【ITコンサルタント】未経験からの転職!必要なスキルや技術とは?年収はどうなる?
最新更新日:2022/07/29
最新作成日:2022/07/29
好調が続く、コンサルティング業界にチャレンジしたい人におすすめなのが、ITコンサルタントです。専門領域によってばらつきはあるものの、未経験からITコンサルタントにキャリアチェンジするのに有利なスキルや能力・資格をまとめました。未経験からITコンサルタントへの転職の現状や転職後の年収についても解説しています。
目次
■ITコンサルタントへの転職状況
(1)未経験からコンサルタントに転職可能?
(2)未経験でも需要が高いITコンサルタントになれる?
(3)未経験からITコンサルタントに向いている人とは?
■企業がITコンサルタントに求めるスキルと技術
(1)SEと技術的な会話ができる
(2)PMOと経営戦略で支援しあえる
■キャリアアップを目指すならITコンサルタントにおすすめの「資格」
(1)ITコーディネーター
(2)中小企業診断士
(3)プロジェクトマネージャー試験
■ITコンサルタントにまつわるQ&A
(1)ITコンサルタントとSIerとの違いは?
(2)ITコンサルタントを目指す際に専門領域として有利なのは?
(3)ITコンサルタントを目指す際に有利になる実績とは?
(4)ITコンサルタントは激務?
(5)ITコンサルタントの将来性は?
■未経験からITコンサルタント転職成功を目指すなら人間力も大切
ITコンサルタントの求人状況
ITコンサルタントの求人情報には「未経験者可」とされる募集が存在します。コンサルタント専門の転職エージェントでも未経験者OKとする求人情報があるようです。
ITコンサルタントには、システムのパッケージ導入などITコーディネーターとしての側面が期待されていますが、経営戦略についてのコンサルティングも重要な業務の一つとして考えられています。
ITの知識は必要ですが、キャリアによっては未経験からITコンサルタントとして転職に成功する可能性があります。未経験者がITコンサルタントへの転職に挑戦する際に知っておきたい知識を解説します。
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(1)未経験からコンサルタントに転職可能?
多くのコンサルティングファームが、随時中途採用を行っていますが、採用における経験者と未経験者の比率は、現在2:8程度といわれています。一概には言えませんが、約8割もの人材が「コンサルティング未経験者でありながら転職に成功している」ということです。
コンサルタントは、高度で特殊なスキルを持つ職業といったイメージが強いため、意外性がある数字かもしれません。ここ数年、日本のコンサルティング市場が急激な拡大を見せ、コンサルタントの数が足りなくなっていることに起因しています。
国内のコンサルタント求人情報数は順調に増え続けており、今後数年は同様の伸び率が継続する見通しといわれています。 そのため、コンサルタント未経験者であってもポテンシャルを秘めた人材に対する需要が高い状況が続くでしょう。
(2)未経験でも需要が高いITコンサルタントになれる?
中でも、特に人手不足なITコンサルタントへの門は広く開かれています。ITコンサルタントは、クライアント企業に対してITを使った経営や業務改善に繋がるシステムの提案と導入が主な役割です。すでにシステムを導入する企業にもサポートと付加価値を提供し、企業成長を手助けするのがミッションです。
企業の命運をかけた経営戦略プロジェクトに関わる、大変やりがいのある仕事といえるでしょう。これまでITコンサルタントとしての実務経験がなくても、素養があると認められれば大きなプロジェクトに携われるチャンスもあり、トライする価値は大いにあります。
厚生労働省が運営する職業情報運営サイト「jobtag」でITコンサルタントについて検索すると「入職前の実務経験」について「特に必要ない」と答えた現職のITコンサルタントは17.6%にも上ります。「実務経験が必要」と答えている人の中でも15%程度は「1年以内の経験が必要」と回答しています。外から見ているより、内情は未経験者や経験が浅い人材でもITコンサルタントとして採用されやすい状況だといえるでしょう。
(3)未経験からITコンサルタントに向いている人とは?
IT技術の発展によりITコンサルタントを導入する業界やITコンサルタントに求められる業務の幅もかなり広がっています。そのため、さまざまな経験やスキルを持つ人材が必要とされ、同時に多くの人にチャンスがあります。
未経験者からITコンサルタントとして採用されやすいのは、ITスキルを備えた、SEなどのITエンジニアです。ITコンサルタントには、経営戦略や金融関連の知識も必要とされるため、金融業界経験者やPMOなど、企業の経営戦略プロジェクトに絡んだ経験のある人材も高く評価されます。中小企業診断士など、専門知識を活かしてITコンサルタントを目指す人もいます。
ただし「jobtag」では、ITコンサルタントに最も必要なスキルとされるのが「要件分析(仕様作成)」という結果が出ています。次に多いのが「他者との調整」や「説明力」「傾聴力」といった「対人能力」です。仕事の性質としても「他社とのかかわり」をあげる人が最も多いです。ITコンサルタント未経験であっても、対人面でのリスク回避能力やコミュニケーション能力が高い人材であれば、向いていると判断されるでしょう。
出典:ITコンサルタント 職業詳細|職業情報提供サイト(日本版O-net)jobtag
未経験からITコンサルタントに転職したら年収は?
