エンジェル投資家とのマッチング場所は?探し方のコツや留意点を知る
最終更新日:2019/09/25
作成日:2019/03/06
起業創業のための資金が足りない起業家に救いの手を差し伸べる存在、それがエンジェル投資家です。エンジェル投資家の絶対数は日本ではまだそう多くはありませんが、今後は日本でも増えていくと予測されています。
一般的には、エンジェル投資家からの出資は金融機関からの融資と違い、返済の義務がありません。そのため、起業創業のための資金が足りない起業家の中には、エンジェル投資家との出会いを切に願っている人も多いでしょう。
ここでは、エンジェル投資家の探し方、マッチングの秘訣、ならびに留意点について詳しく掘り下げていきます。
目次
■何故エンジェル投資家は出資をするのか?
(1)資産家にはお金よりも優先したいことがある
(2)自分が持つノウハウを有効活用したい
(3)リターンを期待している
■エンジェル投資家の探し方
(1)マッチングサイトをフル活用しよう
(2)マッチングサイトの利用料金
(3)マッチングサイトに掲載できる項目
■エンジェル投資家から出資を得るコツ
(1)詳細情報をアピールできなければ始まらない
(2)本当に必要な資金だけを募る
■出資してもらう際に気をつけたいこととは?
(1)尊敬できる投資家から資金調達するのが望ましい
(2)出資してもらうデメリットも頭に入れておくべき
(3)その他の資金募集方法も検討する
■まとめ
何故エンジェル投資家は出資をするのか?
(1)資産家にはお金よりも優先したいことがある
エンジェル投資家の投資はあくまで個人投資です。そして、投資をする時は基本的に出資という形になります。出資は融資とは異なり資金を援助された側に返済の義務が発生しませんので、出資した企業に利益が出た時のみ、エンジェル投資家は配当という形で利益が得られます。この側面だけを考えると、この個人投資は、あまりにも起業家側に有利な契約のように見えるかもしれません。しかし、それでも海外では個人投資をするエンジェル投資家が多数います。我が国日本でも、年々個人投資をするエンジェル投資家は増えているようです。
エンジェル投資家が出資をする理由・・・それは、「自分が出資をした会社の成長を見守るのが楽しい」という感情が湧くからだそうです。一般人には想像しにくい感情かもしれませんが、一定以上の財産を手にしている成功者にとっては、目の前の損得以上に大切にしたいものがあるのでしょう。
もちろん、エンジェル投資家は闇雲に起業創業のための出資をするわけではありません。出資先は入念に検討します。当然のことながら、成長や成功が見込めない起業家や企業に出資をしても、リターンが期待できないばかりでなく、「成長を見守る」という楽しみも持つことが困難だからです。
(2)自分が持つノウハウを有効活用したい
エンジェル投資家の中には、過去に自分で起業創業を行ない、成功した人も少なくありません。そのような人は、起業創業時の資金調達の苦労もよくわかっています。「できるだけ若い起業家をサポートしてあげたい」という気持ちを抱く人が多いのは、そのような背景からも来ているようです。
また、「引退後もビジネス界とは何らかの形で関わっていきたい」、「自分が持っているノウハウを後進に伝えたい」と願う資産家が、エンジェル投資家になるケースも多いのでしょう。
引退すると、自分が持っているノウハウを活かせる機会はぐっと少なくなります。しかし、個人投資家となり株主になれば、引退後も企業と密に関わることができるという点から、個人投資を通してビジネスと関わり続けたいと願うのです。成功者にとってビジネスは何より興味深く、エキサイティングな存在なのでしょう。「面白い新規事業と関わり続けたい」という気持ちは、多くの人が理解できるのではないでしょうか。
(3)リターンを期待している
