RPAエンジニアとコンサルの役割の違いとは?求められるスキル

最終更新日:2023/11/08
作成日:2019/05/19

「RPAを導入したものの期待より効果が出ない…」と感じている企業は相当数存在します。そこで必要なのがRPAコンサルタントの存在。今回は、エンジニアとコンサルタントの役割の違いを簡単に振り返り、効率の良いRPA開発の考え方やコンサルタントに求められるスキルについて解説します。

 

目次

■RPAエンジニア/RPAコンサルタントの違いと将来性
(1)エンジニアは開発/保守/運用、コンサルタントは上流工程を担当
(2)RPAエンジニアやRPAコンサルタントの将来性が不安視される理由

 

■RPA開発でもっとも重要なのは開発すべき業務の選別
(1)コンサルタントの最初の仕事は優先順位付けと業務選別
(2)一般的な導入プロセスの事例

 

■RPA開発を効率よく進める優先順位の考え方
(1)ロボット処理による時間削減効果が高いものから実現させる
(2)導入目的から要件定義

 

■結果をスピーディに出せるRPA開発とコンサルの役割
(1)テクノロジーの取得から導入支援サービスまで
(2)自動化よりも自働化を目指す

 

■効果的なRPA開発を実現するコンサルに求められるスキルとは
(1)プログラミングと業界知識、プログラム設計書が書けること
(2)RPA開発はスピードが命

 

■まとめ

 

RPAエンジニア/RPAコンサルタントの違いと将来性

男性コンサルタント

(1)エンジニアは開発/保守/運用、コンサルタントは上流工程を担当

RPAエンジニアとはRPA導入に特化したITエンジニアです。要件定義/設計や開発を担当するのは開発エンジニア、保守/運用を担当するのはサポートエンジニアと呼ばれ、それぞれのポジションからRPA導入を支援しています。

一方RPAコンサルタントは、いわゆる上流工程といわれる業務プロセスの見直しツール選定導入フロー構築を担当します。RPA導入時のクライアントサポート、エンジニアの作業量や対応中業務の把握など、全体を管理する役割を担っており、コミュニケーション力やマネジメント力も問われます。

(2)RPAエンジニアやRPAコンサルタントの将来性が不安視される理由

時代の変化と共に勢力を広げていくとされるRPAですが、一方で将来性が不安視されている側面もあるようです。

その理由は、導入後、コストに対して思っていたよりRPAが活躍していない」と感想を抱く企業も少なくないからです。その印象から、RPA導入を敬遠する企業が増えるのではないかというのが、RPAエンジニアやコンサルタントの将来性を不安視する理由のひとつになっています。

 

RPAの活用がうまくいかない理由の一つに、「たくさんの業務改善を行ないたい」という思いばかりが先行し、導入前・導入中・導入後の各フェーズでの課題整理が不十分である場合があります。

業務整理や要件定義、そして社内浸透までを同じRPAコンサルタントが一気通貫で行ない、現場への浸透を図ることがその後のRPA活用に繋がり、それがRPAの将来を明るくすることにも繋がるといえるでしょう。

 

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RPA開発でもっとも重要なのは開発すべき業務の選別

肘をつく男性

先だって書いたように、業務改善の方法としてRPAを導入する企業は増加しているものの、実は真の運用効果を発揮できていない事例が少なくありません。確かにソフトウェアロボットを開発することで単純な業務を自動化できれば、業務の部分的な効率化は実現できるでしょう。

 

しかし、業務を選別せずに闇雲にRPA開発に手をつけてしまうと、結果的には実務担当者を解放できないまま不完全な形で運用せざるを得ない状況を生み出します。事実、RPAを導入したが予想より効果が出ていないと感じている企業も相当数存在します。

 

原因は、前述した通り業務を選別せずに見切り発車したことに尽きるのですが、やはりそこに必要なのがコンサルタントの存在です。RPAでより早く確実に結果を出したいのであれば、結果を出せる業務をコンサルタントが洗い出し開発することが必須と言えます。洗い出した業務を事例に、自動化によって得られる高い効果を説明すれば、クライアントもRPAが発揮する効果を想像しやすいはずです。

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(1)コンサルタントの最初の仕事は「優先順位付け」と「業務選別」

RPA開発においてもっとも重要なのは、どの業務に対して開発をすべきかという業務の選別です。これこそがコンサルタントの重要なスタート業務であり、キーポイントと言えるでしょう。

往々にしてRPAの導入は導入自体が目的にすり替わってしまい、この重要ポイントが置き去りになりがちです。それが、開発段階での想定以上の時間浪費や、運用が始まってから効果を感じられないといった問題につながっています。

 

こうしたことが、経営者サイドがRPAの導入意義に疑問を抱いてしまう事例にもつながっているでしょう。ここにコンサルタントが介入すれば、必要な情報や要件定義が整理され、ロボットをロボットとして効率的に自動化させることができるようになります。

 

コンサルタントの最初の仕事は、早く開発できる業務を選別することです。業務自動化による運用効果の高い業務から開発に着手するためには、開発におけるボトルネックを明確にする必要があります。その上で選定基準を決定することにより、該当業務をふるいにかけることが可能になります。

