【ITコンサルタントとSEの違いとは?】IT戦略への関わりや業務内容

最新更新日:2024/10/30

 

近年、ITシステムやIT戦略の専門知識を持つ「ITコンサルタント」の需要が高まっています。ITコンサルタントはSEと混同されやすく、ITコンサルタントとして受けた案件がSEでも対応可能であったり、SEとしてジョインしたプロジェクトでITコンサルタント並の知識が必要だったりします。ITコンサルタントとして独立を考えている人のためにも「ITコンサルタントとSEの違い」に焦点を当ててご説明します。

 

目次

■ITコンサルタントとSEの5つの違い

 

■ITコンサルタントとSEの役割
ITコンサルタントの役割
SEの役割

 

■ITコンサルタントとSEの業務内容
ITコンサルタントの業務内容
SEの業務内容

 

■ITコンサルタントとSEの必要なスキルや経験
ITコンサルタントに必要なスキルや経験
SEの業務内容

 

■ITコンサルタントとSEの所属組織
ITコンサルタントの所属組織
SEの所属組織

 

■ITコンサルタントとSEの上流工程
ITコンサルタントの上流工程
SEの上流工程

 

■ITコンサルタント・SEのやりがい
ITコンサルタントのやりがい
SEのやりがい

 

■ITコンサルタントとSE。違いを意識して独立に役立てよう

 

 

ITコンサルタントとSEの5つの違い

プロジェクトをまとめるITコンサルタント

 

ITコンサルタントとSE(システムエンジニア)は、「役割」「仕事内容」「必要なスキルや知識」「所属組織」「上流工程が示す意味」などに違いがあります。ITコンサルタントとSEの違いを知っておくと、転職活動でミスマッチを防げたりや新規案件を受注する際、報酬価格の交渉が具体的にできるなどのメリットがあります。

 

ITコンサルタントとSEでは適性や学ぶべき分野も異なるため、両者の違いを明確に知っていると、ITコンサルタントとして、もしくはSEとしてスムーズに転職活動を進められそうです。

 


しかし、
ITコンサルタントとSEを明確に分ける境界線はありません。同じプロジェクトに取り組むことも多い、ITコンサルタントとSEは、同じ業務を手分けして遂行することもあります。とはいえ、それぞれの領域のどこまでを手がけるのか、手がけられるのかを理解しておけば報酬の交渉などに役に立つでしょう。

 

 

ITコンサルタントとSEの役割

システム開発に取り組むSE

 


まずは両者の「役割の違い」から解説します。簡単に言えば、ITコンサルタントがクライアント企業に必要となるITシステムを策定し、SEがそのシステムの具体的な設計をするといった役割の違いがあります。細かい内容を見ていきましょう。

 

ITコンサルタントの役割

ITコンサルタントは、情報技術のコンサルティングを行う立場であり、SEの上級職としての専門性を有しています。企業の経営戦略を深く理解し、情報技術(IT)を活用して経営課題を解決するのが主たる役割です。
 
具体的な業務として、クライアントの業務分析から着手し、経営目標の達成に必要なIT戦略を策定します。また、企業の予算、人員配置、業務フローなども考慮しながら、最適なシステム構成を提案します。さらに、クライアント企業のIT投資の費用対効果を検証し、中長期的な技術革新への対応方針も示します。
 
プロジェクトの統括責任者として、システム開発の全体計画を立案し、進捗管理や品質管理も担当します。経営陣との折衝や、部門間の調整も重要な職務となります。導入後は、システムの活用度を評価し、必要に応じて改善提案も行います。

 

SEの役割

SEは、クライアントに必要とされるITシステムの設計・開発において、技術面での中核を担う存在です。システム要件の定義から、基本設計、詳細設計まで、開発の上流工程を主導的に進めます。
 
具体的には、クライアントの要望を技術的な仕様に落とし込み、システム構成図やデータベース設計書などの技術文書を作成します。プログラマーやエンジニアと密接に連携し、開発指示を出すとともに、技術的な課題解決のサポートも行います。
 
また、開発したシステムの品質を確保するため、各種テストの計画立案と実施を統括します。システムの安定稼働を実現するため、運用設計や保守体制の構築も重要な責務です。ユーザー企業の担当者への技術研修や、運用マニュアルの整備なども手掛けます。
 
障害発生時には、原因究明と対策立案の技術的な指揮を執り、システムの安定運用を支えています。常に新しい技術動向にも注目し、システムの改善や更新の提案も行います。

 

ITコンサルタントとSEの業務内容

大規模なプロジェクトに従事するSE達

 


