PMOはきつい?存在意義や年収は?大変だけど一生食うに困らない理由を解説!

最新更新日:2025/03/05
作成日:2022/07/22
需要が高い「PMO」。しかし、PMO経験者からは時折「つまらない」「きつい」「やりたくない」といった声も聞かれます。PMOという仕事がなぜ大変といわれるのか、存在意義や必要なスキルを交えて解説します。
あわせて、PMO職が「一生食うに困らない」と言われる理由や、キャリアとしての魅力、平均年収、キャリアパスも紹介。大変だからこそ価値がある、PMOという仕事の実態に迫ります。
目次
■PMOがきついといわれる理由
・プロジェクトの成功率が低い
・多忙になりやすい
・役割が複雑
・主体性を出しにくい
・成果が伝わりにくい
■将来性の高いPMOとして働くためのポイント
・AIによる業務自動化への対応
・コミュニケーション能力の強化
・問題解決能力の向上
PMOとは
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは、Project Management officeの略です。さまざまな分野のプロジェクトを進行するPM(プロジェクトマネージャー)をバックアップ、サポートする部署・組織です。
PMOには、PMの意思決定とプロジェクト進行を支援するPMOコンサルタントが参画し、PMのバックアップのほか、プロジェクトの補助や管理業務、リスクマネジメントをPMに代わって行います。
一般的にPMOとよばれる人材は、このPMOコンサルタントをさすケースが多いです。
PMOの存在意義
PMOコンサルタントは、PMとともにプロジェクトを成功に導くコンサルタントです。プロジェクトの取りまとめと品質・能率の向上、進行管理と調整、コストマネジメントなどの経営戦略を期待し、PMOコンサルタントを外部から招く企業も多いです。
また、PMが社内の人間関係などに邪魔されず意思決定を行えるように、PMを支えるPMOはアウトソースする企業も多いようです。
PMOの存在意義は、PMのサポートを通じて、プロジェクトマネジメントの質を高めることです。特に、規模の大きなプロジェクトや複数のプロジェクトが同時進行する企業では、マネジメントに必要な業務が多岐にわたります。
もはや、PMだけではプロジェクト管理しきれない事態もあるでしょう。そこで、PMOがプロジェクトの進捗やコスト、課題やリスクなどの管理やその他の業務を担います。
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PMOに必要なスキル
PMOコンサルタントは、業務によって3つの職種に分類されます。職種によって必須スキルが異なります。
- ・事務的な管理業務を行う「PMOアドミニストレータ」
- ・プロジェクトのクオリティ管理を行う「PMOエキスパート」
- ・プロジェクト管理全般を行う「PMOマネージャー」
PMOアドミニストレータには、資料作成・進行管理・情報管理など事務能力やタイムマネジメント能力が必要とされます。PMOエキスパートには、開発責任者としての知見と進捗管理力が求められます。
PMOマネージャーは戦略の策定をはじめ、予算管理や人員管理など複数プロジェクトの統括などが期待されるため、豊富なPM・PMO経験や経営のセンスが求められます。
また、PMOコンサルタントには「コミュニケーション能力が高い人が向いている」といわれています。他のPMOコンサルタント・PM・プロジェクトメンバーとのコミュニケーションはもちろん、クライアント企業との交渉や進捗報告などもPMOの重要な任務です。
プロジェクトの品質を安定させ、スムーズに進行させるために、チームとメンバー一人ひとりのタスクやスケジュールを注視し、問題点があれば指摘、解決に導くスキルも求められます。
そのため、リスクマネジメント能力や進捗管理力も必要ですが、なによりメンバーが相談しやすい雰囲気をつくる力やヒアリング能力といった、きめ細かいコミュニケーション能力を持つ人材が求められています。
PMOがきついといわれる理由
PMOは企業のプロジェクト推進において重要な役割を担っているものの、実務者にとって非常に厳しい環境であることが指摘されています。
高い責任と曖昧な権限、成果の見えにくさなど、構造的な問題が複合的に絡み合い、PMO担当者の負担を増大させているのです。
以下では、PMOの業務が特に困難とされる主な理由を解説します。
プロジェクトの成功率が低い
大規模プロジェクトは本質的に複雑で、多くの不確実性を抱えています。統計的にも大規模プロジェクトの成功率は低く、予算超過やスケジュール遅延が頻繁に発生します。PMOはこうした状況で問題解決や調整を担当するため、常に高いプレッシャーの中で業務を遂行しなければなりません。
プロジェクトが危機的状況に陥ると、PMOには迅速かつ的確な判断と行動が求められ、精神的負担が増大します。
多忙になりやすい
PMO業務は時期によって業務量が大きく変動します。特にプロジェクト初期の計画策定時期、マイルストーン前、リリース直前などは業務が集中します。
急な仕様変更や予期せぬ障害発生時には緊急対応が必要となり、長時間労働を強いられることも少なくありません。
慢性的な残業や休日出勤が続くと、ワークライフバランスが崩れ、心身の健康に悪影響を及ぼします。
役割が複雑
多くの組織でPMOの役割や責任範囲が明確に定義されていないケースがあります。
プロジェクト管理の専門家としての業務だけでなく、会議の設定・議事録作成などの事務作業、ステークホルダー間の調整役、時には雑務まで幅広い業務を担当することになります。
役割の曖昧さから「何でも屋」として扱われ、本来のPMO機能を十分に発揮できない状況に陥りがちです。
主体性を出しにくい
PMOは外部コンサルタントや派遣社員として参画するケースが多く、社内の力関係や組織文化に精通していないことがあります。社内の意思決定プロセスに深く関与できず、提案が採用されにくい環境も少なくありません。
プロジェクト推進に必要な権限が与えられていないにもかかわらず、問題発生時には責任を負わされるというジレンマに直面することもあります。
成果が伝わりにくい
PMOの価値はプロジェクトが順調に進行することにあります。問題を未然に防いだり、リスクを適切に管理したりする活動は、目に見える成果として認識されにくいという特性があります。
プロジェクトが成功しても、その功績は事業部門やエンジニアに帰属することが多く、PMOの貢献が過小評価されがちです。客観的な評価指標も確立されておらず、キャリアパスが不明確なことも心理的負担となります。
未経験からのPMOは年収がきつい?