未経験からITコンサルタントに転職する場合、前職での年収が目安となるでしょう。現在活躍中のITコンサルタントの学歴は大学卒以上が7割です。そのため、大卒以上の学歴を持つ人材の給与レンジが適用されると考えられます。ITエンジニアやPMOなど親和性のある職種からであれば、前職での実績が評価され年収アップも期待できます。
ただし、ITコンサルタントになりたての初年度の年収は300万円台というケースもあるようです。前職がITコンサルタントと親和性のある職業であったり、ITコンサルタント向けの資格を保有していたりする人は、年収の交渉に長けたマッチングエージェントを利用するのが良いでしょう。
また、ITコンサルタントは、平均年収776万円と比較的高年収で年収1000万円を超す人も多い職種です。ITコンサルタントとしての実績がつけば年収が上がったり、さらなる転職で年収アップを図ったりも可能です。
企業がITコンサルタントに求めるスキルと技術
では、ITコンサルタントとして転職に成功しやすいのはどのような人材なのでしょうか?企業がITコンサルタントに期待するスキルや技術を紹介します。
(1)SEと技術的な会話ができる
ITコンサルタントのニーズが高まったのには、ERP関連のコンサルティング業務が急増したことが一因だと考えられています。ERPは、企業経営における資源要素を有効活用するための基幹系情報システムです。
ERPは、元々生産管理の手法であるMRPを一般企業経営にも運用できる形式にしたことで発展しました。「生産効率を向上させるための仕組みを企業運営の効率化に応用した」というわけです。現在、ERPは経営管理の中枢を担うシステムとして認識され、多くの企業では、ERPのシステムエンジニアリングについて知識があるITコンサルタントを求めています。クライアント企業が期待しているのは、SEとの技術的な会話、そしてコミュニケーションです。
ERPを自社の運営やサービスに最適化させるには、実際に技術を提供するSEの存在が不可欠です。ITコンサルタントがERP導入プロジェクトで手を動かすSEを総括する立場になるため、SEの仕事内容や躓きやすい要素などについての知見が求められます。ERP導入や最適化プロジェクトでリーダーを努めたSEがITコンサルタントにキャリアチェンジするケースもあります。
(2)PMOと経営戦略で支援しあえる
現在多くの企業でPMOが設置されています。ITコンサルティングには、クライアント側のPMOとの調整も必要です。プロジェクト運営の際に、要件定義や経営戦略と現場との均衡など、PMOとITコンサルタントが協力しあう場面が多々あります。
こうした際、ITコンサルタントに求められるのは、SEとの技術的な会話をPMO人材にわかりやすく説明したり、文書化したりする能力や社会人として当たり前のコミュニケーションスキルです。
SEなど技術者からITコンサルタントに転身した人材は、どうしても技術者よりの考え方をしがちです。しかし、ITコンサルタントにはプロジェクト全体を俯瞰して状況判断し、PMOとSEの立場や意見を橋渡しできるような存在であろうとする姿勢が必要かもしれません。
キャリアアップを目指すならITコンサルタントにおすすめの「資格」
未経験からITコンサルタントとしてキャリアアップを目指すなら取得しておきたい資格を紹介します。いずれの資格もコンサルティング業界では難易度が高いと知られているため、合格者は好待遇が期待できます。
また、これらの資格に併せて英語力を証明できる資格を保有していると、未経験からITコンサルタントを目指すには有利だといわれています。
(1)ITコーディネーター
ITコーディネータは2001年に経済産業省(当時は通商産業省)によって設けられ、取得を推奨されている資格制度です。企業のIT化をサポートする、IT専門家としての能力を証明できます。
資格保有者は7,000名を超えています。ITコーディネータの資格保有者は、その他にも中小企業診断士やITコンサルタント系の資格・公認会計士・税理士などの難関資格も有している人材が多いそうです。
ITコーディネータの合格率は毎年多少変動しますが、近年では50%から70%程度です。令和3年に実施された第44回試験では受験者数に対して合格率は65.7%でした。テキストや参考書による独学で合格する人もいますが、効率的に勉強をしたい人向けの試験対策用のスクールや通信講座もあります。
(2)中小企業診断士
中小企業診断士は、資格名だけを見るとITとはあまり関係がなさそうな印象を受けますが、ITコンサルタントを目指すなら、持っていた方が良い資格の一つです。 中小企業診断士は、経営コンサルタント向けの国家資格なので信頼性が高く、ITコンサルタントとして働く場合にも非常に役に立ちます。ITに関わるコンサルタントのキャリアアップにつながる高度な資格です。
ただし、その分難易度も高いです。中小企業診断士の試験は、1次と2次に分かれていますが、まず1次試験の合格率は20%程度です。残った20%の合格者も2次試験では更に数を減らし、1次試験合格者のうち、20%程度が合格の栄光を手にします。
中小企業診断士の資格認定を目指すのならば、日頃からしっかりと勉強する必要があります。クライアント企業やプロジェクトに応じた知識が求められるITコンサルタントには、努力を厭わない心と向上心が必須です。
(3)プロジェクトマネージャー試験
未経験からITコンサルタントになる場合、SEなどITエンジニアの経験のほかにも、プロジェクトマネジメントの知識があるとより有利です。そこでおすすめなのが、プロジェクトマネジメントの能力を証明できるプロジェクトマネージャー試験です。プロジェクトマネージャー試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験です。
IPAの認定資格にはレベル1からレベル4までありますが、プロジェクトマネージャー試験は難易度が最も高いレベル4で、理系資格の中でも特に難しい試験として有名です。範囲が広く、記述と論述試験の両方に合格する必要があります。内容は「セキュリティ」「システム開発技術」「ソフトウェア開発管理技術」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「システム企画」「法務」の7分野から出題されます。
ちなみにIPAはアドミニストレーターや一般向けのシステムアドミニストレーター認定試験も実施しており、初級から超難関レベルまでの資格認定を行っています。
ITコンサルタントにまつわるQ&A
未経験からITコンサルタントを目指す人材に多い質問をまとめました。
(1)ITコンサルタントとSIerとの違いは?
