SAPコンサルタントへの転職やフリーランスとしての働き方

作成日:2019/12/13

 

業務効率化のソリューション、ERP。クラウドの浸透により導入コストの大幅ダウンも予想され、中小企業の顧客増も予想されています。ERP導入を支援するSAPコンサルタントは、世界的にも需要が多く、今後もニーズは衰える気配がありません。SAPコンサルタントの将来性やフリーランスとしての働き方、さらにはSAPコンサルタントの転職事情などを詳しく説明します。

 

目次

■SAPコンサルタントとして働く
(1)SAPコンサルタントの将来性
(2)SAPコンサルタントの職種と働き方
(3)未経験者がSAPコンサルタントになるためには

 

■フリーコンサルタントという働き方
(1)SAPコンサルタントはどんな人が多いのか
(2)フリーコンサルタントに求められる能力やスキル
(3)フリーコンサルタントになるタイミング

 

■フリーランスになるメリット
(1)報酬がアップする
(2)仕事を選べる
(3)働き方を選択できる

 

■SAPコンサルタントの転職事情
(1)SAPコンサルタントのキャリアパス
(2)転職するならぜひ取得したいSAP認定コンサルタント

 

■まとめ

 

 

SAPコンサルタントとして働く

(1)SAPコンサルタントの将来性

現在SAPコンサルタントを目指している方やSAPコンサルタントへの転職を考えている方にとって、一番気になるのはコンサルタントへのニーズと将来の見通しではないでしょうか。

もちろん将来のことですから正確に言い当てることはできませんが、シンクタンクなどの見通しによるとSAPコンサルタントのニーズは今後も衰えることなく、むしろ右肩上がりだという見解が多く見られます。

 

その理由はいくつかありますが、1つはその圧倒的なシェアでしょう。現在、SAPのERPパッケージはオラクルやマイクロソフトなどのソフトウェア会社を抑えてトップとなっています。

 

ERPパッケージは高額であり、導入にあたっては億単位の資金が必要になってきますので、導入を検討している企業の多くはソフトの信頼性を重視する傾向が強く見られます。

 

高いシェアを占めるということは製品の信頼性の裏付けにもなりますから、今後もSAPが選ばれる傾向が続くと考えるのは当然と言えるでしょう。もう1つの理由は、SAPが積極的に導入を推し進めているクラウド型ERP「SAP S/4HANA」の存在です。

 

先程も少し触れましたが、ERPパッケージの導入には多額のコストがかかるため、現在のクライアントは大企業が殆どです。

しかし、クラウド型ERPが浸透してくれば自社でサーバーなどの整備投資をすることなくサブスクリプションとしてERPを利用することが可能になります。

 

当然、導入コストも大幅に安くなると予想され、これまで利用することをためらっていた中小企業が次々とクライアントになることが考えられます。

このようにSAPのニーズは今後も堅調であり、それをサポートするSAPクライアントのニーズも堅調だと言えるでしょう。

(2)SAPコンサルタントの職種と働き方

SAPコンサルタントの働き方は非常に多様です。というのも、SAPのERPパッケージが財務会計や管理会計、販売管理といった領域で管理されているのと同様に、コンサルタントの業務も領域によって細分化されているからです。

 

しかも、それぞれの製品は金融やサービス、エネルギー資源など分野ごとに最適化されているため、特定の製品とバージョンに依存した「アプリケーションコンサルタント」「デベロップメントコンサルタント」「テクノロジーコンサルタント」など専門の認定コンサルタントが必要になります。

 

このようにSAPコンサルタントの職種は非常に細分化されているのが特徴です。ただし、あまりにも専門分野が細分化されているためにエンジニアとしての経験に汎用性がなく、潰しが効かないのではないかという不安もよく聞かれます。

実際、SAPに特化してしまうと他のキャリアへの広がりがないと考える人が多く、SAP希望のエンジニアも少なくなっているのも事実です。しかし、これは裏を返せば今後もコンサルタントとしての需要が高いまま推移することを示すことにもなるわけです。

また、エンジニアの絶対数が少ないことから、高い専門性があればかなりの高収入が期待できます。

(3)未経験者がSAPコンサルタントになるためには

このようにSAPコンサルタントは魅力的な仕事ですから、これまでエンジニアとしての経験がまったくない人でもコンサルタントを目指したいという人が大勢います。では未経験者がSAPコンサルタントになるにはどうしたら良いのでしょうか。

