業務委託とフリーランスの違いとは?業務委託として働くメリット・デメリットを解説
最新更新日:2024/07/03
作成日:2022/06/20
「業務委託とフリーランスは何が違うのか?」「独立している人は業務委託?フリーランス?」という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
・業務委託とフリーランスの違いとは?
・業務委託の種類
・業務委託契約で働くメリット
の順に解説します。
業務委託とフリーランスの働き方の違いなどを知りたい方に役立つ記事です。ぜひ最後までご覧ください。
目次
■業務委託とフリーランスの違いとは?
業務委託は「契約の種類」
フリーランスは「働き方」
■業務委託契約で働くメリット
好きな仕事を選べる
働き方の自由度が高い
成果次第で高収入が目指せる
人間関係のストレスから解放される
■業務委託契約で働くデメリット
案件獲得を自分でする必要がある
継続的に仕事が得られる保証がない
税金や経費などの処理を行う必要がある
労働基準法が適用されない
一部の社会保険に加入できない
社会的信用度が低下する
■業務委託契約書に記載すべき内容
業務内容
報酬
成果物の権利を明確にする
契約期間と契約変更および解除条件
再委託
秘密保持義務
紛争の解決方法
業務委託とフリーランスの違いとは?
業務委託とフリーランスは同じような意味の言葉として使われがちですが、この2つの言葉は定義が異なります。業務委託とフリーランスの違いについて解説します。
業務委託は「契約の種類」
業務委託とは、業務を委託する委託者と業務を請け負う受注者とが取り交わす契約のことです。業務委託は企業とフリーランスなどの個人だけでなく、企業間でも交わすことがあります。付け加えて説明すると業務委託とは法律用語ではありません。請負契約、委任契約、準委任契約の総称として呼ばれています。
フリーランスは「働き方」
フリーランスとは働き方を意味する言葉です。企業などの組織に所属せず、案件ごとに業務委託契約を交わして働きます。自由度が高い働き方ができて成果次第で高収入が期待できますが、案件単位の契約なので収入が不安定になりやすいなどのデメリットがあります。
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業務委託の種類
前述したように業務委託は法律用語ではなく、請負契約、委任契約、準委任契約の総称です。業務委託とまとめられる請負契約、委任契約、準委任契約、それぞれの定義について解説します。
請負契約
請負契約とは、企業などが外部の人材に業務を依頼する場合に交わす契約です。受託者が完成させた成果物に対して報酬が支払われます。フリーランスの職種ではライター、カメラマン、デザイナー、エンジニアなどが請負契約を交わして働きます。報酬対象は成果物なので作業時間に報酬は発生しません。また、成果物が未完成の場合や契約で取り決めた品質を下回っていると判断された場合は、完成していても報酬が得られない可能性があります。
委任契約
委任契約とは法律行為を伴う契約を指します。委任契約の例として、弁護士が依頼を受けて訴訟代理人として裁判などの手続きを行うことが挙げられます。委任契約では成果物ではなく、作業時間や進行度に対して報酬が発生します。弁護士が裁判の勝敗に関係なく、報酬を得られるのは請負契約とは報酬の対象が異なるためです。
準委任契約
準委任契約とは法律行為以外の業務を行う場合に交わす契約です。報酬は委任契約と同じく作業時間や進行度に対して発生します。コンサルタントやシステム運営などは準委任契約を交わします。
業務委託とその他の契約形態の違い
業務委託契約と、その他の契約形態の違いについて解説します。
雇用契約
雇用契約では、労働者は企業などの使用者と雇用契約を交わして働きます。業務委託契約と雇用契約で違うのは使用者に労働者への指揮命令権があることです。指揮命令権がある場合、使用者は労働者に対して、業務内容の指示や勤怠管理が認められています。
雇用契約の対象は正社員だけではありません。アルバイトも企業に直接、雇用されるため、雇用契約に該当します。
もう1つの違いは労働法が適用されるかどうかです。雇用契約を交わした労働者には労働法が適用されます。しかし、業務委託契約で働くフリーランスなどは法的には労働者に該当しないため、労働法が適用されません。
派遣契約
派遣契約では労働者は派遣会社と雇用契約を交わします。派遣会社が派遣先の企業と労働者派遣契約を交わすことで、労働者への指揮命令権は派遣会社から派遣先の企業に移り、労働者への業務内容の指示や勤怠管理などが認められます。
派遣契約と業務委託契約では目的が異なります。派遣契約は急増した業務への対応、欠員者の穴埋めなど労働力の確保が目的です。これに対して、業務委託契約は委託した業務の遂行または成果物の納品が目的です。
