【スポットコンサル】企業側と人材側のメリットとは?
作成日:2019/06/28
短期間でコンサルティングを行なう「スポットコンサル」。短期間で完結するコンサルティング案件なら、忙しいコンサルタントでも副業として始められるかもしれません。現在、企業側のコンサルタントニーズが多様化していて、スポットコンサル案件の人気は高まっています。そこで、スポットコンサルについて、メリットや注意点、企業が外部人材に対してどんな支援を求めているかについてまとめました。
目次
■スポットコンサルのメリットとは?
(1)コンサルタントとしての実績を増やすことができる
(2)スキマ時間の活用につながる
(3)スキルアップや仕事へのモチベーションがアップする
■企業がスポットコンサルサービスに注目する理由
(1)低コストで専門家のアドバイスがもらえる
(2)人材不足の一時的な補充としても使える
(3)長期契約前のトライアルとして利用することもできる
(4)コンサルタントにコンサル以外の業務を依頼しやすい
■スポットコンサルは手軽に始められるものの、注意点もある
(1)コンサルティングフィーの設定は慎重に
(2)スポットコンサルとしてニーズの少ないジャンルもある
(3)スポットコンサル登録者の多くは、経験豊富なシニア層
(4)コミュニケーションミスが起こりやすい
■まとめ
スポットコンサルと通常のコンサル案件の違いとは?
スポットコンサルとは、スポットコンサルタントの略語でその名の通り短期間のコンサルティング案件のこと。年単位、数か月単位で契約するのではなく、スポットコンサルは単発で契約するのが基本。中には1時間単位でアドバイスを行なう、なんてサービスもあります。空いた時間を有効活用できるのがポイントで、会社員の副業にも向いていますし、フリーランスが本業の合間に取り組む副業としても向いていると言えるでしょう。
また、通常のコンサルティングサービスは対面で行なうのが基本です。しかし、スポットコンサルの場合実際に会うこともあれば、電話やオンラインのみでアドバイスするというケースも。例えば週末自宅にいながらでも、コンサルティングサービスを提供できるというわけです。ここも副業としてやりやすいポイントではないでしょうか。
スポットコンサルといえば、「中小企業の経営コンサル」というイメージが強いかもしれません。経営コンサル関連も多いのですが、最近では専門性の高い分野のスポットコンサルが増えているようです。ある企業が2018年にどんなジャンルのスポットコンサルが成立したかを調査したところ、1位は自動車や自動運転関連、2位は医療やヘルスケア関連、3位はマーケティングという結果となっています。
こうした専門家に軽い相談ができるのが、スポットコンサルの特徴。例えば会社が新しいビジネスを立ち上げる前段階で「社外の専門家に意見を聞いてみたい」という時に有効です。新規事業や海外進出などを検討している企業が、スポットコンサルを利用するケースも増えているようです。
ただし、営業や小売といった分野のアドバイザーも、スポットコンサルの実績はあるとのこと。スポットコンサルのニーズが多様化していることがよくわかります。
☆あわせて読みたい
『フリーランス人材の悩みとは?業務委託の雇用形態とメリットデメリットを解説』
『【フリーランス入門ガイド】定義や個人事業主との違いとは?増えすぎた理由は?おすすめの仕事や獲得方法とは? 』
『フリーコンサルタントは副業でも稼げる?単価・種類・注意点を解説!』
スポットコンサルのメリットとは?
