独立するには?会社を辞めて起業・開業するための準備と成功のコツ
最終更新日:2026/02/13
作成日:2019/02/18
会社を辞めて独立したい。けれど、準備の進め方が見えない。生活の不安が先に立つ。
独立を考え始めたとき、多くの人がこのような悩みで立ち止まってしまいます。
そもそも独立とは、勢いで会社を辞めることではありません。目的を明確にして収益の見通しを立て、資金周りや手続きを整えて、続けられる形で始めることが重要です。
そこで本記事では、独立の定義を簡単に押さえた上で、準備から開業・起業までの流れを5ステップで解説します。
目次
■独立とは「個人の裁量と責任で事業を行うこと」
(1)個人事業主として独立
(2)法人設立により独立
■独立するために。準備~開業・起業までの5ステップ
(1)独立するメリットを言語化する
(2)事業計画を立てる
(3)資金を用意する
(4)独立する時期を決める
(5)開業・起業に必要な手続きを行う
■個人事業主として独立する場合の手続き
(1)税務署へ「開業届」を提出
(2)都道府県税事務所へ「事業開始等申告書」を提出
(3)必要に応じて「許認可」を申請
(4)その他の税務関連の手続き
■会社を設立し法人として独立する手続き
(1)会社の基本事項を決定
(2)実印を作成
(3)定款を作成
(4)出資金(資本金)の払い込み
(5)法務局へ登記申請
■独立して成功するための8つのポイント
(1)経営者としての自覚を持つ
(2)独立前から人脈づくりを大切にする
(3)スモールビジネス(小規模事業)で始める
(4)収入・支出の知識を身につける
(5)固定費を抑える
(6)補助金・助成金・融資の利用も検討する
(7)公的機関や専門家の相談も利用する
(8)違法なことをしない
■独立・起業・開業に関連するよくある質問
(1)独立するために必要なことは?
(2)独立しやすいと言われる仕事は?
(3)独立するのに役立つ資格は?
(4)独立する人の特徴は?
独立とは「個人の裁量と責任で事業を行うこと」

独立とは、会社などの組織に属さず、自身の裁量と責任において事業を運営することです。
会社員の場合、組織の一員として与えられた職務を遂行します。一方で、独立すると、事業の方向性決定から資金繰り、日々の業務まで、最終的には自分で判断しなければなりません。
そのため、独立するにあたっては、会社員時代とは異なる視点での知識やスキル、そして計画的な準備が不可欠です。
独立の始め方は、税務署へ開業届を提出して個人事業主として始める方法と、株式会社や合同会社を設立して法人として始める方法があります。ここで、それぞれの特徴を確認しましょう。
(1)個人事業主として独立
個人事業主は、法人設立に比べて手続きが簡易で、迅速に事業を開始できる独立の形態です。
税務署に「開業届」を提出すれば事業主として活動できるため、設立手続きにかかる費用は0円で済むことも珍しくありません。まずは事務的な手間を最小限に抑え、スモールスタートしたい場合に向いています。
実際に、フリーランスのデザイナーやライター、コンサルタントなど、多くの方々が、最初の独立の形として個人事業主を選んでいます。
個人事業主として独立後、売上や利益が一定の規模に達した段階で、信用面や節税などのメリットを考慮し、法人化(法人成り)するケースも一般的です。
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(2)法人設立により独立
株式会社や合同会社といった法人格を持つ組織を設立し、事業を行う形態を選ぶと、法人として独立することになります。
個人事業主と比較して、定款の作成や設立登記などの手続きや設立費用が必要になりますが、社会的な信用度が高い点が大きなメリットです。
信用力があるからこそ、金融機関からの融資を受ける際や、大手企業・法人との取引において有利に働くことがあります。
不動産会社との賃貸契約や事業用物件の取得など、信用が重視される場面で影響することもあるでしょう。
また、法人では役員報酬として給与を支払うことで、給与所得控除を活用できる他、利益と個人収入を分けて管理できるため、税負担を調整しやすいという特徴があります。
