フリーランスが加入できる4つの健康保険とは? 国保以外のおすすめの保険も紹介

最終更新日:2024/05/23
作成日:2018/02/23

 
「フリーランスの国民健康保険はいくら?」「入らなくてもいい?」と疑問に思っていませんか。フリーランスの健康保険加入は必須であり、保険料は加入する制度によって変わります。

フリーランスが加入できる健康保険の種類や国保以外の選択肢も解説しています。

 

目次

 

■社会保障の不安も多いフリーランス

 

■フリーランスが加入できる健康保険について
健康保険とは
フリーランスが加入できる4つの健康保険
“組合”加入で保険料負担を抑えられることも

 

■【国民健康保険以外】フリーランスにおすすめの組合・団体とは
Webデザイナーなら「日本イラストレーション協会」
IT系ライターなら「日本デジタルライターズ協会」

 

■フリーランスの健康保険に関わるQ&A
フリーランスの国民健康保険の保険料はいくら?
フリーランスは健康保険に入らなくてもいいの?

 

■まとめ
 

 

社会保障の不安も多いフリーランス

社会保障の不安も多いフリーランス_1

会社員だった時代にはあまり意識していなかったということも少なくない、社会保険保障の恩恵。フリーランスになると、そのありがたみをいやというほど痛感させられる機会がたびたびあるものです。たとえば、健康保険や年金の保険料は半額を会社が負担してくれますし、年金は国民年金に加えて厚生年金という2階建てです。
 
病気やけがで仕事を休むことになったときにも、会社員には所得補償として平均日額の3分の2相当額が支給される傷病手当金がありますが、自営業の加入する国民健康保険では何の所得補償もありません。自身や家族がお子さんを生んだ場合に出産育児一時金を受け取れるのは自営業も変わりませんが、出産にともなって無休で会社を休むことになった場合の保障である出産手当金も、受け取れるのは会社員です。
 
少ない保険料負担で保障も手厚い会社員に比べて、自営業は高額な国民健康保険に加入を余儀なくされ、年金も国民年金のみ。そのようなことを理解したうえでフリーランスになったという方でも、最初に社会保険料の負担の大きさを実際に目にしたときには驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、万一何かあって仕事ができなくなっても何の保障もないということが大半です。
 
個人で仕事するフリーランスは、多少なりとも仕事の多寡や活動の継続に不安な気持ちを抱えているものですが、加えてそうした負担が大きくのしかかり、保障も手薄ということになると、その不安が大きくなってしまいます。そうしたなかで助けになる可能性があるのが、フリーランスにも加入できる“組合”です。

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フリーランスが加入できる健康保険について

フリーランスが加入できる健康保険について
フリーランスであっても健康保険への加入は必須です。

本章では健康保険の概要やフリーランスが加入できる健康保険の選択肢について解説しています。保険料負担を減らす方法にも触れているので、参考にしてみてください。

健康保険とは

健康保険とは、病気やケガなどの経済的負担を国全体で支え合う社会保障制度で、医療保険と呼ばれることもあります。
 
日本は国民皆保険制度により、国民全員が医療保険に加入することが義務づけられています。国民が加入できる健康保険は主に以下の3つです。
 

保険制度の種類 対象者
健康保険(被用者健康保険) 会社員等とその扶養家族
国民健康保険 75歳未満の自営業者・フリーランスなど
後期高齢者医療制度 75歳以上の高齢者

 

【健康保険】

健康保険は国・地方公共団体や民間企業などで働く人が加入する保険制度で、被用者保険とも呼ばれます。保険者(健康保険の運営主体)によって以下の3つに分かれています。
 

保険者 健康保険の運営主体 被保険者
健康保険組合 常時700人以上の従業員がいる
大企業等
大企業等で働く人とその家族
全国健康保険協会(協会けんぽ) 健康保険組合を設立していない
中小企業等
中小企業等で働く人とその家族
共済組合 国家公務員や地方公務員、
私立学校教員等
公務員・私立学校教員とその家族

 
健康保険組合は、常時700人以上の従業員がいる大企業の従業員とその家族が加入する健康保険です。また、複数の企業が共同で健康保険組合を組織・運営している場合は、その従業員と家族も対象となります。
 
一方、全国健康保険協会は、健康保険組合を設立していない中小企業等の従業員とその家族が加入します。
 
共済組合は国家公務員や地方公務員、私立学校教員とその家族が加入する健康保険です。
 
保険料はいずれも給与額(標準報酬月額)をもとに決まり、企業(公務員等の場合は国・地方公共団体)と従業員が折半で負担します。

 

