【DXコンサルタントとは】転職に必要なスキルや資格は?年収やキャリアパスは?

最新更新日:2025/03/26
作成日:2022/04/18
企業や行政のDX化が進む中、DXコンサルタントの需要も日に日に増えています。今回はDXコンサルタントの業務内容や求められるスキル、将来性や年収などについて解説します。
未経験からDXコンサルタントを目指すなら取得したい資格情報なども踏まえ、DXコンサルタントへの理解が深まる内容となっています。
目次
■DXコンサルタントの需要が高まっている背景
デジタル技術の急速な進化
企業のDX意識の向上
経済環境の変化
専門知識とノウハウの不足
コンサル市場の拡大
■DXコンサルタントになるには
DX検定の資格取得も視野に入れる
■DXコンサルタントに求められるスキル
(1)テクノロジーへの理解と適応能力
(2)データ駆動による意思決定のサポート
(3)経営コンサルタントとしての知識
(4)人材の育成
(5)コミュニケーション能力
■DXコンサルタントの種類
総合系コンサルタント
戦略系コンサルタント
専門系コンサルタント
■DXコンサルタントに関するQ&A
(1)DXコンサルタントは激務?
(2)DXコンサルタントに転職するには?
(3)DXコンサルタントのキャリアパスは?
(4)DXコンサルと経営コンサルの違いは?
(5)中小企業向け・大企業向けDXコンサルタントの違いは?
(6)DXコンサルタントに向いている人材像は?
DXの定義
経済産業省によるとDXは以下のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活⽤して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変⾰するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業⽂化・⾵⼟を変⾰し、競争上の優位性を確⽴すること」
つまり、DXとは単に既存業務のデジタル化のみを指しているのではなく、外部環境の変化に適応しながら、ビジネスそのものを変革し、企業をアジリティ(機敏性)の高い組織に進化させることを意味しています。
※引用:経済産業省 近畿経済産業局『DXに関する経済産業省の施策紹介』
DXコンサルタントとは
DXコンサルタントとは、企業や自治体などのデジタルトランスフォーメーション(DX)導入をサポートするコンサルタントのことです。過去のデータを読み取って、DXによる経営戦略やITツールの導入を用いて業務改革を行い、経営課題を解決します。
現在、多くの企業がDXを推進したいと考えています。しかし、最新のIT情報や専門知識を持つ人材が在籍している会社はまだほんの一握りです。また、企業への本格的なDX導入には上流工程の実務経験がある人材が必要です。
企業の立場に立って、経営課題を解決しDX推進に向けて課題を洗い出し、適切なITツールや人材、コストなどの提案・導入・管理を担うことがDXコンサルタントに期待される主な業務です。
ITコンサルタントとの違い
ITコンサルタントは一般的に、情報技術全般にわたる知識を有しており、ソフトウェアの選定やシステムの構築、ITインフラの最適化に重点を置いています。
一方、DXコンサルタントはデジタルトランスフォーメーションを専門とし、企業のデジタル化を推進するための戦略的アプローチを提供します。その中には、新しいデジタル技術を活用してビジネスモデルを再構築することや、デジタル化による組織文化の変革を促すことが含まれます。
つまり、DXコンサルタントは単に技術的な課題を解決するだけでなく、企業の根本的なビジネスプロセスを変革することに重点を置いている役割だと言えるでしょう。
DXコンサルタントの需要が高まっている背景
DXコンサルタントの需要が高まっている背景には、以下の要因が挙げられます。
デジタル技術の急速な進化
インターネットとスマートフォンの普及により、消費者の購買行動はオンライン中心へと大きく変化し、企業はデジタルチャネルの強化を迫られています。同時に、AIやビッグデータの活用が進展し、企業経営においてはデータに基づいた意思決定が不可欠となっています。
さらに、クラウドサービスの普及は、リモートワークや業務の柔軟化を可能にする基盤として、現代のビジネス環境では欠かせない要素となりました。
企業のDX意識の向上
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」はDX推進の重要性を強く提言し、多くの企業がDX戦略の策定に着手するきっかけとなりました。
企業のDXへの関心の高まりは投資行動にも表れており、ITシステムの刷新やデータ活用基盤の構築への投資が顕著に増加しています。
経済環境の変化
