【ESGコンサルタントの仕事内容】求人から見る必要なスキルと資格とは?

最終更新日:2024/10/23
作成日:2022/06/21

 

最近コンサルタント業界では「ESG」というキーワードが飛び交っています。ESGとはどのような意味でしょうか?ESGの意味とTCFD・CSRの関係性、ESGコンサルタントの主な業務内容やサスティナビリティ・SDGSとの違い、キャリアパス、年収などについて解説します。

 

目次

 

■ESGとは?

 

■ESG経営の重要性
(1)投資家の指針
(2)経営リスクへの対応

 

■ESGとTCFD・CSRの関係性
(1)TCFDとの関係性
(2)CSRとの関係性

 

■ESGコンサルタントとは?
(1)ESGに関する戦略・方針の策定支援
(2)ESG関連プロジェクト管理
(3)開示情報の策定や実行
(4)格付け機関や評価・認証への対応
(5)TCFD等活動の分析

 

■ESGコンサルタントに求められるスキル
(1)データ分析能力
(2)プロジェクトマネジメント能力
(3)レポート作成能力
(4)特定分野の専門知識
(5)語学力
(6)問題解決能力

 

■ESGコンサルタントとサスティナビリティ・SDGsコンサルタントとの違い
(1)サスティナビリティコンサルタントとの違い
(2)SDGsコンサルタントとの関係性

 

■ESGコンサルタントになるには?

 

■ESGコンサルタント求人がある企業とは?

 

■ESGコンサルタントに関連するQ&A
(1)ESGコンサルタントになるには資格がいる?
(2)ESGコンサルタントになれるスキルや経験は?
(3)ESGコンサルタントの将来性は?
(4)ESGコンサルタントの年収は?

 

■ESGコンサルタントは市場価値も存在意義もハイクラス

 

 

ESGとは?

ESGのイメージ図

 

ESGとは「Environment Social Governance」の略称です。環境・社会・統治システムという意味の英単語の頭文字を並べた言葉です。

地球全体の環境問題や社会問題が叫ばれる現在、企業が目先の利益だけでなく、長期的な成長を目指すために、環境や社会問題にたいして積極的なアクションを起こすことが求められています。

 

それに伴い、2006年に国連はESG投資を提唱しました。ESG投資とは、ESGに配慮した事業運営を行う企業への投資を指します。

 

ESGに配慮した事業運営とは、たとえばEnvironment(環境)の分野では、再生エネルギー・再資源の活用事業などが代表的です。Socialの分野では、人材育成・サービスによる地域貢献・安全衛生の確立、Governanceの分野では、企業情報の開示や情報セキュリティの強化などがあげられます。

ESGの観点から格付けされ、ESG投資先として優れているとされた企業への投資が推奨されています。これがESG投資です。従来、多くの投資家の興味は各企業の財務状況にありましたが、ESGの要素も投資先を選ぶ際に考慮する動きが進んでいます。

 

ESG経営の重要性

ESG経営の重要性
 
企業がESGを重視する経営方針や概念を「ESG経営」と呼び、下記2点の観点からその重要性が認識されつつあります。

 

(1)投資家の指針

ESG経営は、現代の投資家にとって極めて重要な評価基準となっています。多くの投資家が企業の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の側面も考慮して投資判断を行うようになりました。
 
「ESG投資」という新しい投資アプローチが台頭し、企業の長期的なポテンシャルを評価する指標として定着しつつあります。ESGへの取り組みが優れている企業は、持続可能な成長が期待できるとみなされ、投資家からの資金調達がより容易になる傾向があるのです。

 

(2)経営リスクへの対応

近年、企業を取り巻く環境は急速に変化し、経営リスクも多様化・複雑化しています。気候変動、人権問題、コーポレートガバナンスの強化など、従来の経営手法だけでは対応が難しい課題が増加しています。ESG経営は、こうした多様な課題に対して、包括的かつ戦略的に取り組むためのフレームワークを提供します。環境負荷の低減、社会的責任の遂行、透明性の高い経営体制の構築などを通じて、企業は潜在的なリスクを軽減し、持続可能な事業モデルを確立することが可能です。
 
不確実性の高い経営環境において、ESG経営は企業の回復力を高め、長期的な競争力の維持・向上に寄与する重要な経営アプローチとなっています。

 