また、予想される成果を数値化することで着手すべき業務の優先度を明確化し、効果測定による優先順位付けが可能になります。つまり、コンサルタントが現場に入り、現状から正しい選定基準と効果測定によるRPA対象業務を選別することが、その後の開発の大きな基盤となるのです。

(2)一般的な導入プロセスの事例

RPAの導入プロセス事例を整理すると、以下のようになります。

1.業務自動化の対象業務の選別

2.現場でのヒアリング情報から作業手順の明確化

3.作業手順に沿ったRPA開発

 

この流れを実践する上でボトルネックとなるのが業務のヒアリングです。

現場に入り作業手順を明らかにするプロセスは、コンサルタントにとって一番時間がかかるポイントと言えるでしょう。ヒアリングは時間がかかる上に、業務によっては分岐が多く、開発にも時間がかかってしまう事例が多くなっています。

 

また、実際に開発がスタートしても途中でRPAが対応できないシステムが発覚する事例などもあり、開発そのものがとん挫する懸念もあります。ただ、業務の抽出や選定に時間をかけ過ぎては本末転倒ですので、抽出や選定のプロセスを体系化し、効率的な運用を実践する必要があります。

 

ボトルネックを選定基準とするなら、業務手順書やマニュアルの整備がされていること、単純業務、または業務標準化が完了していること、概念実証が済んでいることを基準とすれば良いでしょう。こうした選定基準から業務をふるいにかければ、スピーディなRPA開発を実践できます。

もちろん選定基準を満たしていない業務については、担当部署で条件を満たす対応を並行することで随時進行させることが可能です。

 

 

RPA開発を効率よく進める優先順位の考え方

男性の後ろ姿

(1)ロボット処理による時間削減効果が高いものから実現させる

RPAの導入効果を出すためには、業務自動化による効果の高いものから実現させる必要があります。

多くの企業ではこの要件定義について、単純に作業時間の長い業務を選べば良いと考えがちですが、実際には時間だけの問題ではないことを理解する必要があります。RPAに業務自動化によって作業時間の削減効果があるのは事実ですが、ポイントはあくまでもロボット処理による時間削減効果があるかどうかという点です。

 

また、ヒューマンエラーが無くなり業務品質が向上することも大きなアドバンテージなので、それも優先的に考慮すべき点でしょう。繫忙期のある業務であれば、ロボットによる自動化は担当部署の負荷を大きく軽減できるはずです。

 

ロボットであることで情報セキュリティの向上も見込めるため、個人情報や企業機密の漏洩防止においても大きなメリットがあります。いずれにしてもこうしたメリットの中でどのポイントを最優先するか、ニーズの洗い出しが大切です。

(2)導入目的から要件定義

RPAは便利なツールではありますが、まずは導入目的を振り返る必要があります。

例えば経理や財務など、決算作業の繁忙期に業務自動化を図ることで、担当部署の負荷を軽減させるという目的もあるでしょう。また、人為的なミスの解消が大きな課題となっているなら、自動化によるヒューマンエラーの軽減が優先順位の高い項目になります。

 

RPAというツールの導入目的と効果を的確に関連付け、選定基準を定めることもコンサルタントのスキルです。必要な情報を整理し、選定基準となる効果を定量化することで必要な要件定義を行ない、適切なツール開発を実行できるスキルが求められます。

 

例えば繁忙期の負荷軽減を達成目標とした場合、定量化した業務の数値に重みをつけて評価指標を作る方法があります。評価指標を実際の業務に当てはめることで、優先順位を見える化する手段は有効でしょう。ちなみに業務自動化による効果は、現状の作業時間の50%で計算するのが一般的です。

 

 

結果をスピーディに出せるRPA開発とコンサルの役割

男性フリーランス

(1)テクノロジーの取得から導入支援サービスまで

RPAは闇雲に開発に着手すると、膨大な時間ばかり浪費して結果が伴わないという最悪の状況を生み出します。コンサルタントの心得は、まずRPAの開発工数が少ない業務を抽出し、優先的に開発を行なうことで開発に許された時間を有効活用することです。

 

コンサルはITエンジニアとして高いスキルを持つ人も多いですが、コンサルが現場に則したプログラム設計書まで書くことができれば、よりスピーディな開発につながります。ユーザーからコンサルに、コンサルからITエンジニアに必要な情報を与えてシナリオロジックを設計するより、コンサルからプログラム設計書の形でITエンジニアに情報伝達できれば、スピードが増すでしょう。

 

テクノロジーの取得から実際の導入支援サービスまで一貫してできるコンサルとなるのは容易なことではありませんが、そうした人材がこれからの企業に必要なITソリューションのプロフェッショナルであることは間違いないことです。RPA開発を行なうコンサルに必要なことは、RPAのプログラミング知識ユーザー側の業務の知識、そしてヒアリングのスキルです。

 