新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは、企業のデジタル化を加速させる大きな契機となりました。リモートワークの急速な普及やオンラインサービスへの移行が進む中、企業は迅速かつ適切な対応が求められています。
また、「2025年の崖」問題への認識が広がり、DXに取り組まない企業はデジタル市場から取り残され、将来的に大きな経済損失を被るリスクが広く認識されるようになりました。
専門知識とノウハウの不足
多くの企業がDXの必要性を強く認識しながらも、社内における専門知識や経験の不足から、実際の推進に苦戦している現状があります。
AIやIoTの効果的な活用方法、データ分析基盤の適切な構築、デジタル時代における顧客体験の設計など、DX推進には高度な専門知識が必要とされているのです。
コンサル市場の拡大
DXに対する高まる需要は、コンサルティング業界全体の急速な成長を牽引しています。
特に、大手企業を対象とした戦略系コンサルティングやIT支援サービスの分野における市場拡大が顕著であり、DXコンサルタントの需要は今後も継続的に増加すると予測されています。
これらの要因により、企業は外部の専門家であるDXコンサルタントの支援を求め、その需要が高まっています。
DXコンサルタントになるには
DXコンサルタントになるには、デジタルに関する幅広い知識と企業のITツール導入や運用に上流工程から関わった経験が求められます。
知識を養い、実践にこぎつけるまでのハードルが高そうですが、現在はDXコンサルタントを育成するためのスクールやオンライン講座なども多数存在します。
スクールで学び、DXコンサルタントとしてIT分野に強いコンサルティングファームに所属したり、企業のDXコンサルタント求人に応募したりするのもよいでしょう。
コンサルティング業界に精通したプロの人材派遣事業者に登録し、案件紹介を待つのも、「DXコンサルタントになるにはどうしたらよいか」と考えている人におすすめの選択肢です。
DX検定の資格取得も視野に入れる
DXコンサルタントとして活動する際、特定の資格が求められるということはなく、スキル、経験、そして広範な知識がなによりも重視されます。
とはいえ、特定の資格が転職やクライアントの信頼獲得に繋がる可能性は無視できないものです。特に「DX検定」は、注目度の高い資格と言えるでしょう。
DX検定は、日本イノベーション融合学会ITBT検定委員会によって提供さているもので、DXに関連する専門知識が試されます。スタンダード、エキスパート、プロフェッショナルの3つのレベルに区分され、合格者には2年間有効なレベル認定証が授与されます。
認定証は名刺やプロフィールに記載することが認められており、DXの専門性を示すために有効な手段です。
DXコンサルタントの年収
DXコンサルタントへの報酬は、手がける業種や関わる程度によって金額に差が生じます。弊社のフリーランスコンサルタント向けのDXコンサルティング案件の中でも、100%稼働と仮定して提示された報酬金額は月額70万~170万と差があります。
企業の従業員としてDX関連のプロジェクトに参画する場合は、企業内の平均給与や考え方、領域によって給与設定がされ、年収500万~1000万程度と幅広いです。
個人のスキルによって年収が大きく跳ね上がることもあります。経験を積んだDXコンサルタントなら、納得できる年収額を自ら提示して交渉するのも一つの手です。
DXコンサルタントに求められるスキル
DXコンサルタントは以下のようなスキルを備えることで、企業のデジタルトランスフォーメーションを成功に導く力強いパートナーとなります。
(1)テクノロジーへの理解と適応能力
DXコンサルタントには、新しいテクノロジーを迅速に理解し、それをビジネス環境に適応させる能力が不可欠です。最新のソフトウェアツール、プラットフォーム、および技術標準に精通していることが求められます。
特に人工知能(AI)、機械学習(ML)などの技術は、デジタルトランスフォーメーションの推進において中心的な役割を担っています。
DXコンサルタントは、これらの技術がどのようにビジネスモデルや運営に革命をもたらすかを理解し、クライアント効果的に活用できるよう導く必要があります。
(2)データ駆動による意思決定のサポート
現代のビジネス環境においては、データドリブン(駆動)型の意思決定がますます重要になっています。
そのため、DXコンサルタントは、ビッグデータの分析と解釈スキルを有し、戦略的なビジネス決定に結びつけるためのサポートが求められます。
データを正確に読み取り、それを基に戦略を構築することで、企業のDX推進に対する信頼と成果を築き上げることができます。
(3)経営コンサルタントとしての知識
企業がDX化に舵を切るのは、経営課題を解消するためといっても過言ではありません。
