インターネットで起業資金を調達できる、クラウドファンディング
作成日:2017/08/21
市場規模も拡大!クラウドファンディングとは?
「クラウドファンディング」(Crowdfunding)とは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた単語。つまり銀行や投資家ではない不特定多数の人々(個人や法人)から、インターネットを通じて資金を調達する方法です。
フリーコンサルタントとして起業予定の方にとって、どうやって資金を調達するかは大きな課題。コンサルティング業は製造業のように設備や材料などのコストは多くかかりませんが、それでも起業にはまとまった資金が必要となります。資金調達するには、融資や助成金を検討するのが一般的ですが、最近では新しい資金調達方法のひとつとして、クラウドファンディングが注目を集めています。
2016 年に行なわれた調査(※)によると、国内クラウドファンディングの市場規模は363億3,400万円(2015年度)。前年度比で見ると、なんと68.1%増!急激に伸びていることがわかります。
※出典:「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2016年)」株式会社矢野経済研究所(http://www.yano.co.jp/press/pdf/1573.pdf)
個人でも利用でき、少額でもOKなクラウドファンディング。インターネットを通じて幅広く出資者から資金調達ができるのが大きなメリットです。
クラウドファンディングを使って資金調達に成功した事例のひとつが、2016年に大ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」。女優のんさんが声優を務めたことでも話題になりました。実はこの映画、制作時に資金不足に陥り、クラウドファンディングサイトを通じて、支援者を募集。
当初の目標金額は2,000万円でしたが、最終的には3,000人以上の支援者から約3,900万円もの資金が集まりました!支援者した方のお礼には、エンドロールに名前を掲載するなどの特典が用意されました。
※出典:「片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援」Makuake(https://www.makuake.com/project/konosekai/)
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クラウドファンディングの利用方法とメリット
実際にクラウドファンディングを使って資金調達をする基本的な流れをご紹介します。
- 1.クラウドファンディングサイトへ、目的や集める目標金額などを申請します。
- 2.サイト運営側にて審査が行なわれます。
- 3.審査に通れば、クラウドファンディングサイト上に案件が掲載。支援者募集がスタートします。
- 4.サイトやSNSなどを通じて支援者を集めます。クラウドファンディングでは、資金を提供してくれる支援者へリターン(お礼)を用意するのが一般的です。商品開発であれば、製品化したあとに商品をプレゼントします。イベントの場合は優先的に参加する権利をつける、セミナー内容の動画をプレゼントすることもあります。このリターン次第で資金の集まり方も大きく変わります!
- 5.あらかじめ決めた募集期間内に目標額に達したら成功です。資金をもとに募集時に決めたリターンを実行しましょう。一般的には、成功した場合のみクラウドファンディングサイトへ所定の手数料を支払います。
- なお、クラウドファンディングはお礼(リターン)の内容によって、大きく3つのタイプに分かれます。
1.購入型
商品やサービスの開発にかかる資金を集めるときによく使われます。支援者へのリターンは、実際に資金を使って制作した商品・サービスというタイプ。
2.投資型
ファンドを組成して支援者から出資を募り、リターンはお金とするタイプ。通常の投資に近いイメージです。
3.寄付型
リターンがないタイプ。社会貢献に関する案件などで主に利用されます。
クラウドファンディングのメリット
また、クラウドファンディングは他の資金調達とは違ったメリットが多くあります。
1.個人でも資金調達ができる
個人でも不特定多数の方から資金を集められるというのは、大きなメリット。融資や助成金がNGとなっても、審査基準が違うためクラウドファンディングなら資金調達できる可能性があります。
2.PRにつながる
クラウドファンディングは、不特定多数の方から出資を募ります。そのためサイトやSNSなどを通じて広くPRができるため、認知度アップにつなげやすいメリットがあります。
3.支援者との接点が持てる
購入型では、商品やサービスの開発に対する一般消費者の反応を見ることができます。開発の時点から支援者とコミュニケーションができるため、ファンになってもらいやすいメリットもあります。
4.資金が集まらないときは手数料がかからない
多くのクラウドファンディングサイトでは、審査や掲載までは無料でできます。サイトにより手数料等の取り決めは異なりますが、ほとんどのクラウドファンディングでは、目標額に達しなかった場合でも基本的に自己負担はありません。(2017年8月現在)
日本国内の代表的なクラウドファンディングサイト3選
日本でもクラウドファンディングサイトは増えており、選択肢が多くなってきました。ここでは代表的なサイトを3つご紹介します。もしクラウドファンディングを利用するときは、できれば複数サイトを比較検討しておきましょう。サイトによって得意なジャンルが違います。
■Ready for
日本最大級のクラウドファンディングサイト。2011年の運営開始から26万人以上の支援者・38億円以上の資金を集めた実績があります。アドバイザーがプランニングやサポートを行なってくれるという安心感があり、はじめてでもクラウドファンディングにチャレンジしやすいのが特徴。ものづくりのほか、起業、社会貢献、国際協力に関する案件を取り扱っています。
■FAAVO
地域活性化に関連した案件に特化しています。観光業や農業など地域ビジネスにつながる案件のほか、震災復興支援に関連した案件など公共性の高いテーマが多いのが特徴です。FAAVOは、地方自治体との連携にも取り組んでいます。たとえばFAAVO横浜版では、横浜市と協定を締結。横浜市内の事業者がクラウドファンディングを活用できるよう、ワークショップを開催するなどの支援体制があります。
■Makuake
サイバーエージェントの子会社によるクラウドファンディングサイト。他のサイトは社会貢献に関する案件が多いのですが、Makuakeでは「ショップを作りたい」「デジタルグッズを作りたい」などの幅広いテーマの案件が掲載されています。クリエイターが利用するケースも多く、本記事でも紹介したアニメ映画「この世界の片隅に」もMakuakeを利用して資金調達に成功しました。
クラウドファンディングの注意点
クラウドファンディングは手軽に資金調達ができる方法として注目されていますが、一方で利用する際には気を付けたいポイントがあります。4つの注意点をご紹介します。
1.アイデア段階で公表するリスク
インターネットを通じて広く支援者を募集するために、アイデア段階で広く世間に公表しなければなりません。PRにつながるメリットがある一方、他の人にアイデアをマネされてしまうリスクもあります。あらかじめ専門家に相談するなど、措置をとっておきましょう。
2.資金が手元に入るまで時間がかかるリスク
クラウドファンディングでは期間を決めて募集を行なうのが基本。審査なども含めると数か月かかる場合があります。融資よりも時間がかかるケースもありますので、急いで資金を集めたい場合は注意しましょう。
3.資金調達できないリスク
当然ながら募集しても思うように資金が集まらなかった…というケースもあります。サイトにより違いますが、一般的には目標金額に達しないとすべて支援者へ返金されます。資金調達に失敗した場合、その後の計画を大きく見直さなければなりません。
4.調達した資金にかかる税金に注意
クラウドファンディングによって集めた資金は、リターンの内容や金額によってかかる税金が異なります。個人で資金を集める場合は、できれば税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
クラウドファンディングは個人でも資金を調達できる方法として、今後も利用が進むことが予想されます。フリーコンサルタントの方にとってもご自身の起業だけでなく、趣味や社会貢献など個人的な活動にも幅広く活用できるのではないでしょうか。資金調達が目的ですが、クラウドファンディングを通じて新しい人脈やつながりができる可能性も。ぜひ特徴やメリットをふまえて、クラウドファンディングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)