ここまで述べた出資理由は知識を受け継いだり、一歩引いたところからビジネスの動きを感じていたいという、「お金より大切にしたいもの」という発想がもとになっている概念でした。しかしながらどんな投資家であっても、出資した企業からリターンを得ることへの期待は少なからず持っているものでしょう。夢や情熱だけでなく、「儲かるのか」というシビアな感覚を持ち合わせていることも、自分の力で資産家になった人にとっての一つの才能なのです。
金融機関の融資とは違い、エンジェル投資家がリターンを得るためには出資した企業が利益を出さなければなりません。そのため、利益が出るようにエンジェル投資家はアドバイスをしたり、経営面のサポートをしたりすることもあります。
リターンを期待している以上、当然成功や成長が見込める起業家に出資します。そのため、出資を募る起業家に欠かせないスキルは「この起業家なら成功しそう」「このビジネスなら利益が出そう」とエンジェル投資家に思わせられる“伝達力”なのではないでしょうか。
※1参照:https://shikin-pro.com/guide/113
エンジェル投資家の探し方
(1)マッチングサイトをフル活用しよう
もっとも一般的なエンジェル投資家の探し方は、マッチングサイトへの登録です。登録をすることで、より広い範囲からエンジェル投資家を募集することができ、可能性を広げることができます。
募集する際に明確にするべきことは、以下の2点です。
・どのようなビジネスプランなのか
・スタートアップのためにいくらの資金調達が必要なのか
この2つから、あなた自身またはあなたが始めようとしている事業に興味を持ってもらい、個人投資をしてもらう。これが基本となる大きな流れです。
もう1つのエンジェル投資家へのアプローチ方法は、すでに登録している投資家に直接連絡することです。マッチングサイトに登録しているのはスタートアップを控えた起業家ばかりではありません。エンジェル投資家も、起業家を募集しています。
投資家のプロフィールには「どのようなビジネスに投資したいと考えているのか」と「出資できる金額」が記載されていますので、あなたの条件と合えばマッチングが成功する可能性もあります。
このようなビジネスマッチングのサポートを行なっているサイトはいくつもありますので、それぞれチェックしてみましょう。
(2)マッチングサイトの利用料金
さて、起業家と投資家をビジネスマッチングしてくれるマッチングサイトですが、当然慈善事業ではないため、利用方法にもよりますが使用料金が発生する場合もあります。
たとえば、Founder(https://found-er.com/)というマッチングサイトの場合、起業家の登録、エンジェル投資家の募集、ならびに投資家からメッセージを受け取るところまでは無料で利用することができます。
起業家から投資家にアプローチする段階まで進むと、有料会員になる必要があります。会員料金はベーシックなプランで1ヶ月あたり9,800円(2019年3月現在)。スタートアップに必要な資金と比較すればわずかな額かもしれませんが、無料サイトではないことは考慮しておきたい点です。
他にはグッドエンジェル(http://angel.good-hills.co.jp/)というビジネスマッチングサイト。ここも料金システムは前述したFounderと似ています。募集や登録自体は無料ですが、起業家から投資家にメッセージを送るためには有料会員になる必要があり、有料プランの料金は月々9,500円です(2019年3月現在)。
(3)マッチングサイトに掲載できる項目
「スタートアップに必要な資金を提供してくれるエンジェル投資家を募集するために、ビジネスマッチングサイトに登録をする」と想定して、サイトを具体的に見ていきましょう。ここではFounderのサイトを参考にして、起業家がどのような情報を掲載するのかをチェック。エンジェル投資家とのマッチングの秘訣を探ってみましょう。
Founderで掲載できるのは以下の通りです(2019年3月現在)。
・タイトル
・調達したい金額
・都道府県
・ビジネスプランの一部