将来的に事業拡大や資金調達を見据える場合に効果的な選択肢です。
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『個人事業主が法人化(法人成り)すべきタイミングは?メリット・手順も解説』
独立するために。準備~開業・起業までの5ステップ

独立を決意してから実際に開業・起業するまでには、計画的な準備が不可欠です。
会社を辞めて独立しようと考えても、何から手をつければ良いかわからず、立ち止まってしまうことも少なくありません。
そこで、ここでは独立するための準備として、次の5つのステップについて解説します。
- 1.独立するメリットを言語化する
- 2.事業計画を立てる
- 3.資金を用意する
- 4.独立する時期を決める
- 5.開業・起業に必要な手続きを行う
独立するときにまずやることを知りたい方は、ぜひこのステップに沿って挑戦してみてください。
(1)独立するメリットを言語化する
独立する前に行う最初のステップは、「なぜ独立したいのか」「独立して何を実現したいのか」を言葉にすることです。目的が明確になると、事業の方向性や優先順位が定まり、迷ったときの判断軸になります。
例えば、「自由に働きたい」「収入を増やしたい」「経験や資格を活かしたい」など、独立の動機は人それぞれです。
理想だけでなく、独立で増える負担(収入の波・営業・経理など)も踏まえた上で、それでも得たい状態を整理しましょう。
おすすめは、次の3点を書き出すことです。
- ・独立で得たいこと(例:働く時間の裁量、月収、仕事内容)
- ・捨てても良いこと(例:安定、肩書、福利厚生)
- ・最低条件(例:生活費○ヶ月分、月○件の見込み客)
(2)事業計画を立てる
独立の目的が明確になったら、次はその目的を現実の売上につなげるために、事業計画を作りましょう。
事業計画とは「何を・誰に・いくらで・どう届けるか」を整理し、ビジネスとして成り立つかを事前に検証するための設計図です。
特に重要なのは、初期費用と固定費、売上の見込み、資金が尽きないかを数字で確認することです。これが曖昧だと、良い商品や技術があっても資金ショートで継続できません。
なお、融資や補助金を検討する場合も、事業計画の具体性が説明材料になります。
特に店舗型のビジネス(例:エステサロン、ネイルサロンなど)は、立地・単価・回転数・集客導線で収支が大きく変わります。「なんとなく始める」ではなく、開業前に勝ち筋を数字で設計しましょう。
事業計画の立て方
事業計画書は、アイデアを「事業として成立する形」に整理し、第三者にも伝わるようにまとめる設計図です。
項目を埋めること自体が目的ではなく、「誰の・どんな課題を・何で解決し・いくらで・どう届けるか」を一貫させることが重要です。
一般的には、次の要素を盛り込むと良いでしょう。
- ・事業コンセプト(ターゲット/課題/提供価値)
- ・市場・競合(競合と価格帯、選ばれる理由)
- ・強み(実績・経験・資格などの根拠)
- ・商品・サービス(内容、価格、範囲)
- ・販売・マーケ戦略(集客導線〜成約まで)
- ・提供・運用体制(手順、稼働、外注・協力先)
- ・数値計画(単価×件数、固定費、資金繰り)
これらを整理すると、集客不足・単価・固定費といった事業の課題を事前に洗い出せます。融資や補助金を検討する場合も、計画の具体性と実現可能性が説明材料になるでしょう。
職人の独立の場合
職人が独立する際の事業計画で特に重要なのは、技術力をどのように収益につなげるかを具体的に示すことです。どれだけ腕が良くても、価値が伝わらず適正な価格で受注できなければ、事業は続きません。
そこで事業計画では、これまでの実績や保有資格、対応可能な工事内容を整理し、なぜその価格で受けるのかという根拠を明確にしましょう。
また、材料の仕入れ先、協力できる同業者、元請けや顧客との関係性など、仕事を安定的に確保するための体制も重要な要素です。
