店舗アプリが広告宣伝活動に大変革をもたらす
作成日:2017/06/19
実際の購買活動に大きな影響を与える「O2O(Online to Offline)」
インターネット技術の発展に伴い、2010年頃から店舗が発信するネット情報が、現実の購買活動や生活者の行動に影響を及ぼすようになってきました。この施策は「O2O(Online to Offline)」と呼ばれています。
かつてO2Oは、クリック・アンド・モルタル(Click and Mortar)という言葉で表現され、Eコマースを中心に使われてきました。それが現在では、さまざまな分野の店舗で「オンライン(インターネット)とオフライン(現実世界)が融合し相互に影響を及ぼす」方法としてマーケティング活動に利用されています。
その例をあげれば、現実の店舗をもつ販売店や飲食店などが、WEBで優待クーポンを提供したり、スマートフォンの位置情報サービスによって積極的に店の認知度を向上させる取り組みなどがあります。
また、このような形のO2Oは、実際に使われた優待クーポンなどの数をかぞえるだけでWEB販促の効果を測定することができます。専門知識が必要なWEBのアクセス解析によるマーケティング・リサーチよりはるかに簡単に広告宣伝効果を測定することができるわけです。
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スマホ所持者の半数以上が店舗アプリを利用
野村総研ITナビゲーターの調査によると、O2Oの市場規模は2017年には約50兆円の大台に達すると試算しています。
この背景には、PCによるインターネット利用者が漸減する反面、スマートフォンからのインターネット利用者が増え続けていることがあります。つまり、「店舗アプリ」にアクセスしやすい環境が増加したこと、スマホユーザーが各種のアプリをインストールすることが当たり前のようになってきたことが、O2O市場を底上げする要因となったわけです。
そしてこの市場の核となるのが、20代から40代の男性と、20代・40代の女性です。マクロミルのアンケート結果によれば、スマホ所持者で店舗アプリのサービスを利用した年齢層は次のようになっています。
・男性20代 65.5%
・男性30代 61.8%
・男性40代 61.4%
・男性50代 44.2%
・女性20代 68.3%
・女性30代 54.9%
・女性40代 59.0%
・女性50代 53.1%
このように若い世代ほど店舗アプリを利用するという傾向があります。その要因のひとつとして考えられるのが、世代別のスマホ普及率です。
ジャストシステムが運営するサイト、マーケティングリサーチコムによると、2016年7月のスマホ率は10代が94.0%ともっとも高く、年齢が上がるにつれて比率は下がっていきます。50代は62.5%と過半数ではあるものの60代では47.0%でしかありません。
しかし、DNPのレポート「O2Oに関する調査」では、店舗アプリにお得感や利便性を感じるユーザーが多いことから「O2Oは『若者向けの施策』ではなく、全年代に共通したコミュニケーション」と結論づけています。
また若年層と中年層に共通していえることと異なることは「ポイント、クーポン、割引、優待などお得感のある賢いお買いものに関わる反応は全年代を通して高い」ものの、「高年齢層ほど価格ではない価値観やライフスタイルといった情緒的な価値を重視する傾向」(同レポート)があることです。
ユニークさや利便性で成功したアプリの4事例
アプリによって、O2Oを成功させた企業はいくつもあります。そのなかでも次の4社のアプリは、内容的なユニークさでもよく知られています。
◆株式会社ユニクロ「UTme!」◆
スマホなどからオリジナルのTシャツを手軽にデザインでき、その場で購入できるというアプリ。フォントやペイントブラシ、フィルター効果も備え、どんなデザインでも一定のクオリティを保てるところが特徴です。ほかにもユニクロは、目覚まし時計として使える「UNIQLO WAKE UP」があり、こちらは公開1か月で50万ダウンロードを記録しました。
◆ドミノ・ピザ ジャパン「Domino's App」◆
スマホのGPS機能を利用して「自分が今いる場所」にピザを届けてもらうことができるアプリ。公園などの屋外でも届けてもらうことができます。これによって公開後1年2カ月でアプリ経由の売上が5億円を突破しました。「第10回モバイル広告大賞」の優秀賞も獲得しています。
◆株式会社ストライプインターナショナル(旧・クロスカンパニー)「earth photo&diary」◆
女性アパレルブランド、earth music&ecologyが提供する公式カメラアプリ。カメラやスマホで撮影した画像にオリジナルフィルターをかけたり、季節ごとにオリジナルコピーをつけて、カタログのような写真を作ることができます。公開5日間で26万ダウンロードを達成したというアプリです。
◆日本交通株式会社「全国タクシー配車」◆
GPS機能を利用してタクシーが呼べるアプリ。日本交通だけでなく、全国45都道府県の提携タクシー会社からも配車してもらえるところが最大の特徴です。到着までのおおよその時間も知らせてくれます。こちらは現在までに、90万ダウンロードを記録しました。
これらヒットしたアプリに共通していえることは、「宣伝が露骨でない」ということ、ユーザーにとって利便性の高い機能が備わっているということです。つまり店舗アプリの導入を考えるときには、成功したアプリに共通する要素を見つけていくことが重要ということです。アプリのシステム開発にあたってはこの点に十分注意する必要があります。
企業やお店が店舗アプリを導入する最大のメリットは、冒頭述べたようにアプリの機能が現実の購買活動や生活者の行動に影響を及ぼし、結果として売上を増大させていくことです。
従来の広告宣伝、あるいは販売促進の手法は、いわゆるレスポンス広告に代表されるように、見込みユーザーに対して、いかに購買欲を直接的に刺激するかというものでした。
これに対して店舗アプリは、割引クーポンやポイント、利便性が高くなるなどユーザーにとって価値ある情報を提供することで集客をはかるものです。送り手側による情報の一方通行ではなく、ユーザーが必要とするアプリだからこそ利用され、販売拡大と業務改革につながるのです。
逆に店舗アプリを導入するデメリットは、現在実施しているサービスなどをそのままアプリに移しただけのシステムや、目的や目標成果を設定しないままの導入は、ほぼ間違いなく失敗に終わることです。
それだけに店舗アプリを導入する際には、使いやすさ・継続的な運営・ユーザーにとって便利なことを明確にしたコンセプトづくりが不可欠になります。現在、こうしたアプリの成長を受け、多くの会社が店舗アプリを開発しています。前述のような大企業ではなくとも、個人店で導入ができるアプリもかなりあります。
そうした個人店でも活用できるアプリのなかでも有名なところとしては、
◆株式会社ドリームネッツ「アプスタ」
◆GMO TECH株式会社「GMO App Capsule」
◆GMOデジタルラボ株式会社「GMO BizPalette」
◆株式会社フォルクスウェア「みせプリ」
◆株式会社 ウェブマトリックス「お店アプリ」
◆株式会社トランスメディアGP「店舗アプリ」
◆株式会社サイファ「UP Link」
◆株式会社ブレイブソフト「Appvisor stamp」
◆オールインワンソリューション株式会社「サクプリ」
などがあります。
アプリによっては無料体験ができるものもあるので、これから店舗アプリを利用してみたいという場合には、まずは無料のお試しアプリから始めてみるのもおすすめです。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)