業務内容の詳細はクライアント企業の希望や経営戦略によっても異なるものです。しかし、ITコンサルタントとSEの具体的な業務内容の違いをざっくり理解しておけば、転職時や案件を引き受けたあとのミスマッチを防げます。

ITコンサルタントの業務内容

ITコンサルタントは、クライアント企業の経営戦略をヒアリングし、それに沿ったIT投資計画の策定をサポートするのが仕事です。費用対効果やスケジュールを含め、必要となるシステムの分析を行います。

 

分析結果をもとに「現在のシステムの一部を流用するのか」、それとも「新規システムを1から開発するのか」など、複数のパターンを提案し、最適な策をクライアントと伴走して選択します。


 また、買収先企業のIT資産の価値や、維持・利用にかかるコストについての調査の他、ERPやCRMなどの、パッケージの導入を任されることもあるでしょう。他にもプロジェクトの全体管理のサポートをしたり、AIの導入や開発サポートなども行ったりなど、業務は多岐にわたります。

SEの業務内容

SEは「要件定義」「システムの設計」「開発」「テスト」「運用・保守」といった業務を行います。

 

要件定義とは、開発するシステムに「どの程度までの機能を実装するのか」「どういったデータを使用するのか」「速度などの性能はどの程度を求めるのか」といった要件の提案、決定です。要件定義後、ハードウェアの構成などを決める「基本設計」、ソースコードの構造を決める「詳細設計」といったシステム設計もSEの重要な業務です。


開発時には進捗状況の管理やプログラマーが作成したコードの確認、動作に問題がないかのテストや動作の安定度を保つために運用・保守といった管理も行います。

 

 

ITコンサルタントとSEの必要なスキルや経験

開発工程や結果をプレゼンするITコンサルタント

 


ITコンサルタントとSEの役割や業務内容の違いに伴い、求められる素養も異なりますスキルや知識、経験といった面からITコンサルタントとSEの違いを紹介します。

 

ITコンサルタントに必要なスキルや経験

ITコンサルタントには、情報技術全般に関する包括的な知識が不可欠です。特に、クラウド、AI、IoTといった最新技術の動向を把握し、それらをビジネスにどう活用できるかを見極める洞察力が重要となります。
 
企業経営の観点からは、財務、マーケティング、組織管理などの経営知識に加え、各業界特有の商習慣や規制についても深い理解が求められます。様々な業界でのITプロジェクト経験を持ち、成功・失敗の要因を分析できる実践的な知見も重要です。
ITベンダーが提供する各種パッケージやソリューションについて、機能性、コスト、導入実績などを精査し、クライアントに最適な選択肢を提示できる目利き力も必須です。また、新規システム構築だけでなく、既存システムの移行や統合といった複雑なプロジェクトをマネジメントした経験も高く評価されます。

 
ヒアリングスキルとしては、表面的な要望だけでなく、真の経営課題を引き出す力が求められます。得られた情報を基に、システム化の範囲や段階的な導入計画を具体的な図表や文書で表現し、経営層の理解を得る表現力も重要です。
 
さらに、技術者とビジネス部門の橋渡し役として、専門用語を噛み砕いて説明する能力や、利害関係者間の調整力も欠かせません。大規模プロジェクトでは、複数のチームを統率し、目標に向けて組織を牽引するリーダーシップも必要となります。

 

SEに必要なスキルや知識

SEには、システム設計の方法論やツールの使いこなしに関する専門的なスキルが求められます。データベース設計、ネットワーク構成、セキュリティ対策など、技術的な各領域での確かな知識基盤が必要です。
 
プログラミングについては、特定の言語に精通するだけでなく、様々な開発手法やフレームワークについての理解も重要です。システムの性能要件や品質基準を満たすための技術選定能力、問題解決能力も不可欠となります。
 
プロジェクトでは、要件定義のフェーズでクライアントから具体的な業務内容や要望を聞き出し、技術的な実現可能性を検討する分析力が必要です。また、開発チーム内でも、設計意図や技術的な制約を明確に伝え、メンバー間で認識を合わせるコミュニケーション能力が重要となります。
 
プロジェクトマネジメントの観点からは、開発工程の進捗管理や品質管理の手法を理解し、限られた時間とリソースの中で最適な判断を下せる実務能力が求められます。クライアントとの折衝では、技術的な制約や開発上のリスクを分かりやすく説明し、理解を得る説得力も必要です。
 
実務経験としては、要件定義から設計、開発、テスト、運用までの一連の工程を経験していることが望ましく、特に複数の開発プロジェクトで中核的な役割を果たした経験は、高い評価につながります。

 

ITコンサルタントとSEの所属組織

ビッグプロジェクトを扱うIT企業

 


