不確実な未来の変化を確信し、自ら変化を作り出す。
『当たり前』など存在しない時代へ。『変化』をどのように察知し、自分事としてとらえ、どう順応するか。“どうやって自ら変化を起こすのか”がビジネスと人生において大切なこと。
先日、とある通信会社にミーティングでお伺いした際に、受付に坂本龍馬の等身大サイズの銅像がおいてありまして、ついついパシャリとしてしまいました。坂本龍馬は長崎の丘の上と、高知の桂浜で見たことがありますが、ビジネスシーンで見ると、なんとなく心が躍るものですね(※上の写真は桂浜です)。
坂本龍馬が日本を変えようと奔走していた幕末の時期、その志に共感する人が徐々に増えていき、その後の倒幕につながりました。しかしその過程においては、日本を変えるという事に対して懐疑的な人がそれ以上に存在し、また反発する方々もいたことでしょう。時代の変化をどのように感じるのか、まだ起きていない不確実な未来に対してどれだけ確信を持って突き進むことが出来るか。時代を変える人、イノベーションを起こす人にはこういった気質が求められるのではないでしょうか。
みらいワークスも日本の働き方を変えることを志しており、この不確実な未来に対してどれだけ確信を持てているのかという点は、私たちにとっても重要な点です。
当社は“個人プロフェッショナル”という新しい働き方をサポートするプラットフォームとして、個人で活動できる場を求めている方、組織に依存しない働き方を選ぶ方へ、活躍できる場を提供するための仕組みを創っています。以前も取り上げた『LIFE SHIFT』という本(目の前の仕事の積み重ね。その先に、“日本の働き方”を変えるプラットフォームが待っている http://freeconsultant.jp/ceo_blog/18501)にもある通り、今、人生の過ごし方、仕事や学ぶことへの考え方に大きな変化が生まれ始めています。それに伴い、みらいワークスが創っている『プロフェッショナルが挑戦するためのプラットフォーム』も、社会を支えるために必要なものの一つへとなっていくはずです。
では、そのような人が増えてくる、そんな働き方の変化が訪れると自分が確信するようになったのはいつからなのだろうか・・・そのあたりを振り返ってみました。
働き方について最初に考えさせられたのは、ピーター・ドラッカー氏の著書『プロフェッショナルの条件』を読んだ時だと記憶しています。その本には、「知識労働者は雇用主たる組織よりも長生きすることを覚悟しなければならない」といった事が書かれていました。その時は衝撃を受けながらもそこまでは実感を持てていなかったかもしれませんが、それから10年が経過する頃には、航空会社や大手電機メーカーなど日本を代表するような企業が次々倒産する、中国企業に買収される、といったことが当たり前のように起きるようになっていました。私が就職活動をしていた2000年前後には、就職人気ランキングで上位に来ていた大企業ばかりです。その大企業がこうなってしまうのか、という現実を目の当たりにして、ドラッカーが書いていたことが現実となってきているのだな・・・と改めて感じたものでした。
次に影響を受けたのは、2002年に日本語で出版された、ダニエル・ピンク氏の著書『フリーエージェント社会の到来 ~雇われない生き方は何を変えるか』という本です。私が読んだのは出版されてからだいぶ時間が経ってからで、起業した後の2009年頃だったと思います。2000年頃には米国では労働人口の4人に1人が“フリーエージェント”という働き方を選んでいる、という内容を読み、日本にもこういった時代がいつか訪れるに違いないと確信しました。当時の自分は一人会社の社長という立場で、いわゆるフリーエージェントとして働いていたのですが、1円で株式会社が作れるようになったことや、PC一台あればビジネスが出来るようになったIT環境の進化などを追い風に、自分と同じようにフリーエージェントとしての働き方を選ぶ人が間違いなく増えるはずだ、と時代の変化を確信しました。
本から示唆を得た事が多いのですが、本から得た考え方だけでは確信を得ることは出来ません。それと同時に、実際に世の中で起きている変化や自分の経験などが掛け合わされたことで、自分の中で未来への確信となっていったのではないかと感じます。
この時代の『変化』をどのように察知し、その変化を自分事としてとらえ、どのように順応するか、どのように自ら変化を起こしていくのかということがビジネスと人生においては大切です。