特に独立初期は、単価・支払い条件・受注経路によって資金繰りが大きく左右されます。「仕事はあるのにお金が回らない」状態を避けるためにも、営業と数字の設計まで含めて計画することが欠かせません。
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(3)資金を用意する
事業計画が固まったら、必要資金を洗い出して準備に移りましょう。
独立に必要な資金は、事業を始めるための開業資金と、軌道に乗るまでの運転資金に大別されます。どちらかが不足すると、事業が回り始める前に資金が尽きるリスクが高まることを念頭に置いておきましょう。
資金は自己資金を基本としつつ、不足分は日本政策金融公庫の創業融資や、自治体の創業支援(補助金・助成金を含む)なども選択肢になります。
いずれも審査や要件があるため、土台となる事業計画を具体的に整えておくことが重要です。
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一般的な開業資金の目安
開業資金は業種や事業規模で大きく異なりますが、日本政策金融公庫の調査(2025年度)では、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円です。
分布を見ると「250万円未満」(20.1%)、「250万~500万円未満」(21.7%)で、4割以上が開業資金500万円未満となっています。
開業資金は、店舗・設備などの設備資金と、家賃・人件費・仕入れ・広告などをまかなう運転資金に分けて考えましょう。
初期費用に加えて、売上が安定するまでの運転資金を3〜6か月分確保しておくと、資金ショートを避けやすくなります。
特にカフェなどの固定費が重い業態は、計画の粗さよりも、運転資金が尽きることが撤退の引き金になりやすい点に注意が必要です。
参考:日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」
職人の開業資金の目安
職人が独立する際の開業資金は、当面は一人親方として仕事を請け負う場合で少なくとも100万円、従業員を雇うなら200万円程度が目安です。
ただし、使用する工具や作業場の有無によって大きく変わります。すでに必要な工具を揃えており自宅やガレージを活用できる場合は、初期費用を数十万円程度に抑えられるケースもあるでしょう。
一方で、専門機械や事業用車両、専用の工房・倉庫が新たに必要となる場合は、数百万円単位の設備投資が必要な可能性もあります。
なお、職人の場合は受注から入金までに時間がかかることも多く、材料費や外注費の立て替えが発生します。設備費だけでなく、運転資金も含めて見積もりましょう。
(4)独立する時期を決める
開業・起業するための資金調達に目途が立ったら、独立する具体的な時期を設定しましょう。目標時期を定めればスケジュールが明確になり、退職交渉や各種手続きなどを計画的に進められます。
独立する時期を決めるには、自己資金の状況や業界の需要期なども考慮しなければなりません。
例えば、ボーナス支給後や退職金を受け取ったタイミングなら、自己資金を厚くできます。業界の繁忙期に合わせて事業を開始し、スタートダッシュを狙う、という選択肢もあります。
(5)開業・起業に必要な手続きを行う
独立する時期を定めたら、事業を開始するために必要な手続きを進めましょう。行政の手続きは独立する形態によって異なり、法律で定められた義務であるため、漏れなく行わなければなりません。
個人事業主として開業する場合は、税務署への「開業届」の提出が中心となります。一方、法人として会社を設立する場合は、定款の作成・認証や法務局への「設立登記」といった複雑な手続きが求められます。
また、飲食業や建設業など、特定の事業を行う際には、別途、管轄省庁からの許認可が必要です。自身の事業に該当するかどうかを事前に必ず確認しておきましょう。
個人事業主として独立する場合の手続き

個人事業主は、法人設立よりも手続きがシンプルで、費用を抑えて事業を開始できます。手続きのステップは次の通りです。
- 1.税務署へ「開業届」を提出
- 2.都道府県税事務所へ「事業開始等申告書」を提出
- 3.必要に応じて「許認可」を申請