クライアントサイドが望む結果を導き出すためには、十分なヒアリングを実施できるコミュニケーションスキルとロジカルシンキングスキルが必要不可欠と言えるでしょう。

(2)自動化よりも自働化を目指す

RPAの有用性は徐々に浸透しつつありますが、人手のかかる作業をロボットで部分的に自動化するだけのツールだと考える経営者もまだ少なくありません。こうした考えがベースにあると、導入した後もロボットには適さない処理だからと人の介入を残したまま中途半端な稼働になる懸念があります。

 

確かにRPAはいわゆるAIとは異なり、ロボットとはいえ単純な作業のみを自働化するツールであることは確かです。AIは自己で学習して成長しますが、RPAはあらかじめ人が指定した作業のみを自動的に行なうに過ぎません。

 

もちろんこれだけAIが進化しつつある時代においてはRPAの将来性も期待されており、現状、企業がどこを目指してRPAを導入すべきかは議論すべきでしょう。理想となるのは完全なる無人運転であり、単なる自「動」化ではなく自「働」化です。自働は単なる動きではなく、もう一歩先に進んだテクノロジーです。

 

例えば通常は指定した通りに動きますが、異常があったら停止してアラートを上げる仕組みも自働と言えます。ロボットは不眠不休で膨大な作業を正確にスピーディに処理することができるわけですから、自働化したい業務はすべてRPAに代行してもらい、作業自体には人が介入しない無人運転を目標にすべきでしょう。

そこに至る最短の道を探して提示できるのが、他の誰でもなくRPAコンサルタントと言えます。

 

 

効果的なRPA開発を実現するコンサルに求められるスキルとは

効果的なrpa開発を実現するコンサルに求められるスキルとは_4

(1)プログラミングと業界知識、プログラム設計書が書けること

RPA開発に必要な各知識やスキルを習得するためには、RPAのプログラミングのチュートリアル・トレーニングツールを活用するのがおすすめです。レッスンを受けることでベンダー資格を取得ができるものもありますが、自主学習は非常に重要です。

自分の手でプログラミングし、仮説を立てて検証し、あらゆる打ち手を考えることで実践的な知識が身に付きます。プログラミングは座学だけで身に付くものではないため、こうしたアプローチが大切でしょう。

 

また前述した通り、コンサルタントは業務選定が重要な業務です。要件定義のためには業務知識も必要とされるため、クライアントに合った業界の勉強も必要です。

コンサルタントがプログラミング知識業界知識を両方備えていて初めて、RPA開発が効果的に行なえる業務評価が可能となります。クライアントから提供される既存業務フローの変更も提案しなければならない立場ですので、一朝一夕に習得できるスキルではありません。

 

また、最終的にプログラム設計書が書けることが大きなアドバンテージになります。即席で習得できるものではありませんが、ロボット知識に基づくフローが作成できればそのままITエンジニアがRPA開発できるので、コンサルタントとして市場価値の高い人材になれることは間違いないでしょう。

(2)RPA開発はスピードが命

ロボットファイルの開発は、通常のプログラム開発と大きな違いはありません。ただプログラミング言語のように0からコードを書いたり定義をしたりする必要はありません。オブジェクトの設定/選択/操作を記録することで定義することが可能となっているのが一般的です。

 

今RPAが必要とされている理由は、従来の通り一辺倒のシステムでは多様化した業務には対応できなくなってきていることと、開発が時代のスピードに追い付かなくなってきていることが挙げられます。

現場で臨機応変に使い勝手を変えられなければ、システムが完成する頃にはすでに業務フローが変わっているという事態にもなりかねません。時代の急激なスピードに対応するためにRPAの運用が必要とされている以上、RPA開発自体に時間がかかっては本末転倒です。

 

企業にとってはすぐに導入して稼働できること、そしてすぐに成果が出ることが非常に重要なポイントと言えます。開発をスピーディに実行するためには、クライアントがどんなロボットを必要としているか要件定義し、システム開発会社に的確に伝える必要があります。

 

また、具体的なロボットの設計や開発、運用テストなどもスピーディに行なわれる必要があるのは言うまでもありません。従来は完成までに数か月かかることも珍しくはなかった開発を、もっと早く簡単に実施するためにはキーパーソンが必要です。

 

それこそがスキルを習得したITソリューションのプロフェッショナルであり、RPAコンサルタントなのです。

 

まとめ

効果的でスピーディなRPA開発を実行するためには、RPA導入におけるボトルネックと選定基準を明確にした上で、開発時間を短縮できる要件定義を行なう必要があります。優先順位を客観的に判断するための評価基準の策定や業務の定量化を実施し、RPAの開発時間を短縮できる業務を洗い出すプロセスの体系化が必須と言えるでしょう。

そのために必要とされるのが、企業と開発会社とを結び、有用な成果を得るために高いスキルを持つRPAコンサルタントです。幅広いプログラミング知識と業界知識とを求められますが、これからの企業に必要とされる市場価値の高い人材であることは間違いありません。

今RPAコンサルとして活躍するなら、プロフェッショナルな人材派遣事業へ人材登録をおすすめします。無料登録できるエージェントなどを活用し、情報収集などに役立てるのも良いのではないでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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