 

やはり、まったくの未経験者がいきなりコンサルタントになることは困難でしょう。雇う側の企業としても、最低限ERPパッケージの設計導入経験があることを条件としていることがほとんどです。

 

まずは、経理や人事などの分野で業務系パッケージの設計導入経験を積むことが求められます。また、これまでに経理財務部門に所属していた経歴を持ち、経理や財務、会計といった基幹業務について専門的な知識を持っていることはとても重要です。

 

SAPコンサルタントは、クライアントから経営課題をヒアリングして業務改革に活かすというITアドバイザリー的な役割もあり、要件定義のためには他のIT系職種よりも経理や財務、会計等の知識や経験が求められるからです。

 

☆あわせて読みたい

『【SAPコンサルタントとは】未経験OK?激務?つまらない?資格が必要?仕事内容・年収・今後の将来性を解説!』

 

フリーコンサルタントという働き方

(1)SAPコンサルタントはどんな人が多いのか

SAPコンサルタントといっても、その中にはさまざまな働き方があります。

たとえば企業やコンサルファームにサラリーマンとして勤務する人がその一例です。

 

現在SAPを導入しているのは大企業がほとんどで、当然ながら業務改革プロジェクトの規模も大規模なものとなります。

そのため、その案件を受注する側の企業やコンサルファームについても必然的に大規模な企業が請け負うということになるわけです。

 

ですから、たとえ会社員であっても大企業の経営に直接関与することのできる案件に携わることができます。会社に所属しているコンサルタントの中には社員ではなく、企業の専属コンサルタントして契約社員のような形で働いている人もいます。

 

通常の選考では落とされてしまうような世界的な大企業であっても、コンサルタントとしての優れた経験があれば大きなプロジェクトに携わることができるのが魅力です。そして、フリーランスで活躍するコンサルタントもたくさんいます。

(2)フリーコンサルタントに求められる能力やスキル

フリーコンサルタントとして活躍するためにはどのような能力やスキルが必要になるでしょうか。SAPコンサルタントはITシステムを通してクライアントの抱える経営課題を解決するのが仕事ですから、クライアントが納得する要件定義を提案する必要があります。

 

そのためには、現状を詳しく分析した上で問題を発見する能力や、経営課題を理論的に解決するための論理的思考力が必要になるでしょう。クライアントから指定された納期をしっかり守るためのスケジュール管理能力も欠かせません。

SAPコンサルタントは他のITコンサルタントに比べて、経理や会計、財務の知識や経理財務部門での経験が必要な職種でもあります。経営課題を解決するためにはこれらの知識や経験は不可欠です。

 

SAPはITによる業務改革が目的ですから、ITシステムの設計導入経験も要求されます。SAP運用経験だけでなく、パッケージの設計導入経験も大切ですし、システム開発の経験もあった方が良いでしょう。

 

また、フリーランスには「営業力」も大切です。会社に勤務していた頃と違い、営業が案件を獲得してきてくれるわけではありません。人脈を広げて仕事を獲得するためにコミュニケーション能力は欠かせません。仕事の性質上、クライアントの経営戦略の奥深くまで立ち入ることになるため、情報管理など高い職業倫理意識を維持することも大切な条件です。

(3)フリーコンサルタントになるタイミング

フリーランスになることを検討されている方も多いと思いますが、そのタイミングの見極めは難しいものです。自分に任されている仕事の責任と給与とのバランスが合わないと感じたときが、フリーランスを決心するタイミングかもしれません。

 

また、会社の仕事と自分のやりたいことにギャップを感じたときにフリーランスになる決心をしたという方も多くいます。ちなみに報酬面で比較すると、30代では、サラリーマンの平均年収が500万円程度ですが、フリーは750万円ほどになっています。

☆あわせて読みたい

『フリーランス人材の悩みとは?業務委託の雇用形態とメリットデメリットを解説』

『【フリーランス入門ガイド】定義や個人事業主との違いとは?増えすぎた理由は?おすすめの仕事や獲得方法とは? 』

『フリーコンサルタントは副業でも稼げる?単価・種類・注意点を解説!』

 

 

フリーランスになるメリット

(1)報酬がアップする

フリーランスになるメリットの1つ目は「高い報酬が期待できる」ことです。

 