DXコンサルタントは、経営課題の洗い出しや解決への戦略を提案したうえで、企業内にDXを持ち込み、運用することが求められるので、経営コンサルタントとしての知見も必要です。
DXコンサルタントには、DXを用いた経営コンサルタントとして、主体性やリーダーシップ、仮説構築能力などがあるとよりよいでしょう。
(4)人材の育成
DXコンサルタントの役割は、クライアント企業がデジタルトランスフォーメーションを遂行した後も続きます。
新たに確立したデジタルシステムを持続可能にするためには、クライアントの側で適切な人材を確保し、適切に育てることが不可欠です。
DXコンサルタントは、デジタル技術を活用して業務を遂行できる人材の育成にも関与し、プロデューサー、UXデザイナー、エンジニア、アーキテクトなど、必要な職種のスキルセットを具体化し、それに基づいたトレーニングプログラムやセミナーの提供を行います。
また、新たな人材の採用プロセスにも参画し、採用基準の設定や選考の流れの設計をサポートすることもあります。市場で求められるDX専門の人材は希少価値が高く、これらの人材を効果的に確保するためにはDXコンサルタントの専門的な支援が不可欠とされているのです。
(5)コミュニケーション能力
コンサルタントとして参画する以上、コミュニケーション能力も問われます。
経営課題の洗い出しの際に効果を発揮するヒアリング能力、企業が投資すべき設備やコストを認めてもらう提案力、運用中に生まれる課題に対応する柔軟性なども含め、幅広い能力が求められます。
また、日本国内のDX化を阻む原因の一つとして、たびたび「レガシー文化」が取り上げられます。世代の違う従業員や、出勤義務がある会社などではDX化がなかなか進まない場合があります。
こうした、考え方の違う人や企業も説得できるスキルがあるとよいでしょう。
DXコンサルタントの種類
DXコンサルタントの種類は、専門性の高さや担当範囲の広さによって3つの種類に分類されます。
総合系コンサルタント
総合系コンサルタントは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進全般を担当し、戦略立案からITツールの選定、システムの開発、そして運用支援に至るまで、DXプロジェクトのあらゆる段階をカバーします。
企業全体のDX化を支援する役割を担い、多様なビジネスプロセスとテクノロジーの整合性を保ちながら、組織全体の効率化と革新を推進します。多岐にわたる業務知識とともに、変化する市場環境に迅速に対応する資質が欠かせません。
戦略系コンサルタント
戦略系コンサルタントは、DX戦略の立案に特化しています。企業の既存の課題を深く分析し、デジタル化の方向性を策定することが主な業務です。
具体的には、DXに関連するKPI(重要業績評価指標)の設定、進捗のモニタリング方法の提案、そして組織のデジタル能力を最大限に引き出すための戦略的アプローチや最適なITツールの選択などを提供します。
戦略系コンサルタントは、長期的な視点で企業の成長を支えるDXの道筋を示し、持続可能なデジタルエコシステムの構築を助けます。
専門系コンサルタント
専門系コンサルタントは、特定の業界や特定のITツールに特化しており、その専門性を活かして企業の具体的な課題に対応します。
業界固有の知識や特定の技術に精通しており、クライアント企業に最適なソリューションの選定と導入を行います。
例えば、ヘルスケア、金融、製造業など、各業界特有のデジタル変革を進めるために、最新のテクノロジーを利用して効果的な改善策を提案します。
また、新技術の迅速な取り入れによって、企業の競争力を高めるサポートを行うことが期待されます。
DXコンサルタントの将来性
DXコンサルタントはここ数年のうちに誕生し、需要が高まった職種です。特に、コロナ禍に突入した2020年以降は、DX化推進の機運が高まり多くの企業がDXコンサルタントを求めています。
コンサルティングファームだけでなく、大手通信業や大手電機メーカーの参入も増加したDXコンサルティングですが、それでも企業や従業員を直接サポートするのは、やはり人です。
DXコンサルタントはフリーランスであっても今後も活躍が望まれる職種であるといえます。
DXコンサルタントに関するQ&A
(1)DXコンサルタントは激務?
DXコンサルタントに限らず、何らかのIT施策に取り組むコンサルタントの業務は多忙を極めます。
特に、多くの企業や自治体がDXに踏み切ったり検討を始めたりした、この2・3年は一人のDXコンサルタントがいくつもの案件を抱えている状態もあったようです。
ただし、企業がDX化を図るのはそもそも従業員の働き方改革やレガシー文化からの脱却のためです。DXに本気で取り組む意欲のある企業には、DXコンサルタント自身も激務にならない働き方を提案する余地があるでしょう。
(2)DXコンサルタントに転職するには?