業務委託契約で働くメリット
フリーランスが業務委託契約を交わして働く場合、以下の4つのメリットがあります。
好きな仕事を選べる
会社員は上司の命令に従って仕事をしなければいけません。上司から任された仕事が自分には荷が重いと気乗りしない内容であっても上司の命令である以上、遂行しなければいけません。
これに対して、業務委託で働く場合は不得意な分野の案件は避けて、経験、スキルがいかせる得意な分野の案件を選んで働くことができます。不得意な分野の依頼がきても、自分の判断で断れるのも会社員との違いです。
得意とする分野を中心に働くことで仕事へのモチベーションが上がり、仕事への向き合い方がポジティブな方向に変わるかもしれません。
働き方の自由度が高い
働き方の自由度の高さも業務委託で働くメリットです。会社員は指示された就業場所や就業時間を守って働かなければいけません。しかし、業務委託で働くと週内の労働日数、1日の労働時間、どこで働くかも自分で決められます。
今月は忙しかったので来月は仕事を抑える、旅行に行くので連休を設けるなど会社員では難しい働き方ができます。業務委託でも常駐型の場合は働き方に制限がありますが、ほとんどの業務委託では働き方を自分で決められます。
成果次第で高収入が目指せる
成果に応じて高収入が目指せるのも業務委託で働くメリットです。業務委託の中でも請負契約では成果物に対して報酬が支払われるため、成果物が多いほど報酬も増えていきます。
また、成果物や仕事の質が評価されれば単価アップが期待できます。単価が上がれば、これまでと同じ仕事量で収入アップが目指せます。会社員も成果によって昇給の可能性がありますが大幅な昇給は期待できないので、業務委託ならではのメリットと言えるでしょう。
人間関係のストレスから解放される
会社員は上司や同僚が苦手だからと所属する部署を勝手に変えられません。苦手な相手でも仕事と割り切って付き合い、飲み会などのイベントが苦手でも今後の関係を考えて参加しなければいけないなど、人間関係のストレスを感じることがあります。
しかし、業務委託には上司も同僚もいません。業務委託の委託者と受託者は対等な関係なので、会社員よりも人間関係に悩まされることは少ないでしょう。
業務委託契約で働くデメリット
案件獲得を自分でする必要がある
営業担当者が獲得した仕事を部署ごとに分業して働く会社と違い、業務委託で働くと案件獲得も獲得した案件の処理も自分でしなければいけません。獲得した案件が終了するまでに次の案件を獲得できないと、仕事が途切れて収入が不安定になる恐れがあります。業務委託で働く場合、営業活動と案件の処理など、複数の仕事を同時進行で行うスキルが求められます。
継続的に仕事が得られる保証がない
業務委託は案件ごとの契約です。十分な成果を出せば継続して案件が獲得できることもありますが、クライアントが期待する成果が出せなかった場合や、成果に関係なくクライアントの都合で契約が終了する可能性もあります。
複数の案件を同時進行で処理するなど、仕事が途切れない働き方をする必要があります。
税金や経費などの処理を行う必要がある
会社員は税金や社会保険料などを天引きした給与を受け取れます。しかし、業務委託では自分で確定申告をして税金を支払わなければいけません。確定申告以外にも年金、各種保険料、住民税などの納付も自分で行います。クライアントへの領収書などの発行もすべて自分で行わなければいけません。
労働基準法が適用されない
会社と雇用契約を交わす会社員は労働基準法が適用されるため、最低賃金などの保証があります。しかし、業務委託で働くと法律上、労働者と見なされないため、労働基準法が適用されません。また、報酬は成果物が対象なので、働き方によっては時給換算すると最低賃金を下回る可能性があります。業務委託で働くと自由な働き方ができる代わりに自己責任となることが多く、ブラック企業のような働き方にならないよう自己管理をしなければいけません。
一部の社会保険に加入できない
業務委託は法律上、労働者と見なされないため、一部の社会保険に加入できません。業務委託で加入できないのは健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険です。
国民健康保険、国民年金には加入できますが、雇用保険と労災保険に加入できないのは病気やケガなどで働けなくなった時のことを考えると不安が残ります。万が一に備えて加入できる保険を探しておく必要があります。
社会的信用度が低下する
業務委託で働くと、会社員よりも住宅ローンやクレジットカードなど金融関連の審査が通りにくいと言われています。この理由は毎月、会社から給与が支払われる会社員と違い、業務委託は収入が安定しづらいと判断されるためです。
