サブスクリプション型ビジネスとは?カフェやゲームも定額制の時代?
作成日:2018/04/13
AdobeやATOKも!デジタル分野に広がるサブスクリプション型ビジネス
日本語入力システムとして歴史のある「ATOK」。販売元であるジャストシステムではATOKのパッケージ販売を停止し、定額制(ATOK Passport)へ移行することを2017年12月に発表、今年2月1日から提供を開始しています。AdobeがPhotoshopやIllustratorといったソフトウェアを定額制へ移行したのは2013年。
当時はまだ珍しかった定額制ですが、今では主流になりつつあります。Google Play MusicやApple Musicなどの音楽配信サービスや、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスにおいても、今では定額制サービスが人気を集めています。
ソフトウェアやデジタル配信においてメジャーになりつつある定額制。「サブスクリプション型ビジネス」とも呼ばれていて、他のジャンルにも広がっている注目のビジネスモデルです。
■サブスクリプション型ビジネスの定義
一般的には定額制サービスによるビジネスのことを言います。なお「サブスクリプション」(subscription)には、本来「予約金」「予約購読」という意味があります。ソフトウェアの場合、ソフトウェアそのものを買い取るのではなく、使用ライセンスを得るかたちとなります。つまり利用したい間だけ定額を払い、契約期間が終わればソフトウェアは使用できなくなります。
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サブスクリプション型ビジネスのメリット・デメリット
実はサブスクリプション型ビジネスが増加しているのは、提供側にとって多くのメリットがあるため。最も大きなメリットといえば、収益の安定化。例えばソフトウェアなら単体パッケージを販売するよりも1回あたりの金額は低くなりますが、毎月定期的な課金収入が見込めます。
利用中のユーザーと継続した接点を持ち続けるため、マーケティングに役立つデータを収集しやすいというのもメリットと言えます。売り切り型のパッケージではユーザーとの接点は最初だけで、そのあとはトラブルなどがなければ基本的に接点はありません。
一方、サブスクリプション型なら、ライセンス確認やバージョンアップなどで継続してユーザ―と接点を持つことになります。つまりユーザ―の利用状況やニーズを把握しやすくなり、マーケティングへの活用が可能。利用者へ他のサービスに関する情報をアナウンスしたり、囲い込みのための施策へ取り組んだりというプロモーションもしやすくなります。
もちろんメリットだけではなく、デメリットもあります。サブスクリプション型ビジネスを始めるには、継続課金を行なうためのシステム構築が必要。利用者に対して契約状況やキャンセル申し込みといったプラットフォームの準備も欠かせません。当然コストがかかります。
また、定額制のため、最初に決めた価格の変更が難しいという一面も。ユーザーに納得してもらえない値上げによって、契約数が激減してしまうリスクもあります。サブスクリプション型ビジネスでは、サービスレベルの維持も課題と言えます。例えば2017年12月に大きなニュースとなった動画配信サービスの事例。新サービスの発表をしたところ、むしろ利用者からは既存サービスに対する画質や使い勝手の悪さなどの批判が集中してしまいました。
■利用者側におけるサブスクリプション型のメリット
提供元だけではなく、利用するユーザーにとってもサブスクリプション型はいろいろなメリットがあります。
1.使い放題なので、使えば使うほどお得感があります。音楽配信や動画配信では、個別のソフトを購入するよりも割安になるケースが一般的です。
2.アップデートなどの面倒な手続きが不要となります。例えばソフトウェアなら、通常新バージョンが出るたびに再購入が必要。サブスクリプション型なら、自動的にアップデートされるので、いつでも最新バージョンを利用できるという利便性があります。
3.使いたい期間だけ契約できるので、短期間ならサブスクリプション型のほうがコストを抑えられます。ちなみにソフトウェアの場合は、長期間利用すると買取よりも費用負担が増える可能性もあります。
サブスクリプション型ビジネス事例(1)定額でPS4ゲームが楽しめる「Play Station Now」
Nintendo Switchなどのゲームやスマホのアプリゲームでは、定額制はなかなか見かけないのではないでしょうか?ところがPS4などを販売するソニーは、2015年に「Play Station Now」という定額制サービスをスタートしました。
Play Station Nowは、クラウドを使ったストリーミングゲームサービス。対象のPS3やPS4のゲームを契約期間中好きなだけ遊ぶことができます。2017年にはPS4のタイトルを30本追加され、Windows 向けのアプリを提供開始するなどサービス拡充も積極的に取り組んでいます。
契約プランは1か月プランと3か月プランも選べるようになっています。この複数プランを設けるというのも、サブスクリプション型ビジネスの大きな特徴。ヘビーユーザー向けだけではなく、ライトユーザー向けプランも設けることで、利用者層の拡大を狙っています。音楽や動画の配信と同じように、ゲームも将来は定額制が主流になるかもしれません。
サブスクリプション型ビジネス事例(2)定額制カフェを関東・関西に展開する「ハンデルスカフェ」
月額会費を払えばドリンクが飲み放題というサブスクリプション型システムを採用しているのがハンデルスカフェ。現在、横浜・池袋・京都に店舗があります。
月額会員になるとコーヒーなど9種類のドリンクが飲み放題。近隣で働く人など頻繁にカフェを利用したい人にとっては、定額制なら大きなおトク感があるのではないでしょうか?実際に人気も高く、月額会員の募集時にはなんと数分で定員に達してしまうこともあるそうです。
カフェといえばドリンク1杯数百円という価格帯のため、時間や曜日によって売上にばらつきが出てきます。でも定額制にすることで、ある程度ベースとなる収益を見込んでおくことが可能です。また飲み放題にして来店を増やすことで、他に注文するフードなどの売上アップも見込めます。
ただし、サブスクリプション型カフェの目的は、収益というより話題性・知名度アップという狙いの方が強いかもしれません。実際にハンデルスカフェは日経新聞など多くのメディアに取り上げられていて、広告効果が出ています。ちなみに月額会員の募集情報をキャッチするためには「プレ会員」への登録が必要(無料)。プレ会員は、つまり見込み客のことです。囲い込みをしておけるというのも、サブスクリプション型ビジネスならではと言えます。
ソフトウェアやデジタル配信サービスをはじめ、さまざまなジャンルに広がる定額制のサブスクリプション型ビジネス。安定した収益を見込めるほか、ユーザーとの接点が保持できるというメリットが注目されています。
最近では定額制ゲームや定額制カフェといった、従来型とは異なる新しいビジネスモデル事例も登場。なお紹介した事例はいずれもBtoCビジネスですが、実はBtoBビジネスにおいてもコマツなど、サブスクリプション型ビジネスを展開する企業も出てきています。サブスクリプション型ビジネスに取り組む企業が増える中、大手広告代理店の電通では新たにサブスクリプション型ビジネスの導入支援をはじめました。コンサルティング案件においても、サブスクリプション型ビジネス向けのシステム開発・サービス開発といった案件が増えることも予想されます。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
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