【監修】「コンサルタントの起業術」8つの独立適正チェックポイント
作成日:2021/02/19
働き方改革、テレワーク、副業解禁、パラレルワーク……。人生100年時代を迎えた現在、働き方の選択肢が広がっています。「独立」一つとっても個人事業主がフリーランサーとして活動したり、シェアオフィスで開業したりと形態もさまざま。独立のハードルも下がっているといえるでしょう。とはいえ、やはり独立には「自由」や「裁量」を得られる反面「自己責任」「自己管理」などが求められます。どんなタイプの人、どんな準備をしている人が独立や起業に向いているのか、チェックポイントを基に整理してみましょう。
目次
■8つの項目であなたの独立適正をチェック
(1)何があっても「自分の責任」だと考えられますか?
(2)副業、複業を始めていますか?
(3)マッチングサイトには登録しましたか?
(4)既に案件を獲得しましたか?
(5)貯金はありますか?
(6)期待値を超えるパフォーマンスを発揮できますか?
(7)自分の価値をクライアントに提示できますか?
(8)安定した収入源を確保できましたか?
■まとめ
※本コラムは、営業力・マーケティング力支援、経営企画業務支援などを行なうコンサルタントが監修しています。
コンサルタントとして起業をする前に
現在、事業会社やコンサルティングファーム、シンクタンクで働いていて、「いつかは独立してフリーランスのコンサルタントとして起業したい」と考えている方も少なくないでしょう。
フリーランスで仕事をするのは、高収入を望めたりキャリアアップができたりと夢のある話ですが、実際は事業が軌道に乗るまでに時間がかかったり、会社員とはまた違う大変さがあります。この機会に「独立」に対して適性があるかをチェックしてみましょう。
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8つの項目であなたの独立適正をチェック
(1)何があっても「自分の責任」だと考えられますか?
最も重要なことのひとつは、仕事に対する「考え方」にあります。
みなさんも、会社に入社したばかりの頃に、失敗やミスをした経験があると思います。そのとき、直属の上司や先輩が肩代わりして責任を負ってくれたことはないでしょうか?
会社員であるということは、組織の中の1人ということです。自分1人が失敗してしまったことも、会社が責任の一端を負ってくれます。
しかし、起業したら自分のミスをカバーしてくれる人はいません。仮に自分に非がなくとも、クライアント側に迷惑をかければ、それはすべて自分の責任になります。会社員でなくなるということは、組織のしがらみから解き放たれることで得られる「自由」と引き換えに組織からの擁護もなくなるということであり、あなたの一挙手一投足が、全て自分の責任であることを「当たり前だ」と考えられることが最低条件と言えるでしょう。
(2)副業、複業を始めていますか?
会社員を辞めて起業し、ゼロから仕事を受注していくのは効率的ではありません。就業規則との兼ね合いで問題がなければ、会社員であるうちに副業、複業として事業を始めてみるのも良いでしょう。
副業、複業のマッチングサイトやプラットフォームを利用して、本業の業務時間外でできる範囲の案件を探して挑戦してみるのも一つの手。たとえ小さな案件であっても、そこから「継続的な仕事」が紹介されるきっかけを作ることができるかもしれません。
実際、副業、複業を経ることなく、実務経験もなくフリーランスのコンサルタントとして起業し、その後1年以上無収入だったという悲惨なケースもあります。
どんなビジネスで起業するにせよ、自らの起業リスクを減らすための副業、複業は、起業準備期には欠かすことができない必須項目です。
自身のビジネスアイデアが通用するかを低リスクで試せる「週末起業」も、一考の価値ありです。
(3)マッチングサイトには登録しましたか?
独立して、なるべく早く事業を軌道に乗せたいのであれば、良いスタートダッシュを切れるかどうかも重要です。現役のコンサルタントで「今はフリーランス事業者とクライアント企業をマッチングするプラットフォームなどもあるし、案件獲得に関しては、昔よりハードルは下がっている」と話す方もいらっしゃいます。
情報やツールが増えたため、以前と比べて低リスクで独立開業できるようになったということです。また、こうしたWebサービスでは、有益な情報を無料で発信している場合も多くあります。「情報」があるのとないのとでは大違いです。
マッチングサイトでは、自分自身をアピールするツールとして、積極的に情報発信することも重要。加えてそこで得られる情報を冷静に分析し、ターゲティング、プロモーション、ブランディングなど、自らのマーケティング活動に活用することも、とても重要であると覚えておきましょう。
(4)既に案件を獲得しましたか?
「思い立ったが吉日」とは言うものの、何の事前準備もせず、見切り発車で独立をするのは避けるべきでしょう。コンサルタントに限ったことではありませんが、起業する際は、やはり綿密な準備が必要です。
特に、事業が軌道に乗るまでにはある程度の時間がかかると見積もったほうが賢明です。起業を目指すのならば、起業する前に前述のようにマッチングサービスなどに登録したり、オンラインを活用した交流会に積極的に参加し人脈を作る他、身近な人たちに広報し、仕事を紹介してもらえる地盤を作ることなどに取り組む必要があります。
そして、契約できる(契約した)案件に見通しが立っている状況を確保した上で、独立に乗り出すことをおすすめします。
(5)貯金はありますか?
