自分の質が高まることにもつながります。経験はうそをつかないはずです。もちろん、そこから何らかの学びを得ないければ、ただ行動を繰り返しているだけになってしまいますが、一つ一つの行動を大切にして行っていることであれば、行動量の積み重ねで、自分自身の質というのは確実に高まっていくものです。
スピードの速さ、行動量の多さというものは、努力や頑張り次第で何とでもなります。スピードに関しては意識することが重要ですが、時間をかければ行動量は担保することができます。しかし、質を高めることに関しては、経験を積み重ねたり訓練を繰り返していかなくては高めることはできません。突然「今日から質を高めてください」と言われても、それは難しいことです。
では、改善するためにどのような努力ができるかを考えると、それはスピードと行動量だと考えます。質より先に、まずはスピードと行動量をどう改善し、増やすことができるのか、まずはこの2つからなのではないでしょうか。

みらいワークスの事業においても、“当たり前のことを当たり前にやり続ける、やり切る”ことが基本であり、まず最初に行うべきことです。働くみんなにも、何か難しいことをやるのではなく、まずは行動量をやり切るということを忘れないでほしいと思います。
もし、何かに迷ったり立ち止まったりした時は、自分たちにとっての基本の型は何か、ということを思い出し、質よりも前にスピードと行動量が十分なのかを見てほしいと思います。そして困っている時というのは、実はそんなに難しいことが原因ではないケースが多いものです。当たり前にやるべきことがやり切れていない、という状況が多いように感じます。逆に言うと、うまく物事が進んでいる人というのは、何か特別なことをしているわけではなく、当たり前のことを当たり前のようにやり切っているのです。
困った時ほど基本に立ち返る。
型を忠実に守り切り、継続すること。スピードと行動量が足りているかを考えること。これらを忘れずに日々精進していきたいと思う次第です。