ESGとTCFD・CSRの関係性

TCFDイメージ


ESGと似た意味で「TCFD」「CSR」というキーワードを耳にする機会が増えてきました。TCFD・CSRの意味とESGとの関係性について解説します。

 

(1)TCFDとの関係性

TCFDとは、G20の要請をうけ、金融安定理事会により設立された「Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の略称です。気候関連の情報開示とそれに対する金融機関の対応を検証しています。最終報告書は2017年6月に公表され、企業や団体による気候変動関連リスクや下記の項目についての情報開示を推奨しています。

表

出典:経済産業省 |気候変動に関連した情報開示の動向

 

実際に情報開示を行う立場の事業を運営する企業のほか、企業の情報開示をサポートする立場として金融機関・業界団体・格付機関・証券取引所・政府など、さまざまな組織がTCFDに賛同しています。

 

TCFD賛同企業となることで、投資家や市場に向け環境への取り組みをアピールでき、ブランディングにも役立ちます。日本国内では、気候変動への対応策として2050年までの脱炭素社会を目指す提言もされています。気候変動関連の動きを注視するTCFDへの取り組みや賛同そのものが、企業のESG活動のうち、EnvironmentとSocialへの実現につながっています。

(2)CSRとの関係性

CSRとは「Corporate Social Responsibility」を略したもので、日本語に訳すと「企業の社会的責任」という意味です

 

厚生労働省によるCSRの定義は「CSRとは、企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考えかたです。」とされています。簡単にまとめると「企業は自社の利益追求だけでなく、社会問題や環境保護などに取り組むべき」という考え方です。また、CSRに取り組む企業は、活動の情報開示も求められています。

 

CSRとESGの違いは、CSRが企業主体の活動であることに対して、ESGは投資家に向けた活動という点です。しかし、両者ともに「地球環境に配慮し事業運営を行い、企業として人権問題や社会問題に責任をもち、情報を取り扱う」という共通点があります。

引用:厚生労働省:労働政策全般:CSR

 

 

ESGコンサルタントとは?

ESGについてプレゼンを行うコンサルタント

 

ESGコンサルタントとは、ESG投資に向けた戦略を提案・導入・運用するコンサルタントのことです。ESGは、CSRなどとともに、欧米では広く浸透しています。しかし、日本国内では、専門の知見を持つコンサルタントが不足している状況です。

 

経済活動とESGを両立させる必要があるため、CSRやSDGsの観点だけでなく、経営戦略コンサルタントとしての側面があります。主なコンサルティング内容は「ESGに関する戦略・方針の策定支援」「ESG関連プロジェクト管理」「開示情報の策定や実行」「格付け機関や評価・認証への対応」「TCFD等活動の分析」などが考えられます。

 

(1)ESGに関する戦略・方針の策定支援

ESGコンサルタントは、企業のビジョンや事業戦略に合わせたESG戦略の立案をサポートします。長期的な企業価値向上を目指し、環境保護、社会貢献、ガバナンス強化などの分野で具体的な目標設定や行動計画の策定を支援。業界動向や国際的なESG基準を考慮しつつ、各企業の特性に応じたカスタマイズされた戦略を提案します。

 

(2)ESG関連プロジェクト管理

ESG施策の実行にあたり、コンサルタントはプロジェクトマネジメントの役割も担います。目標達成に向けたロードマップの作成、必要なリソースの配分、進捗管理、課題解決など、プロジェクト全体を俯瞰しながら効果的な推進をサポート。また、社内の各部門間の調整や、外部ステークホルダーとの連携も促進します。

 

(3)開示情報の策定や実行

ESG情報の適切な開示は投資家や社会からの信頼獲得に不可欠です。コンサルタントは、国際的な報告基準や業界のベストプラクティスを踏まえ、効果的なESG情報開示の戦略を立案します。統合報告書やサステナビリティレポートの作成支援、ウェブサイトでの情報公開方法の提案など、多様な開示チャネルを活用した情報発信をサポートします。

 

(4)格付け機関や評価・認証への対応

ESG評価機関による格付けや各種認証の取得は、企業のESGパフォーマンスを客観的に示す重要な指標となります。コンサルタントは、主要な格付け機関の評価基準を熟知し、企業のESG活動が適切に評価されるよう支援します。必要なデータの収集・分析、回答書類の作成、改善点の特定と対策立案など、評価・認証プロセス全体をサポートします。

 