コンサルティング業界未経験者には、ITコンサルタントとSIerが混同されがちです。ITコンサルタントは業種で、SIerはITコンサルタントやシステムエンジニア(SE)・プログラマ―が所属するITのプロ集団組織です。
ITコンサルタントがITの力を使って企業が抱える経営課題を解決に導くことがミッションだとすると、SIerのミッションはクライアント企業の課題のソリューションに向けて、システムやツールを設計・開発・実装することです。ITコンサルタントが経営戦略を踏まえて業務改善に導くための提言を行うのに対し、SIerは「課題が何か」を絞ったうえで依頼されたシステム開発を行ないます。
(2)ITコンサルタントを目指す際に専門領域として有利なのは?
「SAP」「CRM」「SCM」です。どれも、それぞれの専門コンサルタントとして成り立ちますが、ITコンサルタントには、これらの領域についての広い知識に加えて「IT戦略コンサルティング」の知見があるとより有利です。
(3)ITコンサルタントを目指す際に有利になる実績とは?
先にあげた、SAP・CRM・SCMにSEなどITエンジニアとして関わった経験やクライアント企業の業界経験があると有利です。また、PMO経験者もPMOとのスムーズな連携を期待してポテンシャル採用されやすい傾向です。
(4)ITコンサルタントは激務?
ITに限らず、コンサルタントは激務になりがちです。また、未経験からITコンサルタントを目指す人は実績作りのため、多少は激務でも任務を遂行する意識が必要とされるでしょう。
しかし、フリーランスでクライアント企業と契約する場合、本人の希望や担当エージェントの腕次第で、日によって勤務時間の配分を調節できたり、勤務形態をリモートにできたりするでしょう。ITコンサルタントとして転職活動を進める際は、契約時やエージェントとの面談時に参画条件について、しっかり擦り合わせを行うのがおすすめです。
(5)ITコンサルタントの将来性は?
2021年に経済産業省が発表した「DXレポート2.1」では、企業共通の人材育成のジレンマとして「技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっている」「即座に新技術を獲得できる人材は引き抜かれてしまう」という課題が挙げられています。
また、国内IT系人材が不足する中、下流工程(開発そのもの)については、すでに海外ベンダーへ移行したり、開発ツールによる自動化を目指したりする動きが進んでいます。つまり、日本国内では、将来的に下流工程に携わるIT人材よりも、コンサルティング業など上流工程に関わる人材のニーズが高まると予想されてます。
今後も、当然新しい技術やシステムが開発されます。そのため、同じジレンマを抱える状況が続くでしょう。言い換えれば、IT業界の変化スピードに付いていける、なおかつ努力できる人材なら、ITコンサルタントとして将来も食うに困ることはないといえます。企業側も優秀な人材が引き抜かれないよう、雇用条件の見直しなどの対応策が必要とされているため、ITコンサルタントの待遇の向上が見込めます。
未経験からITコンサルタント転職成功を目指すなら人間力も大切
コンサルティング業界では、現在ポテンシャル採用が広く行なわれており、中でも人手不足の ITコンサルタントは未経験からのチャレンジがしやすい状況です。
ITエンジニアなどの親和性が高い職業を経験していたり、ITコンサルタントとしての能力を証明できる資格を保有していたりする人材は、特にITコンサルタントへの転職成功率が高い傾向です。一方で「実績は必要ない」「ITの知見より対人スキル」といった声もあり、コミュニケーション能力や本人のバイタリティが重視される側面もあります。
まずは、信頼できるコンサルティング業界専門のマッチングエージェントに登録して、強みになりそうな実績やスキル、自己研鑽できそうな能力を洗い出す所から始めましょう。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)