- 4.その他の税務関連の手続き
ここでは、個人事業主として開業するために最低限必要な手続きから、節税のために行っておきたい手続きまで、順を追って解説します。
(1)税務署へ「開業届」を提出
個人事業主として事業を開始するには、まず管轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」、通称「開業届」を提出することが基本です。
開業届とは、税務署に対して事業開始を届け出るものです。提出は事業開始から1ヶ月以内が目安とされていますが、提出しなくても罰則はありません。
屋号での銀行口座の開設や融資の申し込みで、開業届の控え等を求められる場合があるため、事業を円滑に進める上では提出しておくと安心です。
参考:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
(2)都道府県税事務所へ「事業開始等申告書」を提出
開業届とあわせて、事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所(都税事務所など)へ「事業開始等申告書(個人事業開始申告書など)」を提出します。
この書類は、国税である所得税とは別に、地方税である個人事業税の課税関係を自治体が把握するためのものです。
提出期限や様式は自治体によって異なり、例えば東京都では事業開始から15日以内と案内されています。
提出しなくても罰則がない自治体もありますが、各自治体の条例・ルールに基づく手続きのため、開業届とあわせて確認しておくと安心です。
参考:東京都「事業を始めたとき・廃止したとき」
(3)必要に応じて「許認可」を申請
開業する事業の種類によっては、国や地方自治体から事前に「許認可」を取得することが法令により求められます。
許認可が必要な事業を無許可で営業した場合、営業停止命令や罰金といった厳しい行政処分を受ける可能性があり、事業の存続に関わる重大な問題となるため注意しましょう。
例えば、ラーメン店や居酒屋などの飲食店は「飲食店営業許可」が必要です。他にも介護やタクシーなど、許認可が前提となる業種があります。
許認可の申請先や審査にかかる期間は事業内容によって異なるため、事業計画を立てる段階で、自身の事業に必要な許認可の有無を必ず確認しておきましょう。
(4)その他の税務関連の手続き
個人事業主として開業する際には、開業届の他にも状況に応じて提出を検討すべき税務関連の書類があります。
適切に提出すれば、税制上の優遇措置を受けたり、従業員を雇う際の手続きを進めやすくするため、確認しておきましょう。
例えば、最大65万円の青色申告特別控除など、青色申告の特典を受けたい場合は「所得税の青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
家族への給与を必要経費に算入するには、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。
この他、消費税の課税事業者選択やインボイス制度への対応、従業員を雇う場合の源泉徴収に関する届出など、事業内容によって必要となる税務手続きがあります。
提出期限が定められているものもあるため、事業計画に合わせて必要なものをリストアップし、早めに準備しましょう。
参考:国税庁「開業する場合」
会社を設立し法人として独立する手続き

法人として独立する場合、個人事業主の開業に比べて手続きは増え、時間と費用もかかります。一方で、法人名義での契約や資金調達がしやすくなり、取引先からの信用面で有利に働くことがあります。
会社設立のおおまかな流れは、次の5ステップです。
- 1.会社の基本事項を決定
- 2.実印を作成
- 3.定款を作成
- 4.出資金(資本金)の払い込み
- 5.法務局へ登記申請
ここからは、法人を設立するための一連の流れを具体的に解説します。
(1)会社の基本事項を決定
会社設立の最初のステップは、会社の骨格となる基本事項を決定することです。主に決める内容は次の通りです。
- ・商号(社名)
- ・事業目的