(5)TCFD等活動の分析

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)をはじめとする国際的イニシアチブへの対応も、ESGコンサルタントの重要な役割です。気候変動がもたらす事業リスクと機会の分析、シナリオ分析の実施、財務影響の評価など、専門的な知見を活かしたアドバイスを提供。企業の気候変動対策を強化し、投資家や社会からの要請に応える情報開示を支援します。

 

ESGコンサルタントに求められるスキル

ESGコンサルタントに求められるスキル
 
ESGコンサルタントには、以下のようなスキルが求められます。

 

(1)データ分析能力

ESG関連データを効果的に収集し、精緻に分析する能力が不可欠です。企業の環境負荷、社会貢献活動、ガバナンス体制などに関する複雑なデータセットを扱い、意味のある洞察を導き出す必要があります。
 
近年では、AIや機械学習を活用したデータ分析スキルも重要性を増しており、大量のデータから迅速かつ正確に傾向を把握し、将来予測を行うことが求められています。

 

(2)プロジェクトマネジメント能力

ESG関連プロジェクトを成功に導くため、計画立案から実行、監視、完了までの一連のプロセスを効果的に管理するスキルが不可欠です。限られた時間とリソースの中で、最大の成果を上げるためのスケジュール管理、予算配分、リスク評価と対策立案などを適切に行う能力が求められます。
 
また、多岐にわたるステークホルダーとの調整や、チームメンバーのモチベーション維持も重要な役割となります。

 

(3)レポート作成能力

企業のESG活動やその成果を、分かりやすく魅力的に伝えるレポート作成能力は極めて重要です。データを視覚化し、ストーリー性のある構成で企業の取り組みを説得力を持って提示する必要があります。
 
また、様々なステークホルダーのニーズに応じて、情報の粒度や表現方法を適切に調整する能力も求められます。高品質なレポートは、投資家や顧客との信頼関係構築に大きく寄与し、企業価値の向上にも繋がります。

 

(4)特定分野の専門知識

ESGの各分野における深い専門知識が不可欠です。環境問題では気候変動や生物多様性、社会問題では人権や労働環境、企業統治ではコンプライアンスや取締役会の構成など、幅広いトピックに精通している必要があります。
 
さらに、クライアント企業の業界特性や事業内容に応じた専門知識も求められ、業界固有の課題や規制環境を理解した上でアドバイスを提供することが重要です。

 

(5)語学力

グローバルに事業を展開する企業を担当する場合、高度な語学力、特に英語力が必須となります。海外の最新ESG動向や規制に関する資料を読解し、外国企業や国際機関とのコミュニケーションを円滑に行う必要があります。
 
また、多言語でのレポート作成や、国際会議でのプレゼンテーションなど、様々な場面で語学力が求められます。

 

(6)問題解決能力

企業が直面するESG関連の課題は、業種や規模、地域によって大きく異なります。そのため、各企業の状況を的確に分析し、独自の解決策を導き出す能力が重要です。複雑な問題を構造化し、論理的に思考しながら、実現可能かつ効果的な対策を提案する力が求められます。
 
また、短期的な対応と長期的な戦略を適切にバランスさせ、持続可能な解決策を見出すことも重要な役割です。

 

ESGコンサルタントとサスティナビリティ・SDGsコンサルタントとの違い

企業の社会的責任の積み上げのイメージ

 

ESGコンサルタントの需要の高まりとともに「サスティナビリティコンサルタント」「SDGsコンサルタント」の募集求人も増えています。両者とESGコンサルタントとの違いについて紹介します。

 

(1)サスティナビリティコンサルタントとの違い

サスティナビリティ(Sustainability)とは、日本語に直訳すると「持続可能性」という意味です。サスティナビリティコンサルタントとは、ESG、CSR活動の持続可能性を高め、サポートするコンサルタントのことです。ESGコンサルタントをサスティナビリティコンサルタント(SXコンサルタント)と呼ぶ企業もあります。


主な役割は、ESG・CSR活動のサステナビリティ実現、事業戦略とサステナビリティの両立のサポートです。環境や社会問題、情報管理領域の知見だけでなく、経営・財政についての知見も必要です。

(2)SDGsコンサルタントとの違い

SDGs とは、2015年に提唱され、2030年までに地球規模での実現を目指す「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。企業がESGに配慮した経営をすることで、SDGs 達成に貢献できるといわれています。

 

SDGsも目的の範囲が広く、環境問題から教育・人権問題にも配慮された提言がされています。そのため、ESGコンサルタントと同義語としてSDGsコンサルタントを募集する企業もあります。

 

 

ESGコンサルタントになるには?