まず、大多数の投資家が注目するのはタイトルです。どのような目的のために資金調達したいのか、どのような企業を始めるつもりなのか。投資家は、事業プランにもっとも注目していると考えられます。タイトルに記入できるのは最大で50文字程度。この50文字が資金提供を受けられるかどうかの鍵を握ります。このタイトルに惹かれないかぎり、エンジェル投資家に詳細をクリックしてもらえる可能性はガクッと下がってしまいます。
続いて、調達したい金額です。ここには好きな金額を記入できますが、本当に必要な金額を記入するべきでしょう。
そして、都道府県。大金を出す以上、エンジェル投資家が「起業家本人に会いたい」と考えるのは自然なことです。そのため、直接会いやすい距離に住んでいるのかを重要視するエンジェル投資家も少なくありません。起業家と投資家の住まいが近いほうがマッチングしやすいという傾向は、少なからず実在するのです。
最後にビジネスプランの一部が表示されますが、ここに表記できるのは80文字程度。ビジネスプランの全貌を説明するのは到底難しいことです。ここですべてを伝えようと考えるのではなく、「これだけは伝えたい」と思うことを絞り、より強い興味を持ってもらい次へ進むチャンスをもらえるように心がけて文章を作成しましょう。
ここまでの情報で、エンジェル投資家が起業家に興味を持てば詳細をクリックしてもらえます。詳細をクリックしてもらえれば、自己PR、事業内容、投資の内訳、収益予想、投資家への還元方法などもアピールできるようになるのです。
エンジェル投資家から出資を得るコツ
(1)詳細情報をアピールできなければ始まらない
起業家が事業への熱い想いをマッチングサイトに公開しても、残念ながらほとんどが読み流されてしまいます。その理由は、やはりビジネスプランの全貌が見えにくいため、クリックするほどの興味をそそることが難しいからではないでしょうか。
基本情報だけでは、投資家は個人投資をするメリットをイメージしづらいのです。それどころか、そもそもメリットやデメリットを考慮する段階にまで至らないことも多いでしょう。スタートアップのための資金調達をしたい起業家の数は多く、投資家は起業家の情報の1つ1つをじっくりと検討していては、時間がいくらあっても足りないというのが現実です。
しかし、起業家が資金調達のために心がけなければならないのは、できるだけ多くのエンジェル投資家に詳細情報を伝えるためにクリックしてもらうこと。たくさんいる起業家に埋もれてしまうことなく、エンジェル投資家から見つけてもらう。見つけてもらうための最初の努力を怠らない。これが、一番の秘訣だと考えてよいでしょう。
さて、詳細情報をクリックしてもらうためにもっとも必要なものは、投資家を引き付ける魅力的なタイトル。わずか50文字で、どれだけ投資家に「個人投資したい」と思わせることができるか、それをじっくりと考えましょう。「マッチングサイト上において、もっとも大切なのはタイトル」という視点で考えると、タイトルの付け方に必ず変化が生まれます。
(2)本当に必要な資金だけを募る
「スタートアップのための資金は、多ければ多いほうが良い」とどうしても考えがちですが、本当に必要な金額だけを申請した方が良いと考えられます。
スタートアップのためのお金を明らかに多く申請した場合、投資の金額の内訳にどうしても不自然な点が出てきてしまいます。投資家が不自然さを感じてしまえば、せっかくのビジネスマッチングも流れてしまうかもしれません。
どんなビジネスも自己資金だけでスタートアップさせたいもの。しかし、それが難しいからこそマッチングアプリを活用するのです。そう考えると、必要以上の資金調達を投資家に求めないほうが、結果的に起業家本人にとって大きなメリットが残るはずです。
投資家の多くは、もともと起業家で成功した人材が多いので、資金調達したい金額を水増しすれば、きっと見破られてしまうでしょう。そうして失った信用を取り戻すのは困難です。真摯な姿勢もエンジェル投資家を動かす大切な要素なのです。
※2参照:https://advisors-freee.jp/article/category/cat-big-06/cat-small-16/548/
出資してもらう際に気をつけたいこととは?