- ・本店所在地
- ・資本金の額
- ・出資者(株式会社:発起人/合同会社:社員)
- ・役員構成
- ・事業年度など
これらは、定款の作成や設立登記申請で必ず記載が求められる情報であり、事業の方向性を定める上で必要不可欠な要素です。
特に事業目的は、将来行う可能性のある事業も視野に入れつつ、実態に沿って記載しておくと良いでしょう。
また、設立する法人の形態として、一般的には「株式会社」か「合同会社」のいずれかを選択します。
(2)実印を作成
会社の基本事項が決定したら、法務局に届け出るための会社実印(代表印)を作成します。印鑑の提出は任意ですが、登記以外の手続きで実印を求められるケースが多く、実務上は提出するケースがよくあります。
会社実印は、重要な契約書などに押印され、会社の意思表示の証拠として扱われます。
このタイミングで、銀行口座の開設に用いる銀行印や、請求書・見積書などに使用する角印、必要に応じてゴム印も作成しておくと良いでしょう。設立後の業務をスムーズに開始できます。
(3)定款を作成
次に取り組むステップは、会社の憲法とも呼ばれる「定款」の作成です。定款には、先に決定した商号・事業目的・本店所在地といった会社の基本ルールを記載し、会社運営の根幹を定めます。
定款は会社法で作成が義務付けられています。法律上必ず記載すべき「絶対的記載事項」が一つでも欠けると、定款が無効となるため注意しましょう。
株式会社を設立する場合は、作成した定款を公証役場で認証してもらう手続きが必要です。一方、合同会社の定款は公証人の認証が不要です。
また、定款は電子で作成すると印紙税4万円がかからないため、費用を抑えたい場合は電子定款も検討すると良いでしょう。
参考:日本公証人連合会「公証事務」
(4)出資金(資本金)の払い込み
定款の作成が完了したら、出資金(資本金)を払い込みます。株式会社の場合、定款認証の前であっても払い込みは可能です。
払い込みは、会社が事業を行うための元手となる資金を確保したことを示す手続きです。設立登記の申請時に、この証明書面の提出が求められます。
会社設立前は法人口座が存在しないため、発起人(合同会社は社員)の代表者の個人口座に、各出資者が出資額を振り込む形で進めるのが一般的です。
全員の振り込みが完了したら、通帳コピーまたはWeb明細を用意し、「払込証明書」を作成します。なお合同会社の場合は、通帳コピーに代えて代表社員が出資者へ発行した領収書を用いる方法もあります。
(5)法務局へ登記申請
資本金の払い込みまで完了したら、必要書類一式を揃えて本店所在地を管轄する法務局へ設立登記の申請を行います。原則として、登記申請が受理された日が会社の設立日です。
登記によって会社は法人格を取得し、事業活動を開始できるようになります。
申請書類は多岐にわたり、不備があると法務局から補正を求められることがあります。会社の形態や機関設計によって必要書類が異なるため、不備がないよう慎重に準備を進めていきましょう。
手続きに必要な登記申請書類
これらの書類は、設立される会社が会社法の規定に則って適正に設立されることを証明するものであり、それぞれに法的な意味があります。
▼株式会社の場合
- ・設立登記申請書
- ・登録免許税納付用台紙
- ・登記すべき事項を記載した別紙
- ・定款
- ・発起人の同意書
- ・役員の就任承諾書
- ・役員の印鑑証明書
- ・印鑑届書(会社代表者印)
- ・資本金の払込みを証明する書面 など
▼合同会社の場合
- ・合同会社設立登記申請書
- ・登録免許税納付用台紙
- ・登記すべき事項を記載した書面(登記用紙と同一の用紙等)
- ・定款(※公証人の認証は不要)
- ・代表社員(または業務執行社員)の印鑑登録証明書
- ・出資金(資本金)の払込みを証する書面(※領収書方式になることも)
- ・印鑑届書(会社代表者印) など
実際に必要な書類の種類は、会社の形態や機関設計によって異なります。事前に法務局のWebサイトなどを確認し、自身のケースに必要なものを正確に準備しましょう。