たとえ起業してすぐに良い案件が契約できたとしても、報酬が手元に入るまでにはタイムラグが発生する場合もあります。
また起業後まもなくは、最低限の生活費用はもちろんのこと、サイトやネットワークへの登録料、交流会への参加費、営業活動にかかる交通費のほか、人によっては、レンタルオフィスの賃料、法人化に備えた出費など、想像以上の出費がかさみます。手元資金が底を突くとメンタル面にも悪い影響を与えてしまいますので、準備が万端に整っていたとしても、少なくとも2~3か月、できれば半年分くらいの生活費と経費を見込んだ資金を確保した上で、起業するのがベターです。
もし起業準備に不安がある場合は、不安の種がある程度解消されるまで起業を見送るか、1年先くらいまでの必要資金を確保しておくことが望まれます。
(6)期待値を超えるパフォーマンスを発揮できますか?
業務委託契約でのコンサルタント案件は、まずは短期間契約し、その後の状況次第で更新する方針を取る企業もあります。
例えば3か月の契約期間であったりすると、「契約満了後、次の仕事はあるだろうか」と不安に感じてしまうかもしれません。
しかし、重要なのはその3か月間をどうこなすかです。クライアントの期待値以上のパフォーマンスを見せることができれば、当然契約が更新される可能性は高まります。また、能力が認められ新たに仕事を依頼してもらえるかもしれません。さらにはそうした実績の積み重ねで、契約時に価格交渉ができる可能性もあります。
起業後まもないコンサルタントにありがちなのは、「期待値以上のパフォーマンス」の意味を履き違えてしまうケースです。ニーズをさておいて、私はこんなことも、あんなことも出来ますとアピールしてしまうのです。
その結果3カ月で契約終了となるわけですが、「こんなに高いパフォーマンスがあるのに、どうして続かないの?」と嘆く姿を良く目にします。
クライアントが望む人材とは、まず100%ニーズに応えた上で、プラスアルファの高いパフォーマンスが提供できる人材です。契約継続を勝ち得るためには、ニーズに100%応えることから始めてください。
(7)自分の価値をクライアントに提示できますか?
フリーランスで仕事をする場合、その案件によって拘束期間や報酬、進め方が異なります。契約の際は、契約内容をよく検討する必要があります。
特に独立したての時期は、納得がいかない金額を提示されても、案件を獲得できた安心感が勝り「数をこなせばいいか」と考えることもあるかもしれませんが、この考えは危険な面もあります。
1人でできる仕事量には限界があり、またあなたの能力に対して適正でない価格設定をされているかもしれません。また、最初から「頑張ればなんとかできる」という仕事量では、体調を崩してしまった時など不測の事態が起きた際に、納期までに業務を遂行できない可能性もあります。
それに何より、自分自身の価値を能力や実績を下回る金額で契約すると、今後も同様の契約をされてしまうかもしれません。
自身のキャリアや能力を考慮し適切な価格で契約をしないと、自分の首を絞めることになります。たとえ独立したてであっても契約交渉は慎重にするべきなのです。
また、ここ数年は国策として「働き方改革」の取組みが本格化しています。フリーランスも例外ではありません。「働き方改革」にはいくつかの指針があり、そのひとつに、“業務を効率化しワークライフバランス(仕事と生活の調和)を保とう”というものがあります。業務効率化は成果/時間の分数で表され、成果(分子)を維持しつつ、時間(分母)を減らしてことで業務効率を上げると定義することが出来ます。
フリーランスで仕事をする場合でも業務効率化の視点は大切です。成果を維持しながら時間を短縮するパフォーマンスを身に付けることが出来れば、これまでこなせなかった仕事量をこなせるようになったり、無理なく案件を片付けることが出来るようになるでしょう。
そうすれば、「質を落とすことなく短時間で仕事を終えるフリーランス」という自分の価値を生み出すことができます。また、その業務を終えた後に、クライアントの満足や信頼を勝ち取ることができるようになるはずです。
(8)安定した収入源を確保できましたか?
独立する上で、安定した収入源があることほど心強いものはありません。当然ですが、会社員のように毎月決まった日に決まった給料が振り込まれることはなくなるのです。
独立しても大事なのは「安定」です。まずは1社、継続して長く契約できるクライアントが確保できれば、フリーランスとしてひとつの成功とも言えるでしょう。これは、クライアントからパフォーマンスを理由に信頼を獲得した証拠とも言えます。よほどのことがない限り契約を終了されない「強い関係」を構築することを目指して仕事に臨むようにしましょう。
「貧すれば鈍する」と言いますが、どんなに優秀なフリーランスでも、仕事に恵まれていなければパフォーマンスが鈍ってきます。パフォーマンスを上げるための一番の特効薬は「安定した収入」に他なりません。
ぜひ「安定した収入」の獲得を目指し、あなた自身のパフォーマンスを最大化する正のスパイラルを手にしてください。
まとめ
あなたはチェックにいくつ当てはまりましたか?
コンサルタントが独立開業するにあたって注意すべきことは他の職種と大きく変わることはありませんが、この8つは少なくとも押さえておきたいところです。
フリーランスはシビアな世界です。自分のスキルを武器にして生計を立てるのですから、手を抜いていては評価も上がりません。コンサルタントとして開業を考えている方は、今の自分と8つの項目を照らし合わせてみるのもよいでしょう。
< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)
東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。
ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)
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