「挑戦は自己成長への第一歩」こだわりぬいた“社長業”と“コンサルタント業”を邁進

作成日:2016年9月2日(金)
更新日:2018年6月13日(水)

常に高みを目指して挑戦し続けた先には、挑戦する前には知らなかった楽しさが待っていた。

「コンサルタントのワークスタイル」第16回目のインタビューは丸野敬さん。日本SGI、シスコシステムズを経て独立し、コンサルタントとしてプロジェクト参画した企業の子会社で社長に就任するという珍しいご経歴をお持ちの丸野さんに、独立を決めた時の思いや自分を成長させるための秘訣など、様々なお話を伺ってきました。

丸野 敬

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

東京理科大学卒業後、日本SGI株式会社、シスコシステムズ合同会社を経て2013年11月に独立し、株式会社マカラパートナーズを設立。大手通信事業者のIT関連のビジネス開発コンサルティングや、コンサルタント派遣会社顧問を経て、2014年よりソリッドインテリジェンス株式会社にて海外SNS分析事業のビジネス開発を担い、新規事業の立ち上げ、省庁・自治体様を始めとする数々のプロジェクトを手掛け、2016年4月よりソリッドインテリジェンス株式会社代表取締役を務めている。

ソリッドインテリジェンス株式会社:http://solid-i.co.jp/

丸野 敬

「自分の力を証明したい」「勝負したい」 その気持ちで選んだ独立・起業への道

-まずはこれまでのキャリアを簡単に教えてください。

丸野さん(以下、敬称略):大学卒業後、IT企業の日本SGIで新規事業開発やインキュベーション、営業マネージャーを経験して、2010年にシスコシステムズに転職しました。実は日本SGIを辞めたらそのまますぐに独立しようと思っていたのですが、世界に対して影響力を持っている企業から世の中を見るというのも良い経験になるかもしれないと思いました。シスコではアカウントマネージャーとして放送業界全体の営業戦略立案に携わっていました。新しいIT技術などをマーケットインさせることで世の中に貢献するようなビジネス開発の仕事がずっと好きで、日本SGIでもシスコでもそういうことに関わらせてもらいました。2013年11月にシスコを辞めて独立・起業した後、コンサルタントとしてデータセクションに参画したのをきっかけに、現在はその子会社であるソリッドインテリジェンスの代表を務めています。

-日本SGIを辞める時に独立という選択肢があったとのことですが、いつ頃から独立したいと思っていらっしゃって、実際にシスコを辞めて独立される時はどのような思いで決断されたのでしょうか。

丸野:独立したいという思いは学生時代からずっと抱いていて、サラリーマンとして働いていた頃も自分の力を証明したいという気持ちが強くて、それを原動力に日本SGIでもシスコでも営業目標を達成し続けてきました。当時は、結果を出して年収をあげてやるという単純なモチベーションだったのですが、モチベーションの源泉が給料だけという状態では、実際に給料が上がってくるとモチベーションの維持ができなくなってきますね。

シスコに転職する時は、まず3年間は頑張ってみようと思って入社しました。素晴らしい上司や同僚に恵まれ、仕事の環境や待遇も素晴らしかったのですが、実際に3年経ったら、「あれ?自分はシスコで何がやりたかったのだろう?」と思ってしまいました。シスコの他の部門にやりたい仕事があるのか、頑張って昇進を目指すのかと考えましたが、どっちでもないなって。

当時36歳だったので、ここから3年間やればその時に何かが見えるかもしれない。また、挑戦して失敗したとしてもまだ30代だし、それなら思い切って前からやりたかった個人事業主かフリーランスとして起業にチャレンジしてみよう、と考えました。周りの友人の中にも、世の中に対してすごく影響力のある会社をやっている人や、10年くらいかけてようやく会社を軌道に乗せた人がいて、そんな友人たちを見ているうちに、自分も同じような場所で勝負をしたくなってきたというのも理由の一つです。そんな経緯で、2013年の11月にシスコを辞めてフリーランスのコンサルタントとして独立しました。

「この人だから任せたい」と思われるようなコンサルタントの仕事を続けていきたい

-現在代表を務めていらっしゃるソリッドインテリジェンスでは、外国人によるSNSへの書き込みをはじめとするソーシャルビッグデータの調査・分析やコンサルティングを手掛けていらっしゃいますが、この分野での起業というのは初めから考えていらっしゃったのでしょうか。

丸野:最初は特にやりたい分野というわけではなかったのですが、独立後にコンサルタントとしてデータセクションのプロジェクトを手伝っているうちにどんどん楽しくなってきて、やりたいことになっていった、というのが実際のところです。日本SGIでもシスコでも年2、3回ほど海外出張をしていて、海外から見た日本の素晴らしさや注目度の高さは理解していましたし、海外の人に知られていない良いところや強いITのところも日本にはまだまだたくさんある、という思いはもともと持っていましたので。

-サラリーマンとして働いていた頃と比べて、現在の仕事に対する気持ちはどうですか?