業務委託で働き出して、3年以上経過していることを条件に住宅ローンなどが認められる場合が多いようですが、審査基準は会社員よりも厳しいと言われています。
業務委託契約書に記載すべき内容
業務委託で働く場合、必ず業務委託契約書を締結しましょう。口頭でも効力を発揮しますが、トラブルが発生した場合に業務委託契約書が自分を守る盾となってくれます。業務委託契約書に記載すべき7つの項目と内容について解説します。
業務内容
具体的な業務内容と業務の対象範囲を明確にして記載しましょう。業務内容と対象範囲が曖昧だと業務範囲が拡大していく可能性があります。契約の段階でクライアントとの認識を合わせてトラブルの芽を摘んでおきましょう。
報酬
報酬も契約書に明確に記載すべき必須項目です。コンサルタントが業務委託を交わして案件単位で働く場合の報酬は、着手金と成功報酬という組み合わせが多いようです。顧問として継続的に働く場合の報酬は月額固定制か、作業時間または拘束時間に対して報酬が発生するタイムチャージ制のどちらかです。この他に経費はどちらが負担するのか、想定以上の成果を達成した場合にボーナスは発生するのかなど、詳細な条件についてもクライアントと認識を合わせる必要があります。
成果物の権利を明確にする
クライアントに提供または納品した成果物の著作権や知的財産権がクライアントと受託者のどちらに帰属するかを取り決めておきましょう。業務委託では成果物の著作権や知的財産権は委託者となるクライアントに帰属するのが一般的です。
しかし、作成者が外部に公開されると問題が発生する場合などは必要に応じて、作成者を外部に公開しないなどの条件を付けましょう。
契約期間と契約変更および解除条件
契約開始日と終了日、契約期間も契約書に記載しましょう。契約内容の変更や契約を解除する場合の条件についても記載が必要です。何らかの法令違反などが発覚して、契約を解除する場合の未払い報酬の支払い方法、支払時期、成果物の返却などの条件を明確にすることで、契約解除が必要になった場合にトラブルを回避できます。
再委託
委託された業務の一部を第三者に委託する場合の条件についても記載します。何らかの調査が必要な場合、外部の専門家に業務の一部を再委託することがあります。受託者の勝手な判断で再委託はできないため、再委託の可否、再委託を行った場合の監督方法、再委託の報酬、条件についての手続き方法なども含めて明確にします。
秘密保持義務
業務で知りえた情報の取扱い方法と秘密保持の義務も契約書に記載しましょう。委託された業務内容によっては、クライアントの重要な社内情報に触れる機会があります。もしも、社内情報が外部に漏れた場合、深刻な損失が発生する恐れがあります。
秘密情報の定義と範囲、秘密保持の期間、情報の目的外利用の禁止、情報の返却または破棄方法、情報が漏えいした場合の対応など、詳細かつ明確に契約書に記載しましょう。
紛争の解決方法
紛争が発生した場合の解決方法についても記載しましょう。案件が途中で中止になった・成果物の品質がクライアントが求める基準を満たしていないなどのトラブルは珍しくありません。
トラブルに対応するには契約書で定めた条件に沿って解決する必要があります。契約書には解決方法と所管する裁判所、紛争時の費用負担などを記載して、万が一のトラブルに備えましょう。
コンサルタントが業務委託として働いた時の報酬相場
コンサルタントが業務委託で働いた場合、報酬額の相場は月額80~130万円が目安と言われています。年収に換算すると1,000万~1,500万円ほどです。ただし、これはコンスタントに案件獲得ができることを想定した場合の試算です。
コンサルタントとしての経験・スキルが十分に備わっていても、業務委託という働き方では安定して案件が獲得できるとは限りません。クライアントに自分を売り込む営業スキルも求められます。
高収入を目指して単価が高い案件獲得を目指す働き方もありますが、収入が不安定にならないよう継続性が高く、報酬が月額制の案件を獲得して安定した収入を維持する働き方もあります。
どちらの働き方を選ぶのも自由です。今後のキャリアなどを考慮して、自分に合う働き方を選びましょう。
まとめ
業務委託は「契約形態」、フリーランスは「働き方」と覚えると、それぞれの意味を混同することはないでしょう。フリーランスが業務委託で働くと働き方の自由度が高く、会社員では難しい大幅な収入アップが期待できます。しかし、労働基準法が適用されないなどのデメリットもあるので、業務委託という働き方を選ぶ前にメリットとデメリットを正しく理解する必要があります。
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(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)