自分が社会人になった2000年以降に生じた大きな波は、インターネットの本格普及、グローバル化、BRICSの台頭、パソコンの低価格化、携帯電話の普及、スマートフォンへのシフト、デジタル化・・・など、書きだしたら枚挙にいとまがありません。それに伴い、ビジネス環境が変化するスピードは飛躍的にあがっています。結果、この波に乗り遅れた企業や変化できなかった企業は衰退していくという、厳しい経済環境を生むことにもなりました。
進化論を提唱したダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」との言葉を残していますが、今の時代においても同じことがいえるのではないでしょうか。そしてこれからを見通すとAIやロボット、ドローンなどが次々と実用化される時代になりますが、同じようにこれらの波に乗り遅れる企業はやはり衰退せざるを得ないでしょう。
では『人』についてはどのような変化が訪れているのでしょうか。自分も「最近の若いものは」や「ゆとり世代だから仕方ない」などは言わないように気を付けようと心がけてはいますが、世代による価値観の差は確実にあると思っていまして、その違いを知る事、理解することこそが大事なのではと考えています。
例えば、デジタル端末。若い世代ではPCは全く触らずに、スマートフォンだけで全てをすます人達も多いですが、自分はついついPCを使います。そのような時、ふと「そういった感覚の違いがあるのだな」と感じたりします。大学のレポートもスマートフォンだけで書きあげる学生がいるという話を聞いた時に、この“スマホ・ネイティブ”世代のスマートフォンに対する感覚はPCで育った人とは大きく違うんだろうなと感じましたが、同じような感性の差はこれからも幾度となく訪れる事でしょう。若い方が想像を絶する早さでスマートフォンのフリップ入力をしている姿を見ると、この感覚の違いに納得を覚えます。
先日、将棋の藤井四段が29という歴代単独トップとなる連勝を達成しましたが、その練習方法に人工知能を搭載した将棋ソフトを活用していることが報じられ、話題となりました。AIでトレーニングした藤井四段は、古い定石からは考えられないような勝負手を打つとのことで、それにより自分より経験が豊富な方々を次々と破った、そのような内容が報じられていました。それは、AIネイティブな世代が誕生してきているということだと思いますが、AIネイティブな世代では『考える』という行為に対する価値観が大きく変わるのではないでしょうか。またコンピューターに対する考え方も『操作する』という感覚から、『対話する』などになり、将来は『共感する』といったニュアンスに変化していくのかもしれませんね。SFの中で描かれた世界がすぐそこまで来ていると思うと楽しみで仕方ないですが、その感性の変化を受け入れる心の準備をしておいたほうが良いかもしれません。
次に『働き方』への変化はどうでしょうか。2011年にアメリカのキャシー・デビットソン教授が、「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」という見解を示し、話題になりました。日本では、2015年に野村総合研究所が、「10年~20年後には日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」との調査結果を発表しています。
企業だけでなく、当然のように働き手にも“変化”の必要性があります。終身雇用制度の中で企業が社員を守る時代は終焉を迎え、個人は自らの意思で働く場所、働き方を選ばなければならない、そんな時代になったのです。今、自分が専門性をもっている仕事が一生安泰である人のほうが少ない、多くの人はどこかのタイミングで働き方を変化させざるを得ない時代が訪れようとしています。ある程度成熟してから大きく変化するのは覚悟がいるので、そういった意味では若いうちに大きな変化を経験したほうが、変わる事に対して抵抗がなくなり、好ましいのかもしれません。先に記述したダーウィンの言葉は、企業だけでなく、人材に対しても同じことが言えるということですね。
みらいワークスの行動指針である“みらイズム”には『変化:私たちは自ら変化を起こし、そして変化を歓迎します』という言葉があります。変化を察知し、その変化を自分事としてとらえ、自らその変化に適合していく。人は基本的には『変化』したくないと思いがちだということを理解したうえで、時代の移り変わりと共に自らを変えていく。そして自ら時代を変えていける、そんな自分でありたいと思ってます。