コンサルタントにとって副業に適しているスポットコンサル。独立起業を目指すコンサルタントやフリーランスのコンサルタントにとって、さまざまなメリットがあります。
(1)コンサルタントとしての実績を増やすことができる
独立起業を目指す人も、フリーランスとして活動を始めたばかりの人も、まず個人でのコンサルティング経験を積むことが課題ではないでしょうか?スポットコンサルはアドバイザー的なものが多く、規模としては小さい案件。その分、数をこなすことができるので実績として積み上げやすいのがメリットです。いつもの仕事相手とは違うクライアント、ジャンルの異なる案件を多く経験することで、コンサルタントやアドバイザーとしてのスキルアップにつながるはずです。またスポットコンサルは「短い期間で成果を出す」という経験を積む機会にもなります。
(2)スキマ時間の活用につながる
短期間でできるスポットコンサルは、働く時間を融通しやすいというメリットもあります。「本業が忙しくて起業準備ができない」「子育てで休職中だけど、ちょっとだけ働きたい」といった場合、大規模な案件を抱えるのは厳しいですよね。でも短期間でアドバイザーとしての立場なら対応できる、というケースも多いのではないでしょうか。スポットコンサルの中には、「1時間電話でアドバイスする」というものもあります。こうした短時間のアドバイザー案件をうまく組み合わせることで、自分の時間を有効活用することができます。
(3)スキルアップや仕事へのモチベーションがアップする
スポットコンサルに取り組むことで、スキルアップや仕事へのモチベーションがアップする、というデータもあります。
とある調査結果によれば、スポットコンサルを経験することで「スキルアップや学習の意欲が高まった」と回答した方が約7割にも上っています。自分のスキルを生かしたアドバイザー活動をすることで、もっとスキルアップしたい!と考えるきっかけになるようです。
また、会社員の場合、通常は他の社内メンバーと業務を分担します。でもスポットコンサルは個人事業主としてひとりで対応することが基本。そこで自分に不足しているスキルや情報を再認識する機会になっているのかもしれません。
また同じ調査結果を見ると、スポットコンサルを実践したことによって仕事のモチベーションについても変化があるという結果が出ています。「現在の仕事への意欲が高まった」「転職の意欲が高まった」「独立(早期退職)の意欲が高まった」という回答の合計は約7割もあります。
アドバイザーとしてのニーズがあることで「自分の仕事は市場価値が高い」と気づき、モチベーションアップにつながるのではないでしょうか。また「自分の知見が他社の新規事業や新たなマーケット創出になる」という点にやりがいを感じる方もいるそうです。
企業がスポットコンサルサービスに注目する理由
コンサルタントにとってメリットのあるスポットコンサルですが、実は利用する会社側にとっても多くのメリットがあり、注目が高まっています。発注サイドの心理を紐解いてみましょう。
(1)低コストで専門家のアドバイスがもらえる
短期間で利用できるスポットコンサルは、企業から見れば長期のコンサルティング契約よりコストがおさえられるというメリットがあります。まだ新規事業の検討段階であまり予算をかけづらい場合でも、外部の専門家にちょっと相談できるというわけです。
例えばある会社が新たにヘルスケア関連の新規事業を検討していたとしましょう。本来のジャンルとは違うため、社内に医療やヘルスケアに詳しい人を見つけるのは難しいでしょう。でもスポットコンサルを使えば、社外の専門家にアドバイザーとして気軽に相談できるというわけです。
また、すでに経営コンサルティングを外部に委託している会社が、セカンドオピニオンとしてスポットコンサルで経営相談をするというケースもあるそうです。
(2)人材不足の一時的な補充としても使える
すでに進行中のプロジェクトでどうしてもリソースが不足している場合、スポットコンサルに途中参加してもらうという方法もあります。「欲しい人材を欲しい期間だけ依頼できる」という点が、企業から見たスポットコンサル最大のメリットです。
(3)長期契約前のトライアルとして利用することもできる
コンサルティングを依頼した実績の少ない企業では、長期でコンサルティング契約するか慎重になっているところもあります。そこでスポットコンサルをトライアルとして利用するケースもあります。例えば「経営コンサルタントに経営相談をしたいけれど、長期で契約すべきか悩んでいる」という場合、スポットコンサルが有効。短期なので他のコンサルタントにスイッチしやすい、という一面もあります。
(4)コンサルタントにコンサル以外の業務を依頼しやすい