参考:法務局「株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)」、「合同会社の設立手続について」
独立して成功するための8つのポイント

独立は、単に会社を辞めて事業を始めることではありません。事業を継続し、成功に導くことこそ最終的な目標です。独立後の事業運営には、会社員時代とは異なる視点やスキル、そして強い精神力が求められます。
多くの困難が伴う中で成功の確率を高めるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- ・経営者としての自覚を持つ
- ・独立前から人脈づくりを大切にする
- ・スモールビジネス(小規模事業)で始める
- ・収入・支出の知識を身につける
- ・固定費を抑える
- ・補助金・助成金・融資の利用も検討する
- ・公的機関や専門家の相談も利用する
- ・違法なことをしない
ここで、独立して成功するために重要となる8つのポイントをそれぞれ解説します。
(1)経営者としての自覚を持つ
独立後は、事業の方向性もお金も時間も、最終判断はすべて自分が背負います。だからこそ、自分を整えて意思決定の質を保つ経営者としての力が、技術や知識以上に事業の継続を左右します。
経営者マインドの要点は次の通りです。
- 1.自分を客観視して見直し続ける
- 2.理念・ビジョンをぶらさない
- 3.困難を学びに変えて挑戦する
- 4.感情と健康を含めてセルフマネジメントする
独立はできる人が勝つというより、経営者である自覚を持って「整え続けられる人」が残る世界だ、と捉えると迷いにくくなるでしょう。
その上で、苦手領域は外注や協力者に任せるのも効果的です。お金がかかったとしても時間と判断力を買う投資となり、経営者が本来集中すべき判断と価値提供にリソースを使えます。
(2)独立前から人脈づくりを大切にする
独立後は会社の看板がなくなるため、仕事の獲得や意思決定の支えになるのは個人の信用とネットワークです。だからこそ、人脈づくりで困ったときに頼れる関係を先に作っておくことが重要になります。
人脈の役割は主に3つです。
- 1.仕事の紹介・受注につながる
- 2.協力会社や同業者など、一緒に仕事を回せる
- 3.経験者など、迷ったときに相談できる
在職中は肩書きや信用がある分、相手も話を聞きやすく、関係を作りやすい時期です。
独立後は実務に追われて動きづらくなるため、準備期間のうちにセミナーやSNSなどを活用し、少人数でも深い関係を意識して築いておきましょう。
職人の人脈づくりとは?
職人の独立では、技術力だけでなく同業者や関連業者との横のつながりが受注力と安定経営を左右します。なぜなら現場仕事は、一人で完結しにくく、人手・段取り・資材・急な変更で詰まりやすいからです。
例えば、応援を頼める同業者がいれば大きな案件にも対応でき、専門外の工程は融通し合えます。
さらに、材料の仕入れ先、建設会社などの元請、設計事務所と関係を作っておくと、紹介や継続発注につながりやすくなります。
地域の職人組合・団体への参加も、情報交換や共同受注の入口として効果的です。
(3)スモールビジネス(小規模事業)で始める
独立する際は、最初から事業規模を大きくするのではなく、小規模から始める「スモールスタート」がリスク管理の観点から有効です。
小さくするのは、主に固定費・設備投資・人件費などの毎月の負担であり、身軽な状態ほど軌道修正や撤退判断がしやすくなります。
例えば、まず個人事業主として開業し、売上や利益の見通しが立ってから法人化を検討する方法があります。会社員であれば、副業として小さく検証し、再現性のある集客や収益が見えてから独立するのも良いでしょう。
一方で、小さく始める=安く受けることではありません。安売りが固定化すると後から単価を戻しにくく、結果的に疲弊することを覚えておきましょう。
(4)収入・支出の知識を身につける
独立して事業を継続させるには、収入と支出を管理するための会計・税務の基礎知識が欠かせません。どんぶり勘定のままだと、黒字に見えても手元資金が尽きるなど、資金ショートのリスクが高まります。