IT経営戦略を提案するITコンサルタント、ITシステムを実現するSEは、それぞれ所属する組織の属性が異なることも多いです。 ITコンサルタントして、もしくはSEとして、転職や案件獲得したい場合もどちらの組織にアプローチするべきなのか目安になるでしょう。

 

ITコンサルタントの所属組織

フリーランス以外のITコンサルタントのほとんどは、シンクタンク、経営コンサルティング会社、システム開発会社などに所属しています。研究機関としてのイメージが強いシンクタンクでは、ITコンサルタント部門を持っている機関も多く、民間企業へのコンサルティング業務も行っています。

 


いずれもハイレイヤーといえる組織・企業ですが、フリーランスのITコンサルタントとして独立し、上記のような組織に所属している時よりも高い年収を得ている人もいます。

SEの所属組織

多くのSEが所属する組織として代表的なのは、SIer(システムインテグレーター)として名前が上がる企業です。SIerはクライアントの要望に応え、ITシステムの企画や設計、開発や保守などを一括して行う企業を指します。 


一般企業などで、社内SEとして働く場合や、フリーランスとしてクライアント企業からシステム開発を請け負うSEも多いです。

 

 

ITコンサルタントとSEの上流工程の範囲

工程についてSEに指示出しするITコンサルタント


ITコンサルタントとSEでは「上流工程」が意味する範囲が異なります。役割や具体的な業務内容が違うからです。詳しく見ていきましょう。

ITコンサルタントの上流工程

ITコンサルタントの上流工程は、経営戦略とIT戦略を結びつける最上位層の工程を担います。まず、クライアント企業の経営ビジョンや中期経営計画を深く理解し、業界動向や競合他社の分析も含めた広範な視点で課題を特定します。
 
具体的な活動として、経営層や各部門へのヒアリングを実施し、業務プロセスの可視化や課題の洗い出しを行います。現状のシステム環境を評価し、改善すべき点や新規に必要となる機能を明確化します。収集した情報を基に、IT投資による経営効果を定量的に測定し、投資対効果の分析も実施します。
 
次に、企業全体のIT戦略を策定します。経営目標の達成に向けて、システム構築の優先順位付けやロードマップの作成を行います。予算配分、人員計画、教育計画なども含めた総合的なIT投資計画を立案します。
 
また、情報システム部門の組織体制や運用体制の設計も重要な役割です。社内システム部門とベンダーの役割分担、システム導入後の保守・運用体制まで見据えた提案を行います。

SEの上流工程

SEの上流工程は、ITコンサルタントから提示された戦略や要件を、具体的なシステム仕様へと展開する過程です。要件定義フェーズでは、業務要件を詳細化し、必要な機能を明確にします。ユーザーインターフェース、データ構造、システム間連携など、技術面での要件を具体化します。
 
基本設計フェーズでは、システム全体のアーキテクチャを設計します。ハードウェア構成、ソフトウェア構成、ネットワーク構成などを決定し、性能要件やセキュリティ要件を満たすシステム基盤を設計します。
 
詳細設計フェーズでは、プログラム構造やデータベース構造を詳細化します。画面設計書、帳票設計書、インターフェース設計書など、各種設計書を作成し、開発チームへの指示の基礎となる文書を整備します。
 
見積もり作成では、開発規模の算出、必要な人員・スキル・期間の見積もり、開発環境の準備など、プロジェクト計画に必要な情報を取りまとめます。また、品質基準や受入基準の設定、テスト計画の立案なども、SEの上流工程に含まれる重要な業務です。

 

ITコンサルタント・SEのやりがい

ITコンサルタント・SEのやりがい

ITコンサルタントのやりがい

経営層との直接対話を通じて、企業の課題解決に向けたIT戦略を描き出せる点が大きな魅力です。提案したソリューションが企業全体の業績向上やビジネス変革につながった際の達成感は格別です。また、最新のテクノロジーと経営戦略を結びつける専門家として、クライアントから高い信頼を得られる職種でもあります。

SEのやりがい

要件定義から設計、開発まで、システムづくりの核となる工程に深く関われる点が最大の魅力です。技術力を活かして具体的なシステムを形にし、ユーザーの業務効率化や利便性向上に直接貢献できます。また、プロジェクトの進行とともにチームメンバーの成長を実感できる点も、SEならではのやりがいといえます。

 

ITコンサルタントとSEの違いを意識して独立に役立てよう

 

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ITコンサルタントとSEの両者を明確に分ける境界線はありません。ただし、クライアント企業での「役割」「仕事内容」「必要なスキルや知識」「所属組織」「上流工程が示す意味」などに違いがあります。ITコンサルタントとして独立を考えているなら、この5項目はSEとしっかり差別化できる高い知識と経験が必要でしょう。
 
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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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