スポットコンサルで依頼できる仕事は、経営相談などのアドバイス業務だけとは限りません。例えば社内研修の講師や、業務マニュアルの作成などの業務も登録されています。短期間や単発でコンサルタントに幅広い業務を依頼できるものとして、スポットコンサルを利用する企業が増えています。
スポットコンサルは手軽に始められるものの、注意点もある
ち ょっとしたアドバイスや情報が欲しいという企業のニーズに伴い、スポットコンサル市場も広がりを見せています。これからスポットコンサルにチャレンジしたいコンサルタントにとって、始めるにはいいタイミングとも言えそうです。手軽に始めやすいスポットコンサルですが、一方で従来のコンサルティングとは異なる注意点があることを知っておきましょう。
(1)コンサルティングフィーの設定は慎重に
短期間のスポットコンサルの場合、どうしても単価が低くなりがちです。副業と割り切って安くても受けるという考え方もありますが、フリーランスとして将来活動することも考えると単価設定は慎重に考えたいところ。もちろん相場も意識する必要はありますが、あまり低い価格になりすぎないよう、自分の強みや専門性を整理して付加価値を高めていきましょう。
また短期間の案件でも、個人事業主として相手企業との契約は必須です。小さな案件ばかりになると、どうしても事務作業が面倒になりがち。でもアドバイザーとしての立場なのかそれ以外のミッションがあるのかなど、事前に契約の段階でクリアにしておきましょう。また情報の取り扱いについても、もちろん取り決めをしておく必要があります。スポットコンサルを仲介するエージェントに登録すれば、価格設定や契約などのフォローをして貰えたり、スポットコンサルの相場や進め方に関するアドバイスや情報を提供される場合もあります。
(2)スポットコンサルとしてニーズの少ないジャンルもある
幅広いジャンルの会社でスポットコンサルの利用は増えていますが、経営相談や短期プロジェクトのPMOなどの案件が中心です。コンサルタントの業種や職種によっては、スポットコンサルの案件にマッチしづらい場合もあります。スポットコンサルとして登録されている案件をチェックするなど、事前に情報収集してニーズがある分野か把握しておきましょう。
(3)スポットコンサル登録者の多くは、経験豊富なシニア層
先ほど紹介したビザスク調べによる調査では、アドバイスを提供した経験のある人の最も多い年代が60代(30%)、次に多いのが50代(29%)となっています。 一方で20代は1%と、非常に少ない状況。つまり現状スポットコンサルを提供している人は、時間に余裕のあるシニア層が中心ということ。つまりスポットコンサルを利用する企業側も、「ビジネス経験の多いシニアに相談する」という前提でサービスを利用している可能性があります。
例えば経営コンサルタントに相談する場合、なるべく多くの企業へアドバイス経験のある人材に経営相談したい、と考えるのが自然ですよね。若手コンサルタントの場合、経験値のあるシニア層とどう差別化するか、考えておきたいところです。
(4)コミュニケーションミスが起こりやすい
スポットコンサルは基本的に単発なので、初対面のクライアントとのやり取りが増えます。お互いのことをよく知らない上、短期間のつきあいですから、アドバイスがうまく伝わらないなどスムーズにいかないこともあります。またスポットコンサルではオンラインで完結するケースもありますが、この場合も対面でのコンサルティングと比較するとコミュニケーションミスが増えやすくなります。信頼できるエージェントやマッチングサービスに登録する、コミュニケーションツールを活用してこまめに連絡を取るようにする、などの対策を講じてリスクを回避しておきましょう。
まとめ
短期間で行なうスポットコンサル。起業を目指す会社員にとっても、フリーランスのコンサルタントにとっても、個人事業主としての実績を増やせるチャンスではないでしょうか?利用する会社にとってもメリットは多く、低コストで外部の専門家やアドバイザーに気軽に相談できるサービスとして、人気上昇中。経営コンサルのほか、新規事業や海外進出など新たなビジネス戦略を検討するなど幅広いジャンルで利用され始めています。
もちろん短期間のスポットコンサルならではの課題も。相場も考えた上での価格設定など、従来の長期コンサルティング業務と勝手が違うところもあります。とはいえ日本でも、コンサルタントの新たなビジネススタイルとして広がりつつあるスポットコンサル。ニーズの高まりをうまく生かして、活用していきましょう!
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)