最低限、「売上」「経費」「利益」だけでなく、「入金予定」と「支払い予定」まで見える化しましょう。日々の取引を記録し、試算表や資金繰り表でお金の流れを把握できれば、赤字の芽を早めに潰せます。
確定申告や決算を自分で行うなら簿記の基礎知識が役立ちます。不安がある場合は会計ソフトを導入し、必要に応じて税理士など専門家に相談すると、時間とミスを減らせるでしょう。
(5)固定費を抑える
事業を安定させるには、売上に関係なく毎月出ていく固定費を抑えることが重要です。固定費が高いほど損益分岐点が上がり、売上が少し落ちただけで赤字になりやすく、資金繰りが一気に苦しくなります。
独立初期は「売上を伸ばす」より先に、売上が下振れても耐えられる形を作りましょう。例えば、次のような選択肢があります。
- ・オフィスは自宅やコワーキングで代替
- ・いきなり正社員で抱えず、必要な業務だけを外注や業務委託で調整
(6)補助金・助成金・融資の利用も検討する
自己資金だけで事業資金を賄うのが難しい場合は、公的な補助金・助成金や融資の活用も検討しましょう。独立初期は売上が不安定になりやすく、手元資金に余裕を持たせることが重要な備えになります。
補助金・助成金は返済不要の資金ですが、補助金は採択制で、支給が後払いになるケースも多いです。資金繰りの計画とセットで検討しましょう。
助成金は要件を満たせば受給できる制度もあるため、対象になるか早めに確認すると良いでしょう。
日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資は、実績のない創業期でも検討しやすい融資です。返済が前提なので、「何に使い、どう回収するか」を事業計画と数字で説明することが重要です。
(7)公的機関や専門家の相談も利用する
独立準備や事業運営で生じる疑問や課題は、一人で抱え込まず、相談窓口を活用することが賢明です。税務・法務・労務は判断ミスがコストやトラブルに直結しやすく、自己判断で進めるほどリスクが高まります。
特に、契約・お金・人に関わる論点は「後から修正」が難しいため、早い段階で第三者の視点を入れましょう。
困ったときだけでなく、事業計画や手続きの段階で相談しておくと、抜け漏れを防ぎ、独立後の手戻りを減らせます。
独立について相談可能な窓口
独立準備で出てくる悩みは、税務・法務・労務・経営・資金調達にわかれます。事前に内容に合う相談先をまとめたので、あらかじめ確認しておきましょう。
- ・税務:税理士や税務署の窓口
- ・法務:弁護士
- ・労務:社会保険労務士
- ・経営全般:商工会・商工会議所、よろず支援拠点
- ・資金調達:日本政策金融公庫や自治体の制度融資窓口
税務署の相談は手続きや制度の確認が中心になるため、個別の税額設計まで踏み込みたい場合は税理士に相談しましょう。
最初から専門家を決めきれないときは、よろず支援拠点などの経営全般の窓口で状況を整理し、必要に応じて適切な専門家につなげてもらうとスムーズです。
(8)違法なことをしない
事業を長期的に続けるには、法令を守り、誠実に運営することが大前提です。違法行為は追徴課税や罰則だけでなく、取引停止や評判悪化につながり、信用を取り戻すのが極めて難しくなります。
特に独立前後は、前職の情報や契約がトラブルの火種になりやすい点に注意しましょう。顧客情報や社内資料の持ち出しはもちろん、秘密保持や競業避止などの取り決めに反する行為は、損害賠償などのリスクを伴います。
退職時は引き継ぎを丁寧に行い、関係を円満に保つことも大切です。独立後の紹介や協力につながることもあるため、短期的な得より長期の信用を優先しましょう。
独立・起業・開業に関連するよくある質問

独立を検討する際には、多くの人が共通の疑問や不安を抱えるものです。会社員として働くことと自ら事業主になることの間には大きな違いがあり、具体的なイメージが湧きにくいことも原因の一つでしょう。
そこでここでは、独立に関して特によく寄せられる質問をまとめました。
独立するために本当に必要なことや、独立しやすい仕事、役立つ資格など、具体的な疑問に答えます。独立への理解をさらに深め、自身の判断材料としてください。
(1)独立するために必要なことは?