PMOとして企業に勤める場合、所属先が大企業か中小企業かによって幅がありますが、400万~700万円程度の年収です。
PMO未経験の場合、年収400万円台からのスタートになるケースが多いでしょう。仕事量が多く、ナイーブな交渉にも携わるPMOという仕事柄、その年収だときついと感じる人も少なくありません。
とはいえ、PMやPL(Project Leader)やエンジニア、ITコンサルタントとしての十分な実績があれば、PMOとして活躍が期待できるとして、それなりの年収を提示されるケースも多々あります。
特に、PMO未経験からフリーランスPMOコンサルタントとして安定した収入がほしい場合は、自分のストロングポイントをクライアント企業に売り込んでくれるマッチングエージェントなどを利用するのがおすすめです。
また、PMO未経験から、PMOコンサルタントとして安定した収入とポジションを得るなら、資格取得にもチャレンジしましょう。PMPやPMOスペシャリスト認定資格などは将来性が見込まれる資格です。
未経験からこうした難関資格取得に向けて努力できる人材こそが、PMOに向いている人物像といえるでしょう。
PMO人材になれば一生食うに困らない
「PMOはきつい」といわれる現状だからこそ、豊富なPMO参画経験やスキルがあるPMO人材は将来性が高く、一生食うに困らないといわれています。
プロジェクト進行が大変だと根を上げてしまう人や「PMOだけはしない」「やりたくない」と決めつけている人がすくなくないため、現在進行形で活躍している人には新しいプロジェクトが舞い込みやすい側面があるでしょう。
また、人間は経験を積むことで、前の失敗を次に活かせるようになるものです。PMOコンサルタントとして実績がある人は、成功体験だけでなく失敗体験すらも評価され次の案件が見つかりやすいかもしれません。
さらに、プロジェクトの大小に限らず、一度走り出したプロジェクトには、数年の間は運用・保守といった対応業務も生じます。現場で手を動かすPLやエンジニア、事務方のスタッフだけでなく、プロジェクトを管理する人材が必要です。参画したプロジェクトの進行中は、上流から関わってきたPMO人材の仕事がなくなることはないといわれています。
将来性の高いPMOとして働くためのポイント
テクノロジーの急速な進化やビジネス環境の変化に伴い、PMOの役割も大きく変わりつつあります。単なる進捗管理や調整役という従来の役割から脱却し、より戦略的な価値を組織にもたらすPMOが求められる時代になっているのです。
キャリアの長期的な発展を見据えたPMOには、以下のポイントを意識した能力開発が重要です。
AIによる業務自動化への対応
テクノロジーの進化により、従来PMOが担当していた定型業務や資料作成、データ分析などは、徐々にAIによって自動化されつつあります。
将来性の高いPMOには、こうした変化を脅威ではなく機会と捉え、AIツールを積極的に活用する姿勢が求められます。
単純作業から解放された時間を、プロジェクトの戦略的方向性の検討や、経営層への提言など、より付加価値の高い業務に振り向けることが重要です。
AIが苦手とする不確実性の高い判断や、複数の利害関係者間の調整など、人間ならではの洞察力を活かした役割にシフトすることで、PMOとしての価値を高めることができます。
コミュニケーション能力の強化
プロジェクト成功の鍵を握るのは、多様なステークホルダー間の効果的なコミュニケーションです。AIツールが発達しても、微妙なニュアンスの理解や、暗黙知の共有、信頼関係の構築といった要素は人間にしかできません。
高度なコミュニケーション能力を持つPMOは、プロジェクトメンバーの真の懸念事項を引き出し、部門間の壁を越えた協力体制を構築できます。
また、経営層と現場の橋渡し役として専門的な内容をビジネス価値に翻訳する能力や、困難な状況でも冷静に交渉できるスキルが、将来のPMOにとって大きな武器となるでしょう。
問題解決能力の向上
ビジネス環境の複雑化とテクノロジーの急速な変化により、プロジェクトが直面する課題はますます多様化しています。
将来性の高いPMOには、表面的な症状だけでなく、問題の根本原因を特定する分析力と、創造的な解決策を生み出す発想力が求められます。過去の経験則だけにとらわれず、新しい視点からプロジェクトの障壁を取り除く柔軟性も重要です。
さらに、問題が深刻化する前に早期対応ができるPMOは、組織にとって欠かせない存在となります。予期せぬ事態に直面しても冷静に対応し、プロジェクトを成功に導くレジリエンスの高さが評価されるでしょう。
PMOはきつい仕事だからこそ成長や安定が望める
PMOコンサルタントは「きつい」「大変」といわれる仕事ですが、その分需要や将来性が高い職種です。PMやエンジニア・ITコンサルタントとしての実績、PMO向けの資格やコンサルタントとしてのスキルがあれば未経験でもPMOとして職に就ける可能性があります。
安定した収入や継続的な案件参画を望むなら「PMOは一生食うのに困らない」ともいわれる、おすすめの職種です。「きつい」「つまらない」という噂に惑わされて、「やりたくない」と決めつけることはしないほうがよいでしょう。
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