【国民健康保険】

国民健康保険は、75歳未満の自営業者やフリーランスが加入する保険制度です。また、退職後に会社の保険を任意継続せず脱退した場合も国民健康保険に加入します。
 
保険料は世帯の加入人数や年齢、収入額などをもとに決定しますが、計算方法や料率は自治体によって異なります。なお、保険料の支払いは会社員等が加入する健康保険と異なり、全額自己負担です。

 

【後期高齢者医療制度】

後期高齢者医療制度は75歳以上、もしくは一定の障がいがある65歳以上74歳以下の高齢者が加入できるものです。保険料は都道府県ごとの広域連合が2年ごとに定めており、世帯主ではなく被保険者一人ひとりが支払うしくみになっています。

 

フリーランスが加入できる4つの健康保険

フリーランスの場合、以下4つのいずれかの方法で健康保険に加入する必要があります。

    ・国民健康保険への加入
    ・前職の健康保険を任意継続
    ・国民健康保険組合への加入
    ・健康保険の被扶養家族になる

 
本章ではフリーランスが健康保険に加入する方法について詳しく解説しています。今後会社を辞めてフリーランスになることを検討している人は、今後の選択肢を考えながら読み進めてみてください。

 

【国民健康保険への加入】

1つ目の方法は、国民健康保険へ加入することです。市区町村ごとの国民健康保険に加入し、月払いもしくは年払いで保険料を納める必要があります。
 
保険料額は収入額や地域によって異なります。

 

【前職の健康保険を任意継続】

前職の退職日までに2ヶ月以上継続して社会保険に加入していた場合、任意で退職した会社の健康保険に継続加入できます。任意継続が可能な期間は、最長で2年間です。
 
任意継続には、退職した次の日から数えて20日以内に手続きをする必要があります。また、在職中と異なり、任意継続時の保険料は全額自己負担となる点も注意が必要です。

 

【国民健康保険組合への加入】

国民健康保険組合とは、各業界・職種の従事者ごとに健康保険事業をおこなう団体のことです。フリーランスとして従事する業界や職種によっては、国民健康保険組合に加入できる場合があります。
 
国民健康保険組合への加入メリットについては、後述の「“組合”加入で保険料負担を抑えられることも」をご覧ください。

 

【健康保険の被扶養家族になる】

フリーランスは、配偶者など家族の健康保険組合に被扶養家族として加入する選択肢もあります。扶養に入るためには、収入が被保険者の年間収入の2分の1未満、かつ年間130万円未満であることが条件です。(同一生計の場合)
 
被扶養家族として健康保険に加入する場合、退職後原則5日以内に書類を提出する必要があるため、早めに準備しておきましょう。

 

“組合”加入で保険料負担を抑えられることも

フリーランスが加入できる“組合”にはいろいろな種類があります。基本的には、自分の業種向けに設立されている団体に加入することになりますが、加入前に確認しておきたいのが、「その団体が『文芸美術国民健康保険組合』に加盟しているかどうか」という点です。
 
「文芸美術国民健康保険組合」、略称「文美国保」は、その名のとおり国民健康保険組合で、文芸・美術・映画・写真などに関する仕事をしている方であればこの健康保険に加入できる可能性があります。文美国保に加入することができれば、その保険料は収入の多寡にかかわらず一定で、その保険料も収入や家族構成によっては国民健康保険に比べてぐっと安くおさえることが可能なのです。
 
フリーランスにとって大きな悩みの種の一つが、国民健康保険の保険料。これは収入に比例して保険料が大きくなるため、会社を退職した直後には会社員当時の収入をベースに計算されますし、事業が軌道に乗ったあとも保険料が増えることになります。扶養家族がいればその分保険料が増えますし、会社員時代と異なり全額自己負担のため、その負担はとても大きいものとなります。
 
この文美国保の健康保険に加入するための条件は、文美国保に加盟している団体の会員であること。したがって、文美国保の加盟団体かどうかで、享受できる恩恵が大きく異なる可能性があるというわけです。

 

【国民健康保険以外】フリーランスにおすすめの組合・団体とは

“【国民健康保険以外】フリーランスにおすすめの組合・団体とは

フリーランスで文美国保に加入するには、文美国保が加盟している団体の会員になる必要があります。文美国保の加盟していない団体であっても、会員価格で補償やサービスを利用できるなどメリットがあります。