「独立するには何が必要だろう」と疑問に思う方は多いでしょう。
独立するために必要なことは、事業を継続させるための「収益計画」、それを実行するための「専門スキル」、そして困難を乗り越える「自己管理能力」です。
アイデアや情熱だけでは事業は成り立ちません。利益を生み出す具体的な仕組みと、それを支える技術や知識、経営者としての強い精神力が不可欠です。
明確な事業計画を立て、必要な資金を準備し、開業・設立手続きを行うといった物理的な準備を進めましょう。同時に、顧客を獲得する営業力や、お金の流れを管理する経理知識も求められます。
これらを総合的に準備し、実行していくことが独立の成功につながります。
(2)独立しやすいと言われる仕事は?
独立しやすい仕事には共通点があります。ポイントは「初期投資が小さい」「固定費が重くない」「在庫を抱えない」「集客が再現できる」「単価の根拠を作りやすい」の5つです。
例えば、次のような仕事は独立の初期に向きやすい傾向があります。
- ・Web系(Web制作、デザイン、ライター、動画編集、SNS運用)
- ・IT系(SE、アプリ開発、業務改善、データ分析)
- ・コンサル・代行系(業務代行、マーケ支援、採用支援、営業支援)
- ・専門サービス系(士業、講師、トレーナー)
ただし、独立しやすさと成功しやすさは別です。参入しやすい分、競合も増えやすいため、得意領域を絞り、実績の見せ方と価格の根拠を用意することが重要です。
(3)独立するのに役立つ資格は?
独立に役立つ資格は、その資格がなければ業務を行えない「業務独占資格」と、専門性や信頼性を証明する「名称独占資格」に大別されます。
業務独占資格は特定の業務を法的に独占できるため、安定した需要が見込めるでしょう。例えば、次のような資格があります。
- ・税理士
- ・司法書士
- ・行政書士
- ・公認会計士
一方、名称独占資格は専門知識の証明となり、顧客獲得において有利に働くことがあります。例は次の通りです。
- ・中小企業診断士
- ・ファイナンシャルプランナー(FP)
ただし、どの資格も「持っているだけ」で仕事が成立するわけではありません。独立後に本当に効くのは、実務スキル・実績の見せ方・集客導線と組み合わせて活用できているかどうかです。
迷った場合は、現在の仕事や経験と直結し、単価や信頼の根拠として説明しやすい資格 から検討してみましょう。
(4)独立する人の特徴は?
独立して成功する人の大きな特徴は、必要なマインドや指針を日々の行動習慣として身につけていることです。例えば、次のような傾向が挙げられます。
- ・自分で課題を見つけ、優先順位をつけて動く
- ・失敗や想定外が起きても、原因を整理して改善に切り替える
- ・学び続け、必要なスキルを都度アップデートする
- ・収益や時間など、数字で状況を把握して判断する
- ・感情や体調を含めて自己管理し、継続的に働ける状態を作る
独立すると、意思決定も行動もすべて自分の責任になります。トラブルや失敗は避けにくいため、落ち込まない人が強いというより、早く立て直せる人が残っていくでしょう。
孤独感やプレッシャーを感じる場面も増えるので、相談先を確保し、生活リズムを崩さない工夫まで含めて準備しておくと、継続しやすくなります。
まとめ

独立は勢いで会社を辞めることではなく、収益の見通しと資金繰りを整えた上で踏み出す選択です。
迷ったら、まず「なぜ独立したいのか」を言語化し、次に「誰に何をいくらで提供し、月いくら売るか」を数字で置いてみてください。
その上で、生活費を含めた必要資金と手続きの段取りが見えれば、独立は不安ではなく計画に変わります。
いきなり退職を決めるのではなく、紹介した5ステップを順に行って「独立できる条件がそろったか」を確認しながら進めていきましょう。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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