丸野:楽しいですね。収入はだいぶ減りましたが(笑)。一人で独立・起業した時も、世の中に対してどの分野で自分の価値を出していこうかと考えるのが楽しかったですし、コンサルタントとしてデータセクションに参画してソリッドインテリジェンスの仕事を始める時には、誰もが納得するぐらいの圧倒的な結果を出してやろうというモチベーションで楽しく業務に取り組んでいました。実は林くん(林健人さん:現データセクション取締役、ソリッドインテリジェンス取締役でソリッドインテリジェンスの創業社長)とは大学時代からの知り合いになります。彼は私より年下で後輩のように可愛がっていたので、「健人から仕事を貰ったので、きちんと結果を返さないとダサイな」という変なプライドがあったのも事実です(笑)。

もともと自分がやりたいことを全部やるには独立・起業するしかないなと思ってコンサルタントとして独立したので、ソリッドインテリジェンスから社員にならないかという話を貰った時も、自分が社長をやるという点は譲れませんでした。まあ、実際に社長をやることになった時は少々驚きましたが。

-ソリッドインテリジェンスの代表に就任される前に、ご自身でも会社を設立され1年半ほど企業経営なさっていますが、その時と現在で何か違いはありますか。

丸野:1年半ではありましたが、自分の会社を経営したという経験は、ソリッドインテリジェンスの仕事にも非常に活きています。決算書を読めるようになったのも起業したからこそですし、予算を組んだり投資計画を作ったりするのにも当時の経験が役に立っています。

そういった意味では、一人でやっていた時期は必要な助走だったと思いますし、今は色々なことを分かち合える仲間がいることのありがたみを実感でき、社員みんなを幸せにしたいと心底思えているのも、当時の寂しさを知っているからこそだと思います。一人でやっていた頃は本当に寂しかったです(笑)。

違いという点では、今の仕事には既存の箱を引き継いだメリットがたくさんあるということが大きいですね。まずは、林くんが一緒に仕事をするパートナーという点。優秀な仲間と仕事ができるのは大きな喜びの一つです。そして会社としても私が就任するまでの3年間で林くんが培ってきた信用や知名度がありますし、大企業との直取引口座もある。そういった面ではすごくやりやすいです。就任早々から大きな案件を受けられるというのも、そういったメリットの一つですね。

挑戦することはコンサルタントとしての自分を成長させるための第一歩

-今後のビジョンを教えてください。

丸野:今後は世界中に拠点を作っていきたいと思っています。現在、売上の軸になっているのはインバウンドですが、インバウンドは入口であってゴールではないと思っています。日本全体で考えると、海外の人の趣味嗜好や日本で何が楽しかったのかといった情報は、ゆくゆくは日本企業の海外進出にも役立つと思うので、我々が今インバウンドで蓄積しているナレッジやデータは、今後日本が製品やサービス、コンテンツ、IT等を海外に出していく際に大きな財産になると考えています。ですので、将来的に目指すアウトバウンド、海外進出のために戦略的に、最近パイロット的に海外拠点を作りはじめています。ビジネスチャンスはいつ来るか分からないので準備はしておきたいなと。

また、個人的にも震災がきっかけで海外に目が向き始めています。震災があっても東京でしか働けない自分に気が付き、自分自身に本当の力があれば世界中のどこででも働けるはずですし、海外でも何かができる影響力や実力を持つことができれば、守らなければいけない家族ができた時にも選択肢が増えるな、と思いました。最近結婚したということもありますが、そういった願望もモチベーションの一つとしてはあります。会社の成長スピードをどんどん加速していき、それに見合うような仕事を取ってクライアントにバリューを出し続けていけたらいいなと思っています。

-最後に、今後独立する人にメッセージをお願いします。

丸野:自信があるならすぐにフリーランスか個人事業主として独立・起業した方がいいと思います。その自信が根拠のない自信なのか、客観的に社会にも認めてもらえる自信なのか、やってみれば一目瞭然ですし、やってみることで自分の勘違いや過信していた部分、まだまだ鍛えなきゃいけない部分がリアルに見えてきます。

自信があるのに独立・起業に挑戦せず、ウジウジしているのであれば、さっさと失敗するのも手だと思いますし、そのまま成功すれば万々歳ですし、いずれにせよやってみることが自分の器をワンランク大きくしていくための第一歩だと思います。

-本日はお忙しい中、貴重なお話ありがとうございました!

世界的なIT企業から独立・起業し、コンサルタントとして外部から上場直前の企業を支え、その功績を買われて子会社の社長に就任した丸野さん。常に挑戦することで自身を大きく成長させてきた丸野さんのお話は、独立・起業を迷っている方の背中を押すものだったのではないでしょうか。フリーランスの独立コンサルタントとしてのキャリアの先には、多様な選択肢が広がっています。

ぜひあなたも独立・起業して、フリーランスのコンサルタントとして挑戦してみてはいかがでしょうか。