 
本章ではフリーランスにおすすめの組合・団体を紹介しているので、参考にしてください。

Webデザイナーなら「日本イラストレーション協会」

画家やイラストレーター、3DCGの制作やキャラクターデザインといったイラストレーション関連の業種、グラフィックデザインやWebデザインなどに従事するデザイナー、漫画家といった業務に従事する法人および個人事業主が加入できるのが、日本イラストレーション協会(JILLA/ジャイラ)です。
 
日本イラストレーション協会は、「プロである組合員同士が集まり、より大きな団体として活動する事でスケールメリットを活かし、お互いの事業を『互助』」することなどを使命として掲げています。加入すると、連携したセミナーや講座を割引価格で受講することができたり、文具や画材などを割引価格で購入することが可能になったりします。
 
そして大きいのは、文美国保の加盟団体であるということ。日本イラストレーション協会の組合員が、確定申告書などで条件を満たす事業を行なっていると証明できれば、文美国保に加入することができるのです。そのほかにも、お得な保険料で所得補償保険に加入することができるという制度もあります。所得補償保険に加入すると、病気やけがで仕事ができなくなった場合に一定期間内の収入源を補う補償を受けることができ、補償の薄いフリーランスにとっては心強い味方になるでしょう。

IT系ライターなら「日本デジタルライターズ協会」

近年増加しているライター業のなかでも、IT分野に関するライティングに従事する個人事業主が対象となっているのが、日本デジタルライターズ協会です。日本デジタルライターズ協会も文美国保の加盟団体であり、会員になることによって文美国保に申し込む資格を得ることができるということになります。
 
多くの団体で加入を申し込むと、一定の条件を満たしているかどうかという審査を受けることになりますが、日本デジタルライターズ協会ではそれに加えて、協会の理事1人または入会審査委員1人の推薦が必要と、そのハードルが高めに設定されています。
 
また、日本デジタルライターズ協会では、ライター同士の情報交換やセミナーの企画などを予定しているとしています。会員でなくても参加できる勉強会なども企画されることがあり、2017年に実施された「フリーランスライターのための確定申告 勉強会2017」では多くの参加者が集まりました。
 
最近注目を集めているのが、「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会)」です。フリーランス協会は業種を問わず、フリーランスやパラレルワーカーとして働いている方であれば対象となります。フリーランス協会は文美国保の加盟団体ではないため、健康保険加入のメリットは得ることができませんが、所得補償や賠償責任補償を受けられる保険に会員価格で加入することができます。
 
※みらいワークスが、フリーランス協会と共催したイベントはこちら
 
加えて、福利厚生サービスを利用することができたり、コワーキングスペースや会計ツールなどの提携サービスを割引価格で利用できるようになったりといったメリットもあります。ほかに加入できる団体がないという方には、所得補償保険に安価で加入できることを中心にメリットとなるでしょう。
 
どの団体も、加入に際しては本人確認や加入条件を満たしているかどうかの審査を受け、加入後には会費を支払うことが大半です。文美国保の加盟団体で文美国保に加入できることになっても、加盟団体の会費と安くなった保険料のプラスマイナスは確認しておく必要があります。
 
しかし、“組合”に加入することには、健康保険料の軽減だけではなく、さまざまなメリットがあります。仕事の斡旋を受けたり、イベントで人脈を広げたりといったことが可能になれば、本業への好影響も期待できます。“組合”は安心してフリーランスとして働き続けていくことを助けてくれる存在になるかもしれません。

フリーランスの健康保険に関わるQ&A

フリーランスの健康保険に関わるQ&A

フリーランスの国民健康保険の保険料はいくら?

国民健康保険の保険料は収入額や住んでいる市区町村によって異なります。自治体のホームページで保険料の試算ができる場合があります。フリーランスになった場合の健康保険料の目安額を知りたい人は一度チェックしてみましょう。

フリーランスは健康保険に入らなくてもいいの?

フリーランスであっても、会社員などと同様に健康保険に加入しなければいけません。日本は国民皆保険制度により、国民全員が医療保険に加入する義務があります。加入しないまま放置していると、未払い分を一括払いするよう督促が来たり、延滞分が発生したりする可能性があります。最悪の場合、滞納処分として財産を差し押さえられることも。
 
退職してフリーランスになったら、速やかに健康保険の加入手続きを進めましょう。

まとめ

本記事では、健康保険の種類やフリーランスが加入できる健康保険の選択肢について詳しく解説しました。
 
フリーランスには「国民健康保険に加入」「前職の健康保険を任意継続」「国民健康保険組合に加入」といった選択肢があります。また、条件を満たせば配偶者など家族の扶養に入り、被扶養者家族として健康保険に加入することも可能です。
 
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(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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