先にも触れたように、特20代または30代の若いエンジニアはフリーになることによりサラリーマン時代よりも年収がアップする可能性が高くなります。

もちろん、良い意味でも悪い意味でもフリーランスのコンサルタントは実力次第です。

実力がなくクライアントを満足させることができなければ仕事や収入は減ってしまいますが、逆にしっかりとしたコンサル業務を行なって成果を積み上げていけば、企業に所属するコンサルタントより多く報酬を手にすることができるかもしれません。

 

不安を解消するために、まずは人材派遣会社などの専門エージェントに相談してみるのも良いでしょう。実際に案件を取り扱うエージェントに等身大の自身を見てもらうことで、自分の実力ややるべきことがはっきりし、もやもやとした不安感を払しょくできるかもしれません。

(2)仕事を選べる

2つ目のメリットは、「仕事内容を選ぶことができる」という点です。企業に勤務していれば、仕事を受けるか受けないかは会社側の判断となりますが、フリーランスなら自分自身で決断を下すことができます。

 

収入を増やしたいならば報酬が高額な案件を選べば良いですし、将来どのようなフリーコンサルタントになりたいのかを基準にして、キャリアアップできる仕事だけを選ぶことも可能です。もちろん、SAP運用のスペシャリストを目指すこともできます。

(3)働き方を選択できる

3つ目のメリットは、「自由な働き方ができる」ことです。

たとえばフリーランスならば案件が一段落したら次の仕事まで長い休暇を取ることができるので、1ヶ月海外でゆっくり生活したいといったことも可能。会社勤めには難しい大きな魅力です。

また、将来本業に役立つかもしれない職業に、副業として就くこともできます。このように自分の幅を広げることにも役立つでしょう。

 

 

SAPコンサルタントの転職事情

(1)SAPコンサルタントのキャリアパス

SAPコンサルタントの転職で必要となるキャリアパスには次のようなものがあります。

最も多いのが、コンサルファームから別のコンサルファームへの移動です。これまでの経験を活かして大きなプロジェクトに挑戦したいという人や、もっと条件の良いところで働きたいという人のキャリアパスです。

SCM(サプライチェーンマネジメント)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)といったキャリアパスを活かして、より特定のモジュールに特化した業務に就きたいという思いからSAPコンサルタントへ転職する人も多くいます。

 

また、SAPコンサルタントとして企業の業務改革プロジェクトを担当したキャリアパスを最大限に活かすために、他社の経理財務部門へ転職し業務改革プロジェクトに参加する人もいます。

(2)転職するならぜひ取得したいSAP認定コンサルタント

SAPでは、自社のERPパッケージに関して十分なスキルや知識を有していることを証明する「認定コンサルタント資格試験」を実施しています。

 

すでにSAPコンサルタントとして十分な実績があれば別ですが、一般的に認定コンサルタント資格を所有することで転職が有利になります。転職を希望するならぜひ取得しておきたい資格です。

 

認定コンサルタントには大きく「アプリケーションコンサルタント」「デベロップメントコンサルタント」「テクノロジーコンサルタント」の3つありますが、たくさんの製品がリリースされているため資格の種類もかなり多くなっています。

ご自身で興味のある分野や将来像を鑑みて、取得する認定コンサルタント資格を選ぶようにしましょう。

なお、認定コンサルタント試験に対応したテキストなどは市販されていませんが、トレーニング講座を受講することで試験対策ができます。

認定コンサルタント資格は国内だけでなく海外でも有効なので、外資系企業への転職にも力を発揮します。

 

 

 

 

今回は大手企業を中心に多くの導入事例を持つERPパッケージベンダー、SAPに精通したコンサルタントの仕事内容ややりがい、年収などについてご紹介してきました。

世界的に見ても需要の多いSAPコンサルタントはIT業界で活躍していく上で、将来のキャリアの目標としても目指しがいのある職種と言っても良いでしょう。

 

またSAPの認定資格は、スキルレベルのアピールに役立つほか、仕事の幅や将来のキャリアの選択肢も増えるため、ITコンサルタントとしての成長を考えている方にはオススメの資格の1つです。

今後のキャリアを形成する上で、あなたも市場価値や年収を上げるためのステップとして、SAPコンサルタントを目指してみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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