(1)尊敬できる投資家から資金調達するのが望ましい
個人投資による資金調達は、エンジェル投資家とビジネスパートナーになるということでもあります。エンジェル投資家がビジネスに意見をする局面も当然出てくるでしょう。これが出資ではなく融資ならば、事業の進め方を干渉される度合いは最低限かもしれません。しかしエンジェル投資家からの資金提供は融資ではなく出資である以上、事業に対し必要以上に干渉される可能性も想定しておかなければなりません。もちろん、起業家とエンジェル投資家の意見が合わないこともあるでしょう。
このような場面において、起業家にとってそのエンジェル投資家が尊敬できる対象かどうかは非常に重要なポイントになることでしょう。自分で考え進めてきた事業に対し、無条件で「スタートアップの資金を出してもらったのだから、エンジェル投資家の意見は何でも聞こう」という気持ちにはなかなかなれないものです。尊敬しているからこそ、相手の意見を聞きたい、勉強の機会になるという前向きな気持ちでエンジェル投資家の話に耳を傾けることができるのです。
起業するとなると、少なからず体力的、精神的にストレスがかかるもの。そんな時に、エンジェル投資家とぶつかることで疲弊し、事業に集中できなくなってしまうことはできる限り回避したいものです。そのような観点から、お金だけにひかれて出資者に選ぶのは、あまりおすすめできません。できれば、エンジェル投資家がどのような人なのかをきちんと調べて、「この人と一緒にビジネスをしたい」と心から思える人と組むこと。これが、理想のビジネスパートナーの探し方です。
(2)出資してもらうデメリットも頭に入れておくべき
エンジェル投資家からの個人投資は、スタートアップの資金が足りない起業家にとっては非常に魅力的に映ります。融資のように返済の義務がなく、事業が成功した時だけ報酬を払えば良いのですから「資金調達できたもの勝ち」のように考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、エンジェル投資家に出資してもらうということは、相手の意見を経営に取り入れる“義務”のようなものが発生することも多いでしょう。「自分の事業なのに自分の思うように事業展開できない・・・」といった状況に陥る可能性が考えられます。
メリットばかりに目を奪われずに、デメリットがあることもきちんと確認してからエンジェル投資家からの資金調達を考慮しましょう。いろいろな探し方をした結果、自分とは合わないと感じるエンジェル投資家しか見つからないのであれば、他の資金調達方法を検討したほうが良いかもしれません。出資だけではなく融資にも目を向けるべきです。
※3参照:https://kigyolog.com/article.php?id=208
(3)その他の資金募集方法も検討する
通常のビジネスローンなどから融資してもらったほうが良い場合もあります。融資にはもちろん返済の義務がありますが、経営を干渉される心配や、どこまで意見を汲むべきかといった悩みはありません。このように融資には融資のメリットがあるのです。
また、クラウドファンディングやベンチャーキャピタル(以下VC)を利用して資金調達する方法もあります。新規事業がVCの目に止まることは残念ながらあまり多くありませんが、ビジネスプランのコンテストに応募して評価されたり、著名人の経営塾に参加することで、あなたの新規事業がVCの目に止まり、起業創業のための資金援助を得られる可能性が広がります。VCは、融資だけではなく経営のサポートもしてくれますので、人によってはベストな資金調達方法になるかもしれません。
スタートアップの資金が豊富な起業家というのは稀です。多くの起業家が起業創業のための資金が足りずに、自分のビジネスをスタートできずにいます。そのため、多くの起業家にとってエンジェル投資家の存在は、非常に魅力的に映ることでしょう。まだまだ、日本国内ではエンジェル投資家の数はそう多くありませんが、今後は日本でも海外のようにエンジェル投資家の存在がもっと一般的になることも考えられます。
ただし、起業創業のための力になってくれるのは、エンジェル投資家だけではありません。あくまで選択肢の1つと考えておくべきです。そうすれば、早く起業創業することだけにとらわれずに、自分のビジネスを自分らしい形でスタートさせやすくなるでしょう。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
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