 

ESGコンサルタントは、コンサルティング業界の中でも比較的新しい分野のコンサルタントです。すでに大手のコンサルティングファームなどでは、ESGに特化した部署を設けているケースもあり、興味がある人はチャレンジしてみるのもよいでしょう。

 

大切なのは、ESGだけでなくCSRやSDGsへの興味・関心、経営戦略について知見があること。経営コンサルタントや戦略コンサルタントとして実績がある人であれば、「ESG戦略」などの求人案件に応募するのもおすすめです。弊社、株式会社みらいワークスのサービス「フリーコンサルタント.jp」にも紹介案件がございます。担当エージェントに相談してみてはいかがでしょうか?

 

 

ESGコンサルタント求人がある企業とは?

大企業

 

ESGコンサルタントを募集する企業は、先述したESG部門があるコンサルティングファームや外資系企業、国内大手企業などです。金融機関やシンクタンクなどからも求人が出ています。ESGは、社会的意義とともに、株価にも関わることからESGコンサルタントを採用する中小企業も今後増えるとみられています。

 

また、投資を受ける企業だけでなく、投資する側であるアセットマネジメント企業や投資ファンドもESG投資に注目しています。それに伴い、積極的にESGコンサルタントを採用しています。

 

 

ESGコンサルタントに関連するQ&A

Q&A

ESGコンサルタントに関するQ&Aをまとめました。

 

(1)ESGコンサルタントになるには資格がいる?

ESGコンサルタントになるのに必ずしも必要な資格はありません。ただし、ESGに関する資料は英文が多いため、英語関連の資格を保有していると有効です。

 

また、環境学・気候学などに対する修士号・博士号なども高く評価されます。経営戦略に基づくESG支援が主な役割なので、MBAや中小企業診断士などがあれば説得力が増します。

(2)ESGコンサルタントになれるスキルや経験は?

ESGコンサルタントになるには、環境や社会問題についてアンテナを張っておくことが大事です。ESGコンサルタントを目指すなら、コンサルタント経験者は有利ですが、自治体や関連省庁出身者も経験が高く評価されるようです。

 

また、一般的にコンサルタントには、コミュニケーションスキルやプレゼンテーション能力も必要です。ESG投資先として投資家たちの視線を獲得するのがミッションなので、コストマネジメント能力も求められるでしょう

(3)ESGコンサルタントの将来性は?

ESGの観点は今後ますます普及するとみられており、ESGコンサルタントの採用に踏み切る企業は今後も増えるとみられています。

 

現在は、ESGに特化した部門を持つコンサルティングファームへの転職が注目を集めていますが、今後のキャリアプランを考えるなら、ESGコンサルタントとして独立するのもよいでしょう。将来的には、戦略パートナーや顧問として企業運営に関わるキャリアパスも考えられます

(4)ESGコンサルタントの年収は?

ESGコンサルタントの求人を比較すると、一般企業では経営・企画などの領域での求人が多いです。年収は企業によって幅があり、300万円台後半~1000万円程度です。

 

一方、フリーランスのESGコンサルタントの年収は、弊社、株式会社みらいワークスのサービス「フリーコンサルタント.jp」の案件情報を参考にすると、100%稼働と仮定して報酬単価は月額100万~120万、休暇期間を取らないと仮定すると年収にして1200万~1400万円といったところです。

 

 

ESGコンサルタントは市場価値も存在意義もハイクラス

企業と地球のバランス

 

ESGコンサルタントは、有効なESG投資を支援するコンサルタントのことです。環境・社会問題に配慮した事業運営と情報開示・統治の面で企業運営をサポートします。ESG観点の経営戦略や投資は今や企業運営に必要不可欠といわれており、大手企業や金融機関・資産運用会社が、積極的にESGコンサルタントを採用しています。

 

コンサルタント経験がある人はキャリアチェンジとして目指しやすい職種です。企業や投資家だけでなく、地球と未来のために存在意義があるESGコンサルタントにぜひ挑戦してみましょう。

 

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

 

◇こちらの記事もオススメです◇

「企業がSDGsに取り組むべき理由とは?先進企業の取り組み事例も紹介