DXコンサルタントへと転職しやすい職種には、経営コンサルタントやPMOがあげられます。
DXコンサルタントは、DXのスペシャリストとして企業に迎えられるポジションなので、日々更新されるデジタルトレンドや上流工程からIT関連のプロジェクトに関わった経験なども求められます。
こうしたことから、プログラマーやエンジニア、アーキテクト、データサイエンティストからDXコンサルタントへ転職する人も多いようです。
(3)DXコンサルタントのキャリアパスは?
DXに限らず、コンサルタントは案件の成果と数をこなせばこなすほど、社会的な信用もスキルも上がる職種です。
特に、DXコンサルタントは今後も必要とされる分野なので、現在関わっているDX案件を成功させた先には、より大手企業や大手のコンサルティングファームへの転職も可能でしょう。
また、フリーランスのDXコンサルタントとして、複数の企業を相手にDXコンサルティングで活躍する人もいます。
企業のDX化は、一度形ができたら終わりではなく、運用や保守、時代に合わせて最適化させていくことも大切です。年収などの雇用条件の見直しを交渉しながら、一つの企業で長く働くという手もあります。
(4)DXコンサルと経営コンサルの違いは?
DXコンサルタントは、経営コンサルタントとしての側面があるコンサルタントです。経営課題を見つけ、DXを用いた事業戦略を提案し、実行に導くのが仕事です。
一方、経営コンサルタントはDXに特化せず経営課題に対して働きかけるコンサルタントです。DXについては専任の人材雇用を企業に提案する場合があります。企業にとって必要な人材の見極めや確保も経営コンサルタントの仕事の一つです。
(5)中小企業向け・大企業向けDXコンサルタントの違いは?
中小企業向けと大企業向けのDXコンサルタントでは、求められるスキルセットや支援アプローチに違いがあります。
中小企業向けDXコンサルタントは、限られた予算と人材で最大の効果を出すための「実用的なDX推進」が求められます。
クラウドサービスやSaaSを活用したコスト効率の高いソリューション提案、社内に専門人材がいない前提での丁寧な伴走支援、経営者の理解と承認を得るための明確なROI(投資対効果)の提示などが重要です。
また、業務効率化や生産性向上といった比較的短期間で成果が出るDX施策からスタートすることが多く、「小さく始めて大きく育てる」アプローチが効果的です。
一方、大企業向けDXコンサルタントは、複雑な組織構造や既存システムとの連携を考慮した「戦略的なDX推進」が求められます。
全社的な変革ビジョンの策定、部門間の利害調整、大規模プロジェクトのマネジメント、グローバル展開を見据えた標準化などが重要なテーマとなります。
また、先進的なテクノロジーの導入や、デジタルを活用した新規事業創出など、より革新的な領域にも踏み込むことが多いです。
(6)DXコンサルタントに向いている人材像は?
DXコンサルタントとして成功するためには、特定の適性や資質が重要です。
まず、技術とビジネスの双方に興味関心を持ち、両者を結びつける「バイリンガル」的な思考ができることが大切です。最新のテクノロジートレンドに対する好奇心と学習意欲を持ちながらも、それをビジネス価値に転換できる戦略的思考力が求められます。
また、曖昧な課題を構造化し、本質的な問題を見極める分析力も不可欠です。DXは単なる技術導入ではなく、真の経営課題に向き合うものであるため、表面的な症状ではなく、根本原因を特定できる力が必要です。
さらに、多様なステークホルダーと効果的にコミュニケーションをとる力も重要です。経営層、現場担当者、IT部門、外部ベンダーなど、立場や知識レベルの異なる関係者に対して、適切な言葉で価値を伝え、合意形成を図る能力が求められます。
キャリアパス豊富なDXコンサルタントは独立企業もおすすめ
DXコンサルタントは、デジタルトランスフォーメーション(DX)導入により、企業や自治体の課題解決をサポートするコンサルタントです。DXだけでなく経営コンサルタントとしても研鑽を積めます。
DXコンサルタントは、一つの案件が節目を迎えてもお役目終了というわけではなく、運用や時代に合わせた最適化を継続させるために、将来的にも重宝されるでしょう。大手への転職、フリーランスとして独立起業など、さまざまなキャリアパスが描けます。
すでに、DXコンサルタントとして活躍する方、未経験でもDXコンサルティングに興味がある方は、フリーコンサルタント